日本の生涯学習

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・松岡廣路・松橋義樹(2015.4.18)『社会教育の基礎 転換期の社会教育を考える』学文社 ・松岡廣路・松橋義樹(2015.4.18)『社会教育の基礎 転換期の社会教育を考える』学文社
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2015年7月28日 (火) 11:22の版

生涯学習

生涯学習とは、人間は生涯にわたって自己充実や今よりよりよい生活のために学習し続けるということである。日本で生涯学習という言葉が広がったのは、1980年代中葉に設置された臨時教育審議会の答申後のことである。学歴社会の是正のために生涯教育という考えを取り入れようとし、教育という語のもつ押しつけがましさを除き、学習者の自主性・自発性を強調するための言葉として生涯学習という言葉を用いた。特に日本経済のバブル期といわれる好況の時期に、生涯学習という言葉が使われるようになり、生きがいづくりや趣味・教養的な内容の学習、生涯という言葉から連想される増加しつつある高齢者の学習、というような意味で生涯学習という言葉の意味が広まっていった。

日本の生涯学習の特徴

 日本の生涯学習の特徴について2点あげられる。第1に文部行政における生涯学習(自己実現からまちづくり)である。1980年代から1990年代にかけて生涯学習体系への移行の時期は、個人の自発性と自己実現を重視し、住民の関心を生涯学習に普及させるために、生涯楽習や生きがい学習という造語までうまれた。しかし、199年代になると、個人のお楽しみ学習でよいのかという問いかけをされるようになる。生涯学習行政の公共性が問われるようになったわけである。すなわち、現代的課題解決のために学び、その学習成果を社会で適切に生かすという視点が強調されることとなる。こうして、生涯学習のテーマが生きがいづくりからまちづくりへと大きく転換してきた。 第2に一般行政における生涯学習である。OECDによるリカレント教育論の提唱以来、経済産業省はOECDと共同のセミナーを開催するなど、一貫して、職業教育訓練に重点をおいた生涯学習政策の実現に努力してきた。また厚生労働省は、失業問題解決のための職業訓練としての生涯学習施策を進めている。さらに近年では、まちづくりの視点から、総務省が広く生涯学習施策に関わっている。いずれも生活課題の解決という目標に向けての施策の展開と捉えることができる。

生涯学習の今後の課題

 日本の生涯学習においてグローバルな視点から、社会に対する批判的な目を養う変革志向の生涯学習への理解が今後の課題である。日本社会が多文化共生を求めている。それをいかに実現可能なものとするか考えなくてはならない。


参考文献

・小池源吾・手打明敏(2014.9.30)『生涯学習社会の構図』福村出版

・松岡廣路・松橋義樹(2015.4.18)『社会教育の基礎 転換期の社会教育を考える』学文社

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