六ヶ所再処理工場
出典: Jinkawiki
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== 再処理工程 == | == 再処理工程 == | ||
1)使用済燃料受入れ・貯蔵 原子力発電所から受け入れた使用済燃料はプール中で4 年以上保管する。 | 1)使用済燃料受入れ・貯蔵 原子力発電所から受け入れた使用済燃料はプール中で4 年以上保管する。 | ||
- | 2)せん断・溶解 核燃料を小さく切断して硝酸に溶解し、ジルコニウム合金である被覆管と分離する | + | 2)せん断・溶解 核燃料を小さく切断して硝酸に溶解し、ジルコニウム合金である被覆管と分離する工程である。この際に揮発性放射能は施設外に放出される可能性がある。クリプトン-85(85Kr、10.7 年) |
- | 工程である。この際に揮発性放射能は施設外に放出される可能性がある。クリプトン-85(85Kr、10.7 年) | + | |
は全て排出される。 | は全て排出される。 | ||
- | 3)分離 TBP をドデカンで希釈した溶液と核燃料の硝酸溶液を接触混合させ、ウランと4 価プルトニウ | + | 3)分離 TBP をドデカンで希釈した溶液と核燃料の硝酸溶液を接触混合させ、ウランと4 価プルトニウムPu(Ⅳ)をTBPードデカン溶液(有機相)に移す。(核分裂生成物とプルトニウム以外の超ウラン元素は硝酸溶液中に残る)。ウランとプルトニウムを分離するには、還元剤によってプルトニウムを3価プルトニウム、Pu(Ⅲ)に還元すればよい。還元剤としてこの工場では4 価ウランU(Ⅳ)を用いる。 |
- | ムPu(Ⅳ)をTBPードデカン溶液(有機相)に移す。(核分裂生成物とプルトニウム以外の超ウラン元素は硝酸溶液中に残る)。ウランとプルトニウムを分離するには、還元剤によってプルトニウムを3価プルトニウム、Pu(Ⅲ)に還元すればよい。還元剤としてこの工場では4 価ウランU(Ⅳ)を用いる。 | + | 4)精製 ウランとプルトニウムの溶液は、精製を繰り返して純粋な元素を含む溶液にする。この操作は複雑に見えるが、原理的には前の分離の工程とほぼ同様である。 |
- | 4)精製 ウランとプルトニウムの溶液は、精製を繰り返して純粋な元素を含む溶液にする。この操作 | + | 5)脱硝・製品貯蔵 ウランとプルトニウムの溶液から硝酸が除かれ、酸化物として保管される。この際に、プルトニウムからウランとの混合酸化物(MOX)がつくられる。 |
- | は複雑に見えるが、原理的には前の分離の工程とほぼ同様である。 | + | |
- | 5)脱硝・製品貯蔵 ウランとプルトニウムの溶液から硝酸が除かれ、酸化物として保管される。この | + | |
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6)酸および溶媒の回収 使用された薬品は、廃棄物の量を減らす目的もあって精製回収される。 | 6)酸および溶媒の回収 使用された薬品は、廃棄物の量を減らす目的もあって精製回収される。 | ||
2013年8月8日 (木) 05:41の版
六ヶ所再処理工場は、日本原燃が所有する核燃料の再処理工場。 1993年から約2兆1,900億円の費用をかけて、青森県上北郡六ヶ所村弥栄平地区に建設が進められている。現在試運転中である。
原発で発電を終えた核燃料(使用済み燃料)には燃え残りのウラン、プルトニウム、そして「死の灰(核分裂生成物)」が含まれている。日本政府や電力会社は、この使用済み燃料の中にあるプルトニウムを再び原子力発電で再利用する「核燃料サイクル」を、原子力政策の基本としている。そのため使用済み燃料からプルトニウムを取りだすための施設、核燃料再処理工場を青森県六ヶ所村に建設中。プルトニウムは使用済み燃料に約1%含まれている。六ヶ所再処理工場は1年間で約800トンの使用済み燃料を処理し、約8トンものプルトニウムを分離する。
再処理工程
1)使用済燃料受入れ・貯蔵 原子力発電所から受け入れた使用済燃料はプール中で4 年以上保管する。 2)せん断・溶解 核燃料を小さく切断して硝酸に溶解し、ジルコニウム合金である被覆管と分離する工程である。この際に揮発性放射能は施設外に放出される可能性がある。クリプトン-85(85Kr、10.7 年) は全て排出される。 3)分離 TBP をドデカンで希釈した溶液と核燃料の硝酸溶液を接触混合させ、ウランと4 価プルトニウムPu(Ⅳ)をTBPードデカン溶液(有機相)に移す。(核分裂生成物とプルトニウム以外の超ウラン元素は硝酸溶液中に残る)。ウランとプルトニウムを分離するには、還元剤によってプルトニウムを3価プルトニウム、Pu(Ⅲ)に還元すればよい。還元剤としてこの工場では4 価ウランU(Ⅳ)を用いる。 4)精製 ウランとプルトニウムの溶液は、精製を繰り返して純粋な元素を含む溶液にする。この操作は複雑に見えるが、原理的には前の分離の工程とほぼ同様である。 5)脱硝・製品貯蔵 ウランとプルトニウムの溶液から硝酸が除かれ、酸化物として保管される。この際に、プルトニウムからウランとの混合酸化物(MOX)がつくられる。 6)酸および溶媒の回収 使用された薬品は、廃棄物の量を減らす目的もあって精製回収される。
想定される事故
1)臨界事故 再処理にともなう最も重大な事故である。 2)放射線分解 放射線が物質中に入射すると、エネルギーが失われ、化学変化が起こる。放射線の作用によって励起化学種が生成し、さらに二次的な反応が起こる。水では、二次反応生成物として水素、過酸化水素、酸素などが生じる。他の物質ではさらに複雑な反応が起こるが、多くの場合に物質の分解へと導かれる。時には、分解した生成物が反応して大きな分子が生じることもある。再処理においては、放射能の強い「分離」の過程で問題になる。 3)化学薬品に関わる問題 放射線による損傷以外に用いられる硝酸などの化学薬品自体の反応には気をつけねばならない。硝酸やリン酸トリブチル、ドデカンをはじめ、還元剤として用いられることもあるヒドラジンは、爆発的に分解する可能性もある。