虐待の分類
出典: Jinkawiki
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+ | <br>定義B:1988年の大阪児童虐待調査研究会報告(以下、大阪府報告という)では、厚生省調査の際に用いられた分類に沿って、さらに工夫した定義を用いた。 | ||
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[定義と用語A] | [定義と用語A] | ||
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== 参考文献 == | == 参考文献 == | ||
斉藤学編集 児童虐待[臨床編] 金剛出版 | 斉藤学編集 児童虐待[臨床編] 金剛出版 | ||
- | 斉藤学編集 児童虐待[危機介入編] 金剛出版 | + | <br>斉藤学編集 児童虐待[危機介入編] 金剛出版 |
2010年2月16日 (火) 12:16の版
目次 |
各定義の説明
定義A:1983年厚生省は全国の児童相談所を対象にした調査(以後、厚生省調査と呼ぶ)を行っているが、この際に用いられた分類と定義は国際児童虐待常任委員会(ISCCA:Internatuinal Standing Committee on Child Abuse)で用いられたものに準拠しており、身体的暴行、保護の怠慢ないし拒否、性的暴行、心理的虐待に四分している。
定義B:1988年の大阪児童虐待調査研究会報告(以下、大阪府報告という)では、厚生省調査の際に用いられた分類に沿って、さらに工夫した定義を用いた。
定義C:最近の調査の際に用いた筆者(斉藤学氏)の定義。Diana Russell, Donald Finkerhorをはじめとする諸家の意見を参考としている。
身体的虐待
[定義と用語A]
《身体的虐待》外傷のある暴行あるいは生命の危険のある暴行。外傷としては、打撲傷、あざ(内出血)、骨折、頭部外傷、刺傷、火傷など。生命に危険のある暴行とは、首をしめる、ふとん蒸しにする、逆さづりにする、毒物を飲ませる、食事を与えない、冬、戸外にしめだす、一室に拘禁する、など。
[定義と用語B]
《身体的暴行による虐待(身体的虐待)》養育者により加えられた身体的暴行の結果、児童に損傷が生じた状態で、以下の要件を満たすもの。①非偶発的であること(単なる事故でないこと)、②反復的・継続的であること。
性的虐待
[定義と用語A]
《性的暴行》養育者による近親相姦、または、養育者による性的暴行等。
[定義と用語B]
《性的暴行による虐待(性的虐待)》養育者等により、児童が性的暴行または性的いたずらを受けたもの。
[定義と用語C]
《児童期性的虐待》ある年齢までの間に当事者が成人ないし年上の他人(親や同胞を含む)にされた性的な行為で、当事者がその行為を強制されたもの、望まないもの、嫌悪感のわく恐いことと感じた場合をいう。この行為には接触的なものと非接触的なものとがあり、接触的なものには当事者への身体への性器の侵入を伴うもの(上記他人によるペニスの挿入や接触、当事者の性器を加害者の口、性器などの体孔に導くこと、など)と、当事者の胸、性器周辺、肛門への愛撫が含まれる。非接触的なものには上記他人による露出癖的行為、他人が当事者を児童ポルノグラフティに巻き込むこと、他人が伴う性的行為に当事者を巻き込むこと、などが含まれる。上記他人は家族の者(親、兄、祖父母、それ以外の親族、義父母、養父母、義理の同胞、など)である場合も、血のつながりや親族関係のない家族外の人物の場合もあり、前者を家族内性的虐待、後者を家族外性的虐待という。当事者の年齢については家族内性的虐待では18歳未満、家族外性的虐待では原則として14歳未満とし、強姦ないし、強姦未遂については18歳未満とする。
情緒的虐待
[定義と用語A]
《心理的虐待》養育者の振舞いや言葉によって、児童に不安、おびえ、鬱状態、無表情、攻撃性、嗜好(悪習慣)などの結果が生じているものをいう。ただし、他のタイプの虐待やレグレクトを伴わないときにこの分類を用いる。
[定義と用語B]
《心理的外傷を与える虐待(心理的虐待)》養育者により加えられた行為により、極端な心理的外傷を受け、児童に不安・おびえ、鬱状態、凍りつくような無感動や無反応、強い攻撃性、習慣異常等の日常生活に支障をきたす精神状態が生じた状態で、以下の要件を満たすもの。①身体的暴行による虐待、養育の放棄・拒否による虐待、性的暴行による虐待を含まない。②児童の行動と養育者の行動との関連が確証できる虐待。
ネグレクト
[定義と用語A]
《保護の怠慢ないし拒否》“遺棄”、衣食住や清潔さについての健康状態を損なう“放置”をいう。遺棄とはいわゆる捨て子(棄児)、健康状態を損なう放置とは、栄養不良、極端な不潔、怠慢ないし拒否による病気の発生、学校へ行かせないなどをいう。
[定義と用語B]
《養育の放棄・拒否による虐待》養育者による児童の健康と発育・発達に必要な保護、最低限の衣食住の世話、情緒・医療的ケア等が不足または欠落したために、児童に栄養不良、体重増加不良、低身長、発達障害(運動・精神・情緒)等の症状が生じた状態で、以下のいずれかによるもの。①養育の放棄・拒否、②養育の無知(養育者に育児知識または能力がない)。
参考文献
斉藤学編集 児童虐待[臨床編] 金剛出版
斉藤学編集 児童虐待[危機介入編] 金剛出版