ゆとり教育2
出典: Jinkawiki
2013年1月31日 (木) 15:53の版 Bunkyo-studen2008 (ノート | 投稿記録) ← 前の差分へ |
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[経緯]
■1972年日教組が、「ゆとり教育」とともに、「学校5日制」を提起した(⇒cf.学校週5日制)。 ■1977年(昭和52年) 学習指導要領の全部改正 (1980年度〔昭和55年度〕から実施) 学習内容、授業時数の削減。 ■1989年(平成元年) 学習指導要領の全部改正 (1992年度〔平成4年度〕から実施) 学習内容、授業時数の削減。 小学校の第1学年・第2学年の理科、社会を廃止して、教科生活を新設。 ■1992年(平成4年)9月から第2土曜日が休業日に変更。1995年(平成7年)4月からはこれに加えて第4土曜日も休業日となった。 ■1996年 (平成8年) 文部省・中教審委員にて「ゆとり」を重視した学習指導要領を導入 ■1999年(平成11年) 学習指導要領の全部改正 (2002年度〔平成14年度〕から実施) 学習内容、授業時数の削減。 完全学校週5日制の実施。 「総合的な学習の時間」の新設。 「絶対評価」の導入。 ■2004年 国際的な学力比較調査(PISA2003, TIMSS2003)の結果が発表され、日本の点数低下が問題となる。 ■2005年 中山成彬文部科学大臣、学習指導要領の見直しを中央教育審議会に要請。 次年度より指導要領外の学習内容が「発展的内容」として教科書に戻る。
[ゆとり教育の目的]
ゆとり教育の目的は、簡単に言えば生徒の勉強の負担を減らしてその分ココロの余裕を確保し、より自由な発想を育もうという事である。さらにそれは、国際社会で通用し得る真の学力を形成することを目的としている。 海外の商社マンと互角に渡り合っていくためには、相手を理論的に納得させるだけのディベート力が必要であるとともに、日本の学者が海外で高い評価を受けるためには、ユニークな発想力が欠かせない。 ゆとり教育の目的を以下のような点にポイントを絞ることができる。 ・ 各学校のスタッフが、自分たちで知恵を出し合って特徴豊かな教育を行う。 ・ 生徒の学ぶ勉強範囲を絞る事でその負担を減らし、浮いた時間は生徒個人の自主的な 勉強の時間にあてる。 ・ 生徒自身が、【自分で物事を考える力】を育てる事ができるよう導く。 つまり、生徒個人の自主性を伸ばす事に目的を置いた教育だと言う事ができる。 これらは、戦後の日本の教育を支えてきた詰め込み教育を否定するものでもある。
[詰め込み教育の爪跡]
詰め込み教育は、戦後の日本の教育理念をリードしてきた考え方である。 詰め込み教育の爪跡として、必ず引き合いに出されるのが受験競争になる。確かに詰め込み教育は知識をひたすら暗記する形式を取りやすいので、その結果として過度の受験競争を引き起こしやすいという特徴がある。 ゆとり教育が生徒の自主性の伸長に重点を置いているのは、やはり詰め込み教育の反省による所が大きいからである。基礎知識を徹底的に頭の中に詰め込むやり方では、確かに生徒の自由な想像力は伸ばせない。 しかしゆとり教育に移行後、生徒の自由で豊かな発想力や想像力が伸びたというデータは、今のところほとんどない。
[受験競争と日本の社会システム]
以前教育学者の中には、詰め込み教育こそ受験競争とそれに続く就職競争の、最大の原因なのだと考える方が多くいた。この受験競争は70年代にピークを迎えたが、これは詰め込み教育が問題なのではなく、大学のランクがそのまま就職に直結するという、日本のシステムそのものの問題である。現在の社会においても、受験競争がなくならない事がこれを証明している。
[ゆとり教育の正負の成果]
ゆとり教育が本格的に実施されたのは2000年代に入ってからの話だが、1980年代から順次、段階的に詰め込み教育からの移行準備は進められていた。つまりゆとり教育そのものは決して歴史の浅いものではないので、それなりの成果は出始めている。 具体的にはスポーツ面で、世界に日本人プレイヤーが続々と進出していることがあげられる。
ゆとり教育の負の成果として最も論議の的になるのが、学力低下問題である。移行期間も含めるとこれほどの実施期間があるにも関わらず、それを検証するためのデータはほとんど公表されていないが、わずかな資料から考察すると、いかに学力低下が進行しているのかはハッキリしている。一体どれくらい学力低下が進んでいるのかは、文部科学省の学力テストでも証明されている
[ゆとり教育が忘れているモノ]
ディベート力もユニークな論理構成力も、基礎学力に基づいたモノであることは、言うまでもない。現在切り捨てた基礎学力なくしては、その上のステップまで到底たどり着けないことは明白である。 しかしそこから巧みに話をずらし、ゆとり教育によってオリジナル性の高い発想がドンドン生まれるかのように説明した、文部科学省をはじめとする教育行政の責任は少なくない。
[ゆとり教育と詰め込み教育]
ゆとり教育と詰め込み教育は、教育理念としては表裏一体の関係にあると言っても過言ではない。教育の歴史としては詰め込み教育が先に来るが、どちらにもメリット・デメリットがあるため、単純により優れた教育理念はどちらかを決めることはできない。
参考文献
学力低下論とゆとり教育 ~どちらができない子に心痛める教育か~ 中野重人
学力問題・ゆとり教育 山内乾史・原清治
投稿者
F.F.C