自主管理社会主義

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 資本主義企業では出資者が経営者と労働者を雇うが、「自主管理制度」では「自主管理機関(労働者や技術者)」が経営者を雇うことで、最高意思決定権を「自主管理組織」が握ったまま、労働者・技術者が間接的に経営をチェックすることができる。さらに労働組合も認められていたので、労働組合を通じてチェックすることも可能であった。  資本主義企業では出資者が経営者と労働者を雇うが、「自主管理制度」では「自主管理機関(労働者や技術者)」が経営者を雇うことで、最高意思決定権を「自主管理組織」が握ったまま、労働者・技術者が間接的に経営をチェックすることができる。さらに労働組合も認められていたので、労働組合を通じてチェックすることも可能であった。
- しかし、この体制は煩雑な自主管理の運営の難しさや80年代の経済危機や共和国対立や民族対立のなかで、1987年から根本的な変更が加えられた。そして1990年の共産主義者同盟による一党制の崩壊により幕を閉じた。+ しかし、この体制は自主管理による運営の難しさや、80年代の経済危機や共和国対立や民族対立のなかで、1987年から根本的な変更が加えられ、1990年の共産主義者同盟による一党制の崩壊により幕を閉じた。
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== 参考文献 == == 参考文献 ==

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概要

 第二次世界大戦後に社会主義化されたユーゴスラビアにおいて、コミンフォルム追放を契機に1950年に導入された分権的な社会主義の経済政策の形態。ユーゴ型社会主義とも呼ばれる。  現在の日本を含む多くの企業形態が「上部機構の決定した意思が下部機構伝わる」トップダウンと呼ばれる仕組みとなっているが、この逆で、「下部機構から上部機構へと意思が伝わる」仕組みである。このとき、上部機構は土台である基礎組織の意向を理解する事に務め、最大限尊重し反映せねばならない。    最高決定権を持つ「基礎組織」の労働者・技術者たちは「労働者評議会」を組織する。ここで自分たちの意思表明・決定・形成を行う。「労働者評議会」では選出した評議委員に運営をゆだねる仕組みは取らず、労働者集会・選挙・リコール・直接選挙が中心となっている。この規模での直接民主制は不可能であるため、「基礎組織」というものが重要なのである。  こうした「基礎組織」が組み上げられて「労働組織」、「連合労働組織」といった「上部機関」が形成されていく。「上部組織」に派遣された代表委任(選挙などによって選出される)は「基礎組織」の意思を尊重し、自分自身の意見は表明はできない制約を受ける仕組みとなっていた。間接民主制のかたちを取りながら直接民主制に近い委任代表制である。これには自由代表制で起こりうる、選挙後の自由な行動をあらかじめ防ぐメリットがある。

 企業経営において必ず必要となる経営独自の専門的手腕(財務、営業、対外機関との折衝等)を自主管理機関はマネージャーとして一般公募することで解決していた。そこで応募してきたマネージャー候補を「自主管理組織」が選挙などで正式に決定し、企業長をトップとする経営機関を設立し、彼らに経営を委ねる。  資本主義企業では出資者が経営者と労働者を雇うが、「自主管理制度」では「自主管理機関(労働者や技術者)」が経営者を雇うことで、最高意思決定権を「自主管理組織」が握ったまま、労働者・技術者が間接的に経営をチェックすることができる。さらに労働組合も認められていたので、労働組合を通じてチェックすることも可能であった。

 しかし、この体制は自主管理による運営の難しさや、80年代の経済危機や共和国対立や民族対立のなかで、1987年から根本的な変更が加えられ、1990年の共産主義者同盟による一党制の崩壊により幕を閉じた。

参考文献

柴宜弘(1996)『ユーゴスラヴィア現代史』岩波新書

山川世界史小辞典

ブリタニカ国際百科事典

自主管理社会主義[1]


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