一票の格差

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2010年7月25日 (日) 23:56の版
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2011年1月25日 (火) 18:01の版
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-'''一票の格差'''は、国政選挙などの際に投じる一票のもつ価値の差を指す。+議員一人当たりの有権者数が違うこと。
 +2010年7月の参院選挙において、議院1人を選ぶのに神奈川選挙区は121万5760人の有権者がいたのに対し、最小の鳥取選挙区では24万2956人。5倍の格差があった。これでは、「すべて国民は法の下に平等」だとする憲法に違反する(違憲)として、選挙の無効を訴える裁判が各地で起きている。
 +憲法は、選挙制度の決定は原則として国会の議論に任せる「国会の裁量権」を認めている。裁判所が憲法違反かどうかを判断する基準は、①投票の価値に著しい不平等が生まれ、長く続いているか②それを適切に見直さないことが「国会の裁量権」で許される範囲を超えているかの2つだ。
 +①に問題がない場合は憲法に反しておらず「合憲」。①の不平等な状態にはあるが、②については国会の裁量の範囲内にあるという場合には、「違憲」とまでは言い切れない「違憲状態」。①②とも見逃せない状態にあって、不平等を放置した国会の責任まで問われる場合に、初めて「違憲」と判断される。
-== 価値基準 ==+選挙の無効を求める裁判は、その選挙区をカバーする高等裁判所に起こされる。各高裁が判決を出した後、最終的には最高裁判所で統一した判断が示される。
-一票の価値とは、議員一人あたりに対するそれぞれの+参院ができた1947年当時の最大格差は2.62倍だった。その後、都市部への人口の集中が進んだ結果、92年の選挙では過去最高の6.59倍にまで広がった。以降は、5倍前後である。これまでに最高裁が「違憲」と判断した例はなく、92年の選挙について1度だけ「違憲状態」とした。このため、参院選では「6倍未満は合憲」とする考えが定着してきた。
- +しかし、5.06倍だった2001年の選挙について最高裁は「このままだと次は違憲になるかもしれない」と警告。国会は、東京と千葉の定数を二つ増やし、栃木と群馬を二つ減らした。このため07年の選挙では格差は4.86倍にまで縮まったものの、最高裁は「定数を少しいじるだけでは大幅な格差縮小は難しい」として、制度自体の見直しを求めていた。
-<<編集中>>+国会議員には地域の代表という意識が強いので、過疎地の声もくみ取る必要があると、都道府県単位の選挙区にこだわってきた。制度の変更は、自分たちの当落にも影響するため、格差の解消は先延ばしにされがちだった。
 +こうした流れを心配する裁判所は、10年の選挙に対して、各地で厳しい判決を出している。「違憲」と判断した東京裁は「国会の努力が足りない。今後もまるであてにならない」と非難。複数の県を一緒にして格差を改めるように提案した。

2011年1月25日 (火) 18:01の版

議員一人当たりの有権者数が違うこと。

2010年7月の参院選挙において、議院1人を選ぶのに神奈川選挙区は121万5760人の有権者がいたのに対し、最小の鳥取選挙区では24万2956人。5倍の格差があった。これでは、「すべて国民は法の下に平等」だとする憲法に違反する(違憲)として、選挙の無効を訴える裁判が各地で起きている。 憲法は、選挙制度の決定は原則として国会の議論に任せる「国会の裁量権」を認めている。裁判所が憲法違反かどうかを判断する基準は、①投票の価値に著しい不平等が生まれ、長く続いているか②それを適切に見直さないことが「国会の裁量権」で許される範囲を超えているかの2つだ。 ①に問題がない場合は憲法に反しておらず「合憲」。①の不平等な状態にはあるが、②については国会の裁量の範囲内にあるという場合には、「違憲」とまでは言い切れない「違憲状態」。①②とも見逃せない状態にあって、不平等を放置した国会の責任まで問われる場合に、初めて「違憲」と判断される。

選挙の無効を求める裁判は、その選挙区をカバーする高等裁判所に起こされる。各高裁が判決を出した後、最終的には最高裁判所で統一した判断が示される。 参院ができた1947年当時の最大格差は2.62倍だった。その後、都市部への人口の集中が進んだ結果、92年の選挙では過去最高の6.59倍にまで広がった。以降は、5倍前後である。これまでに最高裁が「違憲」と判断した例はなく、92年の選挙について1度だけ「違憲状態」とした。このため、参院選では「6倍未満は合憲」とする考えが定着してきた。 しかし、5.06倍だった2001年の選挙について最高裁は「このままだと次は違憲になるかもしれない」と警告。国会は、東京と千葉の定数を二つ増やし、栃木と群馬を二つ減らした。このため07年の選挙では格差は4.86倍にまで縮まったものの、最高裁は「定数を少しいじるだけでは大幅な格差縮小は難しい」として、制度自体の見直しを求めていた。 国会議員には地域の代表という意識が強いので、過疎地の声もくみ取る必要があると、都道府県単位の選挙区にこだわってきた。制度の変更は、自分たちの当落にも影響するため、格差の解消は先延ばしにされがちだった。 こうした流れを心配する裁判所は、10年の選挙に対して、各地で厳しい判決を出している。「違憲」と判断した東京裁は「国会の努力が足りない。今後もまるであてにならない」と非難。複数の県を一緒にして格差を改めるように提案した。


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