十二夜

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「十二夜」とは、クリスマスから12日目(1月6日)に東方の博士がベツレヘムを訪ねた故事から、それを祝う祭日のことである。シェイクスピアが生きたエリザベス朝の時代では、前夜から華やかな行事が行われ、人々はお祭り気分に酔ったといわれている。ただ、『十二夜』の中でこうした行事に関するセリフはみられない。 「十二夜」とは、クリスマスから12日目(1月6日)に東方の博士がベツレヘムを訪ねた故事から、それを祝う祭日のことである。シェイクスピアが生きたエリザベス朝の時代では、前夜から華やかな行事が行われ、人々はお祭り気分に酔ったといわれている。ただ、『十二夜』の中でこうした行事に関するセリフはみられない。
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2011年2月3日 (木) 20:11の版

『十二夜』(じゅうにや、“Twelfth Night”)は、イギリスの劇作家ウィリアム・シェイクスピア(William Shakespeare)による戯曲である。

目次

概要

初演年代

1601、1602年頃

材源

『軍務よさらば』の中の第二話「アポロニウスとシラ」という物語がある。作者不詳の喜劇『だまされた人々』が散文の物語に書き直され、それがフランス語の『悲話集』の中に訳されて出たのが1570年、それをさらにバーナビー・リッチが1581年に英訳したものである。兄妹の妹シラが、密かに恋をする公爵に男装して仕えたり、公爵は別の女性に求婚してシラを使いに出すなどといった『十二夜』と酷似した筋立てから、村上(1983)は、「シェイクスピアがこの物語を読んでいたことは疑いようもない」(引用・参考文献①内の解説:p.168)と指摘する。

「十二夜」について

「十二夜」とは、クリスマスから12日目(1月6日)に東方の博士がベツレヘムを訪ねた故事から、それを祝う祭日のことである。シェイクスピアが生きたエリザベス朝の時代では、前夜から華やかな行事が行われ、人々はお祭り気分に酔ったといわれている。ただ、『十二夜』の中でこうした行事に関するセリフはみられない。


注意以降の記述で物語・作品・登場人物に関する核心部分が明かされています。


登場人物

  • ヴァイオラ:セバスチャンの双子の妹、男装時の名はシザーリオ
  • オーシーノー:イリリアの公爵
  • オリヴィア:イリリアの伯爵令嬢
  • サー・トービー・ベルチ:オリヴィアの叔父
  • サー・アンドルー・エーギュチーク:トービーの友人
  • マライア:オリヴィアの侍女
  • フェービアン:オリヴィアの召使
  • マルヴォーリオ:オリヴィアの執事
  • フェステ:オリヴィアの道化
  • セバスチャン:ヴァイオラの双子の兄
  • アントーニオ:船長、セバスチャンの友人
  • 船長:ヴァイオラの友人
  • ヴァレンタイン:公爵に仕える紳士
  • キューリオ:公爵に仕える紳士

あらすじ

船が難破しイリリアの海岸に流れ着いたヴァイオラは、身分を隠して男装し、その国のオーシーノー公爵に仕える。ヴァイオラは公爵に密かに想いを寄せるが、伯爵の娘のオリヴィアに求愛する公爵は、ヴァイオラに恋の使者を命じる。ところがオリヴィアが男装のヴァイオラに恋をしたために、複雑な三角関係ができてしまう。そのような折、ヴァイオラと一緒に難破して行方知れずになっていた双子の兄セバスチャンもまたこの国を訪れる。するとオリヴィアは彼をヴァイオラと間違えて挙式してしまう。彼女に限らず、公爵をはじめその他の者も勘違いして多くの誤解が生れるが、最後に兄妹が再会することで謎が解けると、ヴァイオラの想いを知った公爵は彼女に求婚する。こうして二組のカップルが誕生して、大団円となる。

オリヴィアの執事マルヴォーリオが、飲んだくれのサー・トービー・ベルチや侍女のマライアに騙されて、主であるオリヴィアと結婚できると思い込んで大はしゃぎする滑稽。また、オリヴィアの道化フェステのおどけぶりとしんみりした歌なども、この作品の大きな特徴である。

作品の一考察~笑いの背後にあるもの~

『十二夜』は喜劇、すなわち筋立てや登場人物の滑稽さで、観客の笑いを誘う劇である。この作品においても、マルヴォーリオが騙されて有頂天になったり、兄と妹の双子を取り違えての大騒動など、喜劇の笑いの要素が多く含まれている。しかし、単にそれだけでは終わらない真剣さもまた存在する。『十二夜』のヒロインヴァイオラは、男装をして密かに想いを寄せる公爵に仕える。この男装ということに関して、河合(2002)は、「シェイクスピアが男装のヒロインを数多く描いたのは、変装が恋心を表すのにふさわしい仕掛けだからとも言えるだろう。思いのたけをそのまま打ち明けることもできず心のうちに秘めておくことは、自分の本当の姿を人に明かさない変装にほかならないからだ」(pp.24-25)といっている。ヴァイオラも男装をして身分を隠すわけだが、同時に恋心をも心のうちにしまい込み表には出さない。そしてはつらつと振舞いながらも、その秘めたる想いに苦しむ。河合はさらに、「変装それ自体がどんなに面白くても変装する人の心が張り詰めているように、シェイクスピアの喜劇は、笑いの背後に常に影があること、影が明るさを支えていることを教えてくれるのである」(p.25)と続けるが、『十二夜』もその代表例であるといえよう。


〈引用・参考文献〉

①ウィリアム・シェイクスピア 小田島雄志訳 1983 『シェイクスピア全集 十二夜』 白水社

②河合祥一郎 2002 「シェイクスピア喜劇 少年俳優の活躍と変装」、近藤雅人編 『朝日百科 世界の文学2 ヨーロッパ2』 朝日新聞社 

〈参考URL(2011年1月時点でダウンロード)〉

・シェイクスピア劇全作品解説 ソネット集解説:http://www.geocities.jp/todok_tosen/shake/


(HN:LUPIN)


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