公害2
出典: Jinkawiki
(版間での差分)
2015年8月4日 (火) 23:26の版 Daijiten2014 (ノート | 投稿記録) ← 前の差分へ |
最新版 Daijiten2014 (ノート | 投稿記録) |
||
1 行 | 1 行 | ||
- | 公害問題とは、環境の保全上の支障のうち、事業活動その他の人の活動に伴って起こる相当範囲にわたる大気汚染、水質の汚濁、土壌の汚染、騒音、振動、地盤の沈下及び悪臭によって人の健康または生活環境に係る被害を与えることである。現代の公害とは、都市化工業化にともなって大量の汚染物の発生や集積の不利益が予想される段階において、生産関係に規定されて、企業が利潤追求のために環境保全や安全の費用を節約し、大量消費生活様式を普及し、国家が公害防止の政策をおこたり、環境保全の公共支出を十分におこなわない結果として起こる自然および生活環境の侵害であって、それによって人の健康障害または生活困難が起こりえる社会的災害である。つまり、公害は自然災害とはちがって、経済政策や経済制度の改革や変革によって防止できる社会問題である。公害は直接的な健康侵害や生活破壊だけでなく自然・文化財の破壊にいたる広い領域にわたって、その被害を総合的に認識し、事後的対策よりは、事前的予防策を考えるための概念的規定の必要が強まっている。規制範囲も、生産過程はいうに及ばず、流通・消費過程にまでおよび、原因者も、私企業はいうまでもなく、国有企業・公営企業あるいは公共事業全般にまで拡大してゆく傾向にある。また、食物連鎖などによる生物濃縮、遺伝などを考慮した場合に、汚染物質のフロー分析だけでなく、ストック分析、いわゆる蓄積公害や複合汚染のような現象が重大視されなければならなくなっている。 | + | 公害問題とは、環境の保全上の支障のうち、事業活動その他の人の活動に伴って起こる相当範囲にわたる大気汚染、水質の汚濁、土壌の汚染、騒音、振動、地盤の沈下及び悪臭によって人の健康または生活環境に係る被害を与えることである。現代の公害とは、都市化工業化にともなって大量の汚染物の発生や集積の不利益が予想される段階において、生産関係に規定されて、企業が利潤追求のために環境保全や安全の費用を節約し、大量消費生活様式を普及し、国家が公害防止の政策をおこたり、環境保全の公共支出を十分におこなわない結果として起こる自然および生活環境の侵害であって、それによって人の健康障害または生活困難が起こりえる社会的災害である。つまり、公害は自然災害とはちがって、経済政策や経済制度の改革や変革によって防止できる社会問題である。公害は直接的な健康侵害や生活破壊だけでなく自然・文化財の破壊にいたる広い領域にわたって、その被害を総合的に認識し、事後的対策よりは、事前的予防策を考えるための概念的規定の必要が強まっている。規制範囲も、生産過程はいうに及ばず、流通・消費過程にまでおよび、原因者も、私企業はいうまでもなく、国有企業・公営企業あるいは公共事業全般にまで拡大してゆく傾向にある。また、食物連鎖などによる生物濃縮、遺伝などを考慮した場合に、汚染物質のフロー分析だけでなく、ストック分析、いわゆる蓄積公害や複合汚染のような現象が重大視されなければならなくなっている。 |
日本の公害 庄司光、宮本憲一著 岩波新書 1975,9 | 日本の公害 庄司光、宮本憲一著 岩波新書 1975,9 | ||
公害の激化 川名英之著 緑風出版 1987,1 | 公害の激化 川名英之著 緑風出版 1987,1 |
最新版
公害問題とは、環境の保全上の支障のうち、事業活動その他の人の活動に伴って起こる相当範囲にわたる大気汚染、水質の汚濁、土壌の汚染、騒音、振動、地盤の沈下及び悪臭によって人の健康または生活環境に係る被害を与えることである。現代の公害とは、都市化工業化にともなって大量の汚染物の発生や集積の不利益が予想される段階において、生産関係に規定されて、企業が利潤追求のために環境保全や安全の費用を節約し、大量消費生活様式を普及し、国家が公害防止の政策をおこたり、環境保全の公共支出を十分におこなわない結果として起こる自然および生活環境の侵害であって、それによって人の健康障害または生活困難が起こりえる社会的災害である。つまり、公害は自然災害とはちがって、経済政策や経済制度の改革や変革によって防止できる社会問題である。公害は直接的な健康侵害や生活破壊だけでなく自然・文化財の破壊にいたる広い領域にわたって、その被害を総合的に認識し、事後的対策よりは、事前的予防策を考えるための概念的規定の必要が強まっている。規制範囲も、生産過程はいうに及ばず、流通・消費過程にまでおよび、原因者も、私企業はいうまでもなく、国有企業・公営企業あるいは公共事業全般にまで拡大してゆく傾向にある。また、食物連鎖などによる生物濃縮、遺伝などを考慮した場合に、汚染物質のフロー分析だけでなく、ストック分析、いわゆる蓄積公害や複合汚染のような現象が重大視されなければならなくなっている。
日本の公害 庄司光、宮本憲一著 岩波新書 1975,9 公害の激化 川名英之著 緑風出版 1987,1