産学協同(産学共同)
出典: Jinkawiki
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産学共同の現場管理~企業と地方大学の挑戦~ 2008 綿引宣道著 | 産学共同の現場管理~企業と地方大学の挑戦~ 2008 綿引宣道著 |
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産学協同とは産業界と大学とが協力して技術教育を高め、生産性向上に努めるものである。1960年アメリカのシンシナティ大学と同市の工場が協同したことが始まり。
産業側の問題・ねらい
産業側には様々な問題がある。
1つ目は優秀な研究開発者の確保である。一人前の研究開発者を育て上げるためには多大な時間が必要である。企業に研究者として就職しても企業の方針に合った研究ができるようになるには数年かかるため、その創造性を発揮できるのはわずかな時間だけとなってしまうのだ。
2つ目は資金の問題である。基本研究には多くの資金が必要となる。基本研究は資金が多くかかるが、すぐに商品化されない。しかし今後他のものを生み出すために重要な研究なのである。また多くの資金を必要とする研究テーマであっても、必ずしも企業の利益につながるとも限らない。
3つ目は基本原理が解明されてから商品構想まで、さらに商品に関する構想が出てから商品化するまでに時間がかかる問題である。製薬会社の場合、約9年~15年、半導体産業ですら半年から1年以上かかるといわれている。
4つ目は実験に関するノウハウの維持と発展である。たとえうまくいかないテーマがあったとしても、後の研究に大きく反映されたり、実験に関するノウハウが違ったりするため企業は簡単にその部署を廃止にすることができない。
これらのような問題から、企業が単独で研究開発活動を行うには、大きなリスクを背負うこととなる。そのリスクを分散されるべく技術情報だけでなく実験ノウハウの新たな入手(産学協同)が1つの解決策となるのである。
大学側の問題・ねらい
大学にもさまざまな問題がある。
1つ目は研究者としての動機付けである。医学者ならば病気の根絶を、工学者ならば自分の研究した商品が世の中に影響を与えることなどが夢であろう。
2つ目は研究資金の恒常的不足の問題である。国公立大学の場合、積算校費は学生のための実験材料を買うのにすべて消費されてしまうのが通常である。一方私立大学の場合は大学運営上の問題から研究資金不足に悩まされている。そこで民間企業等との連携で外部から資金を獲得することは、大学研究者側にとって研究上も教育上も有益なのである。 その一方で、企業などから直接資金を受けることは、国公立大学は公務員法に順ずる規則を利用したことで禁止され、私立大学は職務忠実義務から兼業禁止をしている大学も多くこのことにより商品化しても利益を受けられず動機付けが乏しくなる。
3つ目は人材の問題である。学生を自らの手で教育し、実験に参加できるようにするには時間と労力がかかるのである。
4つ目は大学研究者の技術に関する最新情報収集能力と研究能力の問題である。大学が常に最先端を進んでいるわけではない。大学よりも先に産業側が先端を行く事例も非常に多い。社会の要請に応じて学生を育成し、かつ優れた研究もできるようにしなければならないことから、企業側から科学技術情報、および研究能力を提供してもらうことは重要なことである。
5つ目は研究の死蔵の問題である。大学研究者が単独ですぐに商品化が可能な研究を行ったとしても、大学研究者が商品化をイメージできずに研究内容が企業側に知られることなく死蔵される可能性が高い。一方、企業は日常業務に忙殺され、根本的な技術革新をもたらすような技術情報が身近にありながら知らない状態にある。このギャップを産学協同が埋め、学者としての夢を果たす場となる可能性がある。
以上の点から大学研究者と企業研究者の両者が共通の目的を持ち、研究施設を相互に訪問して研究能力を高めて、頭脳と情報収集能力を相互に補完していくのである。
参考
産学共同の現場管理~企業と地方大学の挑戦~ 2008 綿引宣道著
大学とアメリカ社会~日本人の視点から~ 1994 中山茂著
ブルタニカ国際百科事典