イスラーム国
出典: Jinkawiki
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イスラーム国・アブドリバーリ・アトワーン著 春日雄宇 訳/中田考 監訳 集英社インターナショナル | イスラーム国・アブドリバーリ・アトワーン著 春日雄宇 訳/中田考 監訳 集英社インターナショナル | ||
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2016年8月4日 (木) 17:18の版
目次 |
イスラーム国とは
ISISやIS、ISIL、ダーイシュとも呼ばれる。ジハード主義の政治的組織。自らのイデオロギーに基づいて社会を根本から変革し、変革のためには残忍な行為も厭わず敢行する。サイクス・ピコ協定以降初めて新たな国境線を画定した。
経済的に自立した組織であり、史上最も裕福なテロ組織とも呼ばれている。資金は、人質を拉致して身代金を得たり、銀行からお金を強奪したり、石油販売での収入のほか、支配地域での税金徴収による。
戦闘員はネットでの広報活動を行う者や自爆テロの要員、拉致実行犯、プロモーションビデオを制作する者などで構成される。給料はシリア人戦闘員で月給約ドル約万千円で外国人戦闘員は倍の約ドル
イスラム教とは
7世紀の前半にムハンマドが始めた宗教。聖典は「コーラン」。唯一神は「アッラー」で、ムハンマドは最後の預言者であるため、ムハンマドは崇拝の対象ではない。聖地はメッカ、メディナ、エルサレム。六信五行を義務とし、1日5回の礼拝を行う。コーランによると、「イスラムのために努力すること」を「ジハード」という。イスラム教徒のことをムスリムと呼ぶ。スンニ派はイスラム教徒の約85パーセントを占める多数派で、シーア派はイスラム教徒の約15パーセントの少数派である。世界に15億人いて、世界人口全体の4分の1弱を占めている。イスラム教徒が最も多いのはアジアで、その中でもインドネシアが最も多い。本来は平和を求める宗教であるため、イスラム教=危険は間違い。
イスラム教は大きくスンニ派とシーア派の2つに分かれる。スンニ派はイスラム教徒の約85パーセントを占める多数派で、シーア派はイスラム教徒の約15パーセントの少数派である。同じイスラム教徒でもスンニ派とシーア派は仲が悪い。スンニ派の代表国はサウジアラビア、シーア派の代表国はイラン。ただし、サウジアラビアはスンニ派国家であるが、スンニ派の中でも「ワッハーブ派」という厳格な教えを事実上の国教としている国である。飲酒、音楽などの娯楽は禁一切止されている。また、男女分離が徹底しており、女性に対する規律が厳しい。
アルカーイダとの違い
アルカーイダとイスラーム国は異なるイデオロギーや形成過程、目標を持った組織である。アルカーイダの第一目標は西洋、特にアメリカとの戦いを基盤とし、アラビア半島からの欧米の軍隊の放逐、ユダヤ軍と十字軍の殺害を企図している。一方、イスラーム国は地域社会の崩壊や中央政府の弱体化、西欧の軍事介入、国民のトップの不在、宗派対立のエスカレート、政府に対する国民の怒り…といった事態を好機と捉え、混乱に乗じる形で自分たちのイデオロギーに基づいた国家を建設することを第一の目標としている。また、アルカーイダは国家を建設せず、あくまで1つの「ジハード主義組織」であり続けている。拠点を作るために土地を占拠することはない。その点イスラーム国はイラクとシリアの広大な土地や石油や資源に至るまで占拠し、法律の施行、税の徴収、加えて「シャリーア(コーランと預言者ムハンマド言行[スンナ]を法源とする法律)とアキーダ(ムスリムの信条)」に反した領民には法定刑をも科している。
有志連合
60か国が参加し、アメリカが主導。イスラーム国の弱体化と壊滅を目的、目標とする。活動内容はイスラーム国の戦略的拠点への空爆や空爆を行う国への軍事的支援、イラク政府への人道的支援などである。
外国人戦闘員
イスラーム国と同様の観念・信条の体系を持つ組織から派遣された戦闘員に加え、2014年夏のアメリカによるシリア、イラク国内のイスラーム国拠点への空爆が始まってから自らの意志で国を離れ、新たに加わった義勇兵たちは平均15~20歳であった。彼らは戦闘の経験は一切持っていなかった。さらに、これらの中には西欧で生まれ育った少女が相当数含まれていた。彼女たちはジハード主義者と結婚し、イスラーム国の次世代を担う子供をもうけることを目的としていた。
日本とのかかわり
2015年1月、ジャーナリストの後藤健二氏と民間軍事会社を経営する湯川遥菜氏がイスラーム国に拘束され、人質となった事件があった。2人を人質にとったイスラーム国は2億ドル(およそ246億円)を日本側に要求した。イスラム国側はのちに要求を変更し、2005年にアンマンで起きた爆破事件に関与し、死刑判決を受けヨルダンに収監されていたサージダ・リシャーウィーの釈放を要求した。安倍首相はヨルダンに特使を派遣したが、ヨルダン当局はサージダ・リシャーウィーを釈放しなかったため、結果は失敗に終わった。
現在のイスラーム国(2016.2現在)
石油収入の減少に加え、戦闘の激化(空爆)による武器・弾薬などへの経費が増え、給与予算が確保できなくなってきている。上記1で戦闘員の給料(特に外国人戦闘員)は裕福であると述べたが、現在はおよそ半分になったと言われており、脱走を企てた者もいるという。
参考文献
池上彰が読む「イスラム」世界/池上彰 KADOKAWA
イスラーム国・アブドリバーリ・アトワーン著 春日雄宇 訳/中田考 監訳 集英社インターナショナル
産経ニュース 軍事ワールド 2016.2.1