マジック
出典: Jinkawiki
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魔術の始まり
マジック=魔術の始まりは、古代世界の呪術師や予言者あたり(以下魔術師)がルーツであるというのが有力である。 彼らは雨の降る時期や猟の結果、作物の出来具合はどうかなどを予言していた。これはおそらく彼らの一族だけに天文や気候などの知識や経験が受け継がれていて、それらの知識からの推測と、いろいろな意味に取れるあいまいな表現を組み合わせることで予言の成功率を高めていたと思われる。 この頃の魔術は集団の行動を決める特別な役割を果たしており、その行動に娯楽としての意味合いはなかった。人を楽しませる娯楽としての最古の魔術は、古代エジプトに登場することとなる。
古代の魔術
エジプト中部にあるベニ・ハッサンという村の洞窟には、紀元前2500年ごろの人々の生活を描いた壁画が残されていて、その中に『カップと玉』のマジックが行われている様子とされる壁画がある。とはいえ、最近ではパンか何かを焼いているところだろう、という説のほうが有力であろうが、ここでは希望的観測を含めこれを歴史に残っている最古のマジックとする。 次に古いマジックとなると、紀元前1700年ごろの古代エジプトのパピルスに、王様の前で魔術師がガチョウを切ってつなげたという記述があり、これが最近では最古の記録とされている。ギリシア・ローマ時代には先ほどの『カップと玉』が街頭で行われていたという記録が残っている。『カップと玉』の他には『火を吹く術』などがあったようだ。 マジックは、エジプトで生まれ、ヨーロッパを通じてアジアに渡ってきたようである。日本では奈良時代に仏教文化と共に散楽雑技として伝えられ、『火を吹く術』『剣を呑む術』『瓜の種を(一瞬で)成長させる術』などがあり、歌や曲芸と共に宮廷で行われる催しの余興として演じられてきた。
中世―受難の時代
中世に入ると、マジックは爆発的に普及したキリスト教に「黒魔術」とみなされ、マジシャンは「悪魔の使い」といわれ迫害を受けた。このためマジックは衰退し、他の多くの文化と同様、その進歩を止めることとなった。唯一、ジプシーや旅芸人の一座だけがマジックを演じていた。15世紀ごろの絵に、マジックの様子を描いたものがある(ヒエロニムス・ボス(1450?~1516、オランダ)『奇術師』。サン・ジェルマン・アン=レイ私立博物館所蔵)。 日本では共に伝わってきた散楽が猿楽→能・狂言と変化していく一方、マジックは呪術→外術と呼ばれ、猿楽から離れることになっていった。常識では考えられないことを起こるマジシャンは日本でも「妖術使い」といわれ蔑まれる。やがて坊さん(法師)がマジックを「術」として見せるようになる。
ステージ・マジックの誕生
ルネッサンス時代以降の近世では、マジックは旅芸人の行う大道芸から、しだいに舞台で見せるものへ変化していった。中世のマジックはクロースアップやサロンに近いものなので、ここで初めてステージ・マジックの誕生といえるであろう。日本でも安土・桃山時代に入る頃小屋掛けの見世物としての奇術興行が行われるようになっていった。
舞台奇術の黄金時代
そうしたステージ・マジックは19世紀中ごろから後半にかけて黄金時代を迎えることとなる。まず、ロベール・ウーダンというフランスのマジシャンが燕尾服を来たマジシャンが客を接待する、という近代奇術のスタイルを打ち出した。それまでのマジシャンは魔法使いの仮装のような格好でおどろおどろしいショーをしていましたが、ウーダン以降、ほとんどのマジシャンがこのスタイルを真似るようになっていった。ウーダンは人体浮遊術を始めて演じ、人気を博した。次に、ボーティエ・ド・コルタ(フランス)、ジャン・ネビル・マスキリン(イギリス)らが現在につながるマジックを次々と生み出した。また、この時代、交霊術が流行したことで読心術や予言を主体とするメンタル・マジックと呼ばれる分野が登場した。 日本の舞台奇術は江戸時代にピークを迎え、日本独特のマジックが多く誕生した。これらのマジックは手妻(手は目より早く、電光石火稲妻の如く。目にも止まらぬ早業ということである)・手品と呼ばれるようになった。また、江戸時代はお座敷での手品も流行り、手品の解説本が多く発売され、寄席にもマジックが登場するようになった。
参考文献
『おどろきの発見 マジック世界の魅力』 松田道弘 岩波書店
『シリーズ子供とつくる28 マジックを作る』 北見マキ 大月書店
モアイ