ISIS
出典: Jinkawiki
2019年1月18日 (金) 14:52の版 Daijiten2014 (ノート | 投稿記録) ← 前の差分へ |
最新版 Daijiten2014 (ノート | 投稿記録) |
||
1 行 | 1 行 | ||
1 ISISとは | 1 ISISとは | ||
ISISとは、2014年に「カリフ制」を宣言してイラクとシリアの一部を支配したイスラーム過激派グループである。 | ISISとは、2014年に「カリフ制」を宣言してイラクとシリアの一部を支配したイスラーム過激派グループである。 | ||
+ | |||
+ | ---- | ||
2 ISIS活用するソーシャル・メディア | 2 ISIS活用するソーシャル・メディア | ||
ISISが東南アジアへ浸透するのに大きな役割を果たした、ソーシャル・メディアの活用の仕方は国によって異なる。東南アジアで、ISISによるソーシャル・メディアの活用の盛んな国の一つがマレーシアである。マレーシア国際イスラーム大学のエルムハンマディ氏へのインタビューによると、マレーシアでのISISのリクルートやテロ計画においては、フェイスブックやメッセージング・アプリの「WhatsAPP」がよく用いられているという。マレーシアのテロ対策関連法が予防拘禁も認める厳しい内容であるため、非接触かつ手軽なコミュニケーション・ツールは重要だといえる。例をあげると、2016年6月に首都クアランプールから近いスランゴール州のナイトクラブに手りゅう弾が投げ込まれ、8人が怪我をした事件では、マレーシア出身でISISへリクルートを行うワンディ容疑者がフェイスブックを使い犯行声明を投稿している。 | ISISが東南アジアへ浸透するのに大きな役割を果たした、ソーシャル・メディアの活用の仕方は国によって異なる。東南アジアで、ISISによるソーシャル・メディアの活用の盛んな国の一つがマレーシアである。マレーシア国際イスラーム大学のエルムハンマディ氏へのインタビューによると、マレーシアでのISISのリクルートやテロ計画においては、フェイスブックやメッセージング・アプリの「WhatsAPP」がよく用いられているという。マレーシアのテロ対策関連法が予防拘禁も認める厳しい内容であるため、非接触かつ手軽なコミュニケーション・ツールは重要だといえる。例をあげると、2016年6月に首都クアランプールから近いスランゴール州のナイトクラブに手りゅう弾が投げ込まれ、8人が怪我をした事件では、マレーシア出身でISISへリクルートを行うワンディ容疑者がフェイスブックを使い犯行声明を投稿している。 | ||
一方インドネシアでは、先述のソラウディン氏によると、リクルートや組織間のコミュニケーションにおいてソーシャル・メディアは活用されているが、リクルートの段階で、一般人がISISに参加しようとする場合、最も重視されるのはオフラインでの接触だという。ローカルに活動するISIS関係者へソーシャル・メディアを通じてアクセスし、会合などでの対面の審査を経て、ISISのイデオロギーに十分にコミットしていると認められた者だけがリクルートされる。これは、集団意識や近親ネットワークの重視といった社会・文化的要因に加え、リクルート目的での直接の接触を禁ずる法律の不在という制度的要因など、マレーシアとは異なる状況が作用している。作戦においては、ISIS中枢とローカル・グループが「Telegram」や暗号化された独自のメッセージング・アプリを使用して連絡を取り合っており、近年はローカル・グループが主導して、「近い敵」の選定をしている可能性がある。 | 一方インドネシアでは、先述のソラウディン氏によると、リクルートや組織間のコミュニケーションにおいてソーシャル・メディアは活用されているが、リクルートの段階で、一般人がISISに参加しようとする場合、最も重視されるのはオフラインでの接触だという。ローカルに活動するISIS関係者へソーシャル・メディアを通じてアクセスし、会合などでの対面の審査を経て、ISISのイデオロギーに十分にコミットしていると認められた者だけがリクルートされる。これは、集団意識や近親ネットワークの重視といった社会・文化的要因に加え、リクルート目的での直接の接触を禁ずる法律の不在という制度的要因など、マレーシアとは異なる状況が作用している。作戦においては、ISIS中枢とローカル・グループが「Telegram」や暗号化された独自のメッセージング・アプリを使用して連絡を取り合っており、近年はローカル・グループが主導して、「近い敵」の選定をしている可能性がある。 | ||
+ | |||
+ | ---- | ||
参考文献 | 参考文献 | ||
永田和泉(2018)『アジアに生きるイスラーム』株式会社イースト・プレイス | 永田和泉(2018)『アジアに生きるイスラーム』株式会社イースト・プレイス |
最新版
1 ISISとは ISISとは、2014年に「カリフ制」を宣言してイラクとシリアの一部を支配したイスラーム過激派グループである。
2 ISIS活用するソーシャル・メディア ISISが東南アジアへ浸透するのに大きな役割を果たした、ソーシャル・メディアの活用の仕方は国によって異なる。東南アジアで、ISISによるソーシャル・メディアの活用の盛んな国の一つがマレーシアである。マレーシア国際イスラーム大学のエルムハンマディ氏へのインタビューによると、マレーシアでのISISのリクルートやテロ計画においては、フェイスブックやメッセージング・アプリの「WhatsAPP」がよく用いられているという。マレーシアのテロ対策関連法が予防拘禁も認める厳しい内容であるため、非接触かつ手軽なコミュニケーション・ツールは重要だといえる。例をあげると、2016年6月に首都クアランプールから近いスランゴール州のナイトクラブに手りゅう弾が投げ込まれ、8人が怪我をした事件では、マレーシア出身でISISへリクルートを行うワンディ容疑者がフェイスブックを使い犯行声明を投稿している。 一方インドネシアでは、先述のソラウディン氏によると、リクルートや組織間のコミュニケーションにおいてソーシャル・メディアは活用されているが、リクルートの段階で、一般人がISISに参加しようとする場合、最も重視されるのはオフラインでの接触だという。ローカルに活動するISIS関係者へソーシャル・メディアを通じてアクセスし、会合などでの対面の審査を経て、ISISのイデオロギーに十分にコミットしていると認められた者だけがリクルートされる。これは、集団意識や近親ネットワークの重視といった社会・文化的要因に加え、リクルート目的での直接の接触を禁ずる法律の不在という制度的要因など、マレーシアとは異なる状況が作用している。作戦においては、ISIS中枢とローカル・グループが「Telegram」や暗号化された独自のメッセージング・アプリを使用して連絡を取り合っており、近年はローカル・グループが主導して、「近い敵」の選定をしている可能性がある。
参考文献 永田和泉(2018)『アジアに生きるイスラーム』株式会社イースト・プレイス