安全保障
出典: Jinkawiki
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安全保障のジレンマ(Security dilemma)は、軍備増強や同盟締結といった自国の安全を高めようと意図した国家の行動が他国に類似の措置を促し、双方が欲していない場合でさえも、紛争をもたらす緊張の増加を生み出してしまう状況をさす。ある国が、安全保障を図るために、周辺諸国を見て、特定の国が脅威になるうると考え、その脅威に対応するための策を考える。策としては『軍備増強』と『同盟』の2つが考えられるが、この2つは結局他の国に脅威を与え、特に脅威とされた特定の国は当然自分に向けた脅威として受け止め、同じように『軍備増強』や『同盟』で対抗する。そうすると、こちら側への脅威が逆に増してしまう、つまり安全保障のために採った対策が逆に脅威を増大させ、安全保障をむしろ危うくしてしまったことになる。これが『安全保障のジレンマ』と呼ばれるものである。第一次世界大戦でフランスとロシアの2つの強国が同盟を作って攻撃されるのではないかとドイツが「軍備増強」に乗り出して、それが第一次世界大戦の重要な原因となったこと、ベトナム戦争でもアメリカが「ドミノ理論」という一種の脅威論を持っていて、ベトナムが共産化すると、そこから隣国のカンボジアやラオスまで共産主義が広まるだろうと恐れ、介入したことで戦争になったこと、そして太平洋戦争でも19世紀の終りから20世紀の前半にかけて「黄禍論」という脅威論が西洋で普及し、それが戦争の唯一の原因でないとしても要因のひとつだと考える。米国とロシアは、本年4月8日に新しい戦略核兵器削減条約(START)に署名することで先見と指導力を示した。この画期的な条約は、両国の軍縮の約束の実行における目覚しい進歩を示している。条約は、2010年の核兵器不拡散条約(NPT)運用検討会議の成功に寄与し、軍縮を含むNPTの3つの柱に関する行動計画の採択につながった。世界の核兵器の全備蓄量の95%を保有する米国とロシアはこれにより、国際的な誓約を果たすとともに、実戦配備している核兵器およびその運搬手段の数を減らし、双方の利益となる検証制度を構築することで安全保障を強化する歴史的な機会を手に入れた。この新STARTが批准されれば、軍備管理と世界の核兵器不拡散体制が増強される。欧州連合(EU)は長年にわたり、これらの問題に対する包括的な取り組みが必要であると主張してきた。国際社会全体にとって共通の安全保障問題である軍縮、軍備管理および不拡散を強化するためには、皆が力を合わせて取り組む必要がある。この観点から、EUは、米国とロシア両国の政府を全面的に支持するとともに、STARTの迅速な批准および実施を心待ちにしている。 | 安全保障のジレンマ(Security dilemma)は、軍備増強や同盟締結といった自国の安全を高めようと意図した国家の行動が他国に類似の措置を促し、双方が欲していない場合でさえも、紛争をもたらす緊張の増加を生み出してしまう状況をさす。ある国が、安全保障を図るために、周辺諸国を見て、特定の国が脅威になるうると考え、その脅威に対応するための策を考える。策としては『軍備増強』と『同盟』の2つが考えられるが、この2つは結局他の国に脅威を与え、特に脅威とされた特定の国は当然自分に向けた脅威として受け止め、同じように『軍備増強』や『同盟』で対抗する。そうすると、こちら側への脅威が逆に増してしまう、つまり安全保障のために採った対策が逆に脅威を増大させ、安全保障をむしろ危うくしてしまったことになる。これが『安全保障のジレンマ』と呼ばれるものである。第一次世界大戦でフランスとロシアの2つの強国が同盟を作って攻撃されるのではないかとドイツが「軍備増強」に乗り出して、それが第一次世界大戦の重要な原因となったこと、ベトナム戦争でもアメリカが「ドミノ理論」という一種の脅威論を持っていて、ベトナムが共産化すると、そこから隣国のカンボジアやラオスまで共産主義が広まるだろうと恐れ、介入したことで戦争になったこと、そして太平洋戦争でも19世紀の終りから20世紀の前半にかけて「黄禍論」という脅威論が西洋で普及し、それが戦争の唯一の原因でないとしても要因のひとつだと考える。米国とロシアは、本年4月8日に新しい戦略核兵器削減条約(START)に署名することで先見と指導力を示した。この画期的な条約は、両国の軍縮の約束の実行における目覚しい進歩を示している。条約は、2010年の核兵器不拡散条約(NPT)運用検討会議の成功に寄与し、軍縮を含むNPTの3つの柱に関する行動計画の採択につながった。世界の核兵器の全備蓄量の95%を保有する米国とロシアはこれにより、国際的な誓約を果たすとともに、実戦配備している核兵器およびその運搬手段の数を減らし、双方の利益となる検証制度を構築することで安全保障を強化する歴史的な機会を手に入れた。この新STARTが批准されれば、軍備管理と世界の核兵器不拡散体制が増強される。欧州連合(EU)は長年にわたり、これらの問題に対する包括的な取り組みが必要であると主張してきた。国際社会全体にとって共通の安全保障問題である軍縮、軍備管理および不拡散を強化するためには、皆が力を合わせて取り組む必要がある。この観点から、EUは、米国とロシア両国の政府を全面的に支持するとともに、STARTの迅速な批准および実施を心待ちにしている。 | ||
+ | ≪参考文献≫ | ||
+ | とだ9条のブログ | ||
+ | http://toda9jo.no-blog.jp/network/2007/11/post_c4d5.html |
2011年1月27日 (木) 15:05の版
安全保障のジレンマ(Security dilemma)は、軍備増強や同盟締結といった自国の安全を高めようと意図した国家の行動が他国に類似の措置を促し、双方が欲していない場合でさえも、紛争をもたらす緊張の増加を生み出してしまう状況をさす。ある国が、安全保障を図るために、周辺諸国を見て、特定の国が脅威になるうると考え、その脅威に対応するための策を考える。策としては『軍備増強』と『同盟』の2つが考えられるが、この2つは結局他の国に脅威を与え、特に脅威とされた特定の国は当然自分に向けた脅威として受け止め、同じように『軍備増強』や『同盟』で対抗する。そうすると、こちら側への脅威が逆に増してしまう、つまり安全保障のために採った対策が逆に脅威を増大させ、安全保障をむしろ危うくしてしまったことになる。これが『安全保障のジレンマ』と呼ばれるものである。第一次世界大戦でフランスとロシアの2つの強国が同盟を作って攻撃されるのではないかとドイツが「軍備増強」に乗り出して、それが第一次世界大戦の重要な原因となったこと、ベトナム戦争でもアメリカが「ドミノ理論」という一種の脅威論を持っていて、ベトナムが共産化すると、そこから隣国のカンボジアやラオスまで共産主義が広まるだろうと恐れ、介入したことで戦争になったこと、そして太平洋戦争でも19世紀の終りから20世紀の前半にかけて「黄禍論」という脅威論が西洋で普及し、それが戦争の唯一の原因でないとしても要因のひとつだと考える。米国とロシアは、本年4月8日に新しい戦略核兵器削減条約(START)に署名することで先見と指導力を示した。この画期的な条約は、両国の軍縮の約束の実行における目覚しい進歩を示している。条約は、2010年の核兵器不拡散条約(NPT)運用検討会議の成功に寄与し、軍縮を含むNPTの3つの柱に関する行動計画の採択につながった。世界の核兵器の全備蓄量の95%を保有する米国とロシアはこれにより、国際的な誓約を果たすとともに、実戦配備している核兵器およびその運搬手段の数を減らし、双方の利益となる検証制度を構築することで安全保障を強化する歴史的な機会を手に入れた。この新STARTが批准されれば、軍備管理と世界の核兵器不拡散体制が増強される。欧州連合(EU)は長年にわたり、これらの問題に対する包括的な取り組みが必要であると主張してきた。国際社会全体にとって共通の安全保障問題である軍縮、軍備管理および不拡散を強化するためには、皆が力を合わせて取り組む必要がある。この観点から、EUは、米国とロシア両国の政府を全面的に支持するとともに、STARTの迅速な批准および実施を心待ちにしている。 ≪参考文献≫ とだ9条のブログ http://toda9jo.no-blog.jp/network/2007/11/post_c4d5.html