日本語

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2012年8月6日 (月) 16:18の版
Daijiten2009 (ノート | 投稿記録)

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成立

 政治的な意味での日本の成立は7世紀半であり、これ以前に日本語は存在しない。前日本語としての倭語がこれ以前に存在したが、現在の日本列島に統一的に存在したかは不明である。また、前アイヌ語や前琉球語との関係も不明である。現在の日本語にまっすぐにつながる新生日本語(語彙と文体)は和歌と和文の生まれた平安時代中期、つまり女手(平仮名)の誕生期に姿を整え成立した。


 日本語は漢語(大陸生まれの文字言語)によって作られた。しかし、日本語は中国語のように漢語によって飲み尽くされた言語ではなく、漢語からはみ出す違和を平仮名や片仮名を用いて目に見える形で定着させた言語である。現行の日本語の漢語率は54.9%と言われている。

 紀元前230年ごろ、秦の始皇帝の大陸と文字の統一による大陸の古代宗教体系の崩壊と東アジアの政治的統一体制の成立に伴って、東アジア全域に秦字(漢字)・漢語が及び、周辺を照らし出すことになった。この影響の下に日本は縄文時代から弥生時代に転じた。日本には秦の始皇帝の使者で方術士の徐福が3千人を率いて東海に向かったという伝説が各地に残る。このような背景に日本における無文字の縄文時代から有文字の弥生時代への展開、大量の大陸・半島人の日本入りは始まった。

 日本語は『万葉集』『古事記』『日本書紀』の書かれた奈良時代に体裁を整え、本格的に成立したのは女手(平仮名)の成立時と考えられる。それは、平仮名と片仮名がこの時代に成立し、これに応じて女手文たる和歌文と女手歌たる和歌、そしてなによりも漢語(音)に対する和語(訓)の両者を併せ持つ二重複線の日本語の本格的構造が確立されたからである。

日常語、専門語及び表現語

 日本語を使っている日本人の頭の中で語彙は次のような単語グループの集合として存在すると考えられる。


1.文法機能語

 格助詞には体言で表される諸概念を構文の枠組みに入れるのに働く「が、の、に、を、と」などがある。接続助詞には用言でなされる叙述を次の叙述へ向けて展開させながら結びつけるのに働く「て、ば、ので、から、のに、けれど」などがある。係助詞には認識の中心部を特に掲げて示したりするのに働く「は、も、こそ」がある。副助詞には体言や用言のいろいろなところについて、話し手のそのことについての微妙な扱い方を示すのに働く「ばかり、ほど、だけ、まで」などがある。終助詞には文末や文節末について聞き手への伝え方や接し方をさまざまな色調に調節する働きをする「ね、さ、よ、か、ぞ」などがある。

 助動詞は主に用言でなされる叙述を話し手の判断の中に入れて処理するという働きをする。その判断には、「だ、です、ない」などの同定や否定の判断、「だ、だろう、よう」などの実現と時の関係判断、「らしい、ようだ、かもしれない」などの確かさの判断、「たい、てほしい、てくれ」などの実現に対する望ましさの判断などの種類がある。

 感動詞はそれ一語でも自分の態度を表しきれる言葉で「はい、いいえ、ええ、ねえ」などの相手との関係を表すものや、「あっ、おや、あれ、ほほう」など、ひとりごとのようにその瞬間の心の動きを表すものなどがある。

 接続詞には「だから、ですから、そういうわけで」などのように当然の帰結へと語をつなげていくためのものや、「でも、しかし、それなのに」などのように押し返して方向を変えるためのもの、「で、それで、そして、それから」などのように同じ方向へ話を伸ばしていくためのもの、「さて、ところで」のように今の話を切り、別の方向へと話を転ずるためのものなどがある。


2.準文法機能語

 「こと」は純然たる名詞であるが、名詞らしい概念内容をなくして文法上のまとめ役をしている。「の」は助詞であるのに格助詞の「の」とは違い「もの」に相当し、その範囲内での名詞性を獲得している。これらは文法機能語に準ずる言葉である。この他にも「もの、とき、ところ、ため」などがあり、「とき、ところ、ため」の三語は名詞や副詞のまとまりを作ることができる。動詞の中ではどんな文章中でもよく使われる点で「する、なる、ある、いる、いう」の五語が顕著である。これらは特定の動作や事態を表すよりも認識する頭の働きを表す場合の方が多い。


3.機能的接辞

 接辞とは接頭語、接尾語のことであり、意味の類型化のために使われる。「さ、み」は形容詞や形容動詞から名詞を作る。「めく、ぶる」は名詞から動詞を、「がる」は形容詞から動詞を作る。漢語にはそれぞれに意味、内容を付け加えながら品詞性を付与していく。接尾語が多い。「者、家、員、手」などは「~する人」の意味を、「種、類、系」などは「~に属する一類型」という意味を付け加える。最近では「ムード、マニア、サイド、システム」などの洋語系外来語も使われる。

4.思考基本語

 実質的な意味を持っているが、その意味が抽象的で広く人々の認識や思考の枠組みを作るのに働いている言葉で、「うえ、した、まえ、うしろ」などの関係概念を表す名詞、「いつ、どこ、なに、だれ、いくら」などの事象把握のための基本概念を表す名詞、「思う、始まる、終わる、続く」などの判断するための動詞、「よい、わるい、大きい、小さい」などの判断するための形容詞、「大事、大切、困難、必要」などの判断するための形容動詞、「もっとも、おおいに、すっかり」などの判断を助ける副詞などがある。

5.叙事基本語

 目で見たものや耳で聞こえたもの、手でとらえたものなどを認知して名づけた言葉である。時を表す「春、夏、秋、冬、朝、昼、晩」などの言葉、所を表す「東、西、南、北、山、川、海」などの言葉、行動の仕手を表す「人、男、女、父、母、犬、猫」などの言葉、行動の仕方やあり方を表す「歩く、走る、飛ぶ、投げる」などの言葉、存在する物を表す「花、石、草、木」などの言葉、経験する事を表す「遊び、勉強、仕事、生活、食事」などの言葉がある。

6.方面別基準語

 国語科の領域である言語、文学、思想方面の言葉、社会科の領域である歴史、地理、政治、経済、法律方面や社会一般の言葉、数学科の領域である数理方面の言葉、理科の領域である物理、化学、生物、地学方面の言葉、それ以外の領域である農林、工学、技術、医学、生理、芸術方面などの言葉がある。

7.方面別発展語

 これは専門語の世界であり、知らなくても普通の人が普通に生活するためには困らない言葉である。

参考文献

  • 日本語とはどういう言語か 石川九楊 2006年 中央公論新社
  • 講座日本語学1総論 昭和57年 明治書院

ハンドル名 イヌ


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