途上国のグローバリゼーション

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2012年8月9日 (木) 11:21の版
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グローバリゼーション

 グローバリゼーションとは、その中心に位置する国の価値やシステムが追随や強制をともないながらそれ以外の地域に伝播していくという、明確な方向性と階層構造をもった過程をさす。中心国から見れば、自分たちの文化が優れていることは自明であって、グローバリゼーションにはその恵みをいまだ享受していない遅れた地域に広めるという優越感と使命感が混ざり合った意味をもつ。

途上国の国際統合の困難

 産業革命は18世紀のイギリスではじまった。その他の欧米諸国も19世紀には工業化を実現した。第二次世界大戦後は、韓国、台湾をはじめとするNIES諸国が工業化した。けれどもこの2世紀余りの間、経済発展に成功しなかった国々が多数存在する。これらの国が現在の開発フロンティアを形成している。では、なぜこれらの国が経済的自立を達成できていないのだろうか。
 後発国の国際統合の困難さは以下の三要因にまとめることができる(2)。
1.植民地時代の負の遺産
 →原住民迫害、基層文化の破壊、階級分断、モノカルチャー、従属的貿易構造、人為的国境、民族対立など
2.産業化条件の本来的な欠如
 →民間部門に商業資本・産業資本が育っておらず、市場育成と国際統合を管理すべき政府の能力不足
3.世界経済の不安定と競争激化
 →日米欧通貨の変動、巨額で不安定な資金フロー、通貨危機、超大国の内向的利己主義など
 現在の後発国は、内的・外的条件が整っていないにもかかわらず、急速な国際統合を求められている。適度な圧力にはメリットがないわけでもない。しかし確実にショックを被ることになる。
 我々は国際統合を促進しつつ、各国が主体性と連続性をもって自らの統合方式を選べるようなバランスのとれた国際環境を築いていく必要があるだろう。

引用・参考文献

1.ヘルムート・シュミット(著)大島俊三、城崎照彦(訳) 『グローバリゼーションの時代』 集英社 2000年
2.大野健一 『途上国のグローバリゼーション』 東洋経済新報社 2000年 P.10~12
H.N.紫虚


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