オゾン層2
出典: Jinkawiki
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+ | 理論的な予測モデルを用いた計算によれば、微量ガスの増大に起因する1968年から1986年の間のオゾンの減少量は、夏季についてはほぼ0,5~1,0パーセントであるものの、冬季によると0,8~2,0パーセント程度の減少が計算される。また、人工衛星センターTOMSによる地球的観測は、1978年以来、継続して行われている。これに対して拡散版の劣化による影響を補正したデータをもとに評価をし直したオゾン全量の経度帯ごとの変化によると1978年10月から1985年10月の間に南半球では1,1~9,0パーセント、北半球では1,1~3,7パーセントのオゾン全量の減少がみられる。 | ||
+ | 2,高度別のオゾン濃度の変化傾向 | ||
+ | 人工衛星センサーSAGEⅠ、SAGEⅡを用いて経度帯を北緯20~50度、南緯20~50度に限定し、高度25~50キロメートルの範囲のオゾン量について、1979~81年、1985~87年の両機関の比較を行うと、高度40キロメートルおよび25キロメートル付近において平均で3パーセントの減少があった。理論予測モデルの計算によれば1979年~1985年の間のオゾン濃度の変化は5~13パーセントである。しかしこのうちおおよそ6パーセントは微量成分の増加に起用し、約2パーセントは太陽活動の低下によるものである。 | ||
+ | 3,南極オゾンホール | ||
+ | 10月の全オゾン量についてみると1987年と1979年を比較すると南緯60度で20パーセント、南緯70度で40パーセント、南緯80度では50パーセントの減少が起きており、また、南緯60度以南では一年を通して5パーセントの減少が見出された。また、オゾン層の低濃度は12月初めまで持続し、これまでの最長記録となった。同時にオゾン量減量についても最大であった。 |
2018年1月26日 (金) 11:17の版
オゾン層の役割
地球上のすべての生物にとって、オゾン層の存在が本質的に重要である理由は、生物の細胞内の核酸にとって有害な紫外線をオゾン層が遮断してくれるからである。また、農作物の収量や品質にも影響を及ぼす。アメリカのメリーランド大学の研究グループではオゾン層が25パーセント破壊された時の野外の実験場においてダイズに照射し、ダイズに対する収量や品質についての影響を調べた。6年間の実験のうち、雨量が少なく乾燥により極端に収量が減少した年を除いて、感受性の高い品種では最大で25パーセントの収量が減少した。また、ダイズの種子中のタンパク質や脂肪の含有量が減少し、品質が低下することも明らかとなった。この研究グループはイネに対しても同様の実験を行い、その結果10パーセント前後というオゾン層の破壊が比較的軽い場合でも収量は四分の一、あるいは三分の一程度も減少することが分かった。イネは日本にとって重要な作物であり、このような研究結果は衝撃を与えた。われわれ人間を含めるすべての生物は生活を太陽からの光エネルギーに依存している。太陽光線にさらされながら生息している生物は、その太陽光線を利用しつつ、一方ではその中に含まれている紫外線に対する防御機構を働かせるため、自分自身のエネルギーを使っている。そのため、紫外線放射量のわずかな増加でも生物にとっては重大なストレスになる。オゾン層の消滅はまさにそのストレスにさらに加速の歯車をかけるようなものなのである。
フロンガス
正式名称は「クロロフルオロカーボン」とする。この言葉の意味は3つの元素を合わせたものに過ぎない。「クロロ」とは「塩素」のこと、「フルオロ」とは「フッ素」、「カーボン」は「炭素」のことを表す。フロンガスとは「塩素とフッ素のついた炭素」のことである。このフロンガスはオゾンの敵となる気体なのである。フロンガスは使用されるといずれかは気化してしまう運命にある。たいていは常温で気化するため、これを防ぐには使用済みの機械から回収するしか方法はない。そしてこれまでに1500万トンものフロンガスが放出された。今でも年間に100万トンが放出されている。フロンガスというものは容易に科学的に変化しないという利点を持っている。沸点が常温に近く、液化しやすく、気化しやすい物質である。この有用性こそが大きな落とし穴となっている。対流圏の中を漂う間、気化したフロンガスはなにものからも影響されずに依然と漂っている。しかし大気中の物質はどんなものでも上層に上れば必ず分解する運命にある。上へ行くと、原子をさえ破壊するような強力な光線があるからである。いかに安定したフロンであっても波長の短い光線に当たると分解してしまう。しかもこれには過激な塩素が含まれているのだ。するとそれはオゾンとの反応を起こす。オゾンはもともとチャンスがあれば酸素原子と酸素分子に分かれたがっている。一方のフロンは塩素とCCIF₂に分かれており、電子が不安定なため、電子が余っている相手を探している。そしてその相手こそがオゾンなのである。オゾンに塩素原子が近づけば、相手がほしい者同士なために結合し、一酸化塩素の形になり、残った酸素原子二つは安定した酸素分子になる。こうしてフロンの放出した塩素一つでオゾンが一つ壊れてしまうのだ。このようにしてフロンはどこまででもオゾンを破壊し続けることとなる、オゾンに対して危険な物質なのだ。
オゾン層の現状
1,オゾン気柱全量の経年変化
理論的な予測モデルを用いた計算によれば、微量ガスの増大に起因する1968年から1986年の間のオゾンの減少量は、夏季についてはほぼ0,5~1,0パーセントであるものの、冬季によると0,8~2,0パーセント程度の減少が計算される。また、人工衛星センターTOMSによる地球的観測は、1978年以来、継続して行われている。これに対して拡散版の劣化による影響を補正したデータをもとに評価をし直したオゾン全量の経度帯ごとの変化によると1978年10月から1985年10月の間に南半球では1,1~9,0パーセント、北半球では1,1~3,7パーセントのオゾン全量の減少がみられる。 2,高度別のオゾン濃度の変化傾向 人工衛星センサーSAGEⅠ、SAGEⅡを用いて経度帯を北緯20~50度、南緯20~50度に限定し、高度25~50キロメートルの範囲のオゾン量について、1979~81年、1985~87年の両機関の比較を行うと、高度40キロメートルおよび25キロメートル付近において平均で3パーセントの減少があった。理論予測モデルの計算によれば1979年~1985年の間のオゾン濃度の変化は5~13パーセントである。しかしこのうちおおよそ6パーセントは微量成分の増加に起用し、約2パーセントは太陽活動の低下によるものである。 3,南極オゾンホール 10月の全オゾン量についてみると1987年と1979年を比較すると南緯60度で20パーセント、南緯70度で40パーセント、南緯80度では50パーセントの減少が起きており、また、南緯60度以南では一年を通して5パーセントの減少が見出された。また、オゾン層の低濃度は12月初めまで持続し、これまでの最長記録となった。同時にオゾン量減量についても最大であった。