難民17

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難民条約について 第二次世界大戦後、国連加盟国の間で難民問題、特に難民の基本的人権保障に対する意識が高まった。第一次世界大戦後に採択されていた特定の難民集団に関する協定は適用範囲が限られており、第二次世界大戦によって急増した難民への緊急保護の必要性が高まった。このような理由や、難民問題が今や世界的な問題になったこと、難民の保護を保障し問題を解決するためには、国際的な協調と団結が大切であるという認識に基づいて、1951年7月に開催された外交会議で「難民の地位に関する条約」が採択された。1967年1月31日に採択された「難民の地位に関する議定書」は、1951年の条約にあった地理的・時間的制約を取り除いたもので、通常、この二つをあわせて「難民条約」という。1951年の難民条約の第1条で、難民とは「人種、宗教、国籍もしくは特定の社会的集団の構成員であることまたは政治的意見を理由に迫害を受けるおそれがあるという十分に理由のある恐怖を有するために、国籍国の外にいる者であって、その国籍国の保護を受けられない者またはそのような恐怖を有するためにその国籍国の保護を受けることを望まない者」と定義されている。また、同条では難民が難民ではなくなった場合の規定や、当該個人が、平和に対する犯罪、戦争犯罪及び人道に対する犯罪や、難民として避難国へ入国することが許可される前に避難国の外で重大な犯罪(政治犯罪を除く)を行った場合には、難民条約が適用されないことを規定している。難民条約には、難民の権利や義務についての規定がある。その中でも特に保障されているものとして、難民を彼らの生命や自由が脅威にさらされるおそれのある国へ強制的に追放したり、帰還させたりしてはいけない(難民条約第33条、「ノン・ルフルマンの原則」)や、庇護申請国へ不法入国し、また不法にいることを理由として、難民を罰してはいけない(難民条約第31条)という決まりがある。どちらも難民に保護を保障し、生命の安全を確保するための大切な決まりである。

日本の難民受け入れについて 2011年以降、63人のシリア人が難民認定を申請しているが、認められたのは3人だけである。難民受け入れの代わりに、シリア、イラクの難民と国内避難民向けに約8.1億ドル(約969億円)を支援すると表明している。日本は2014年、1億8160万ドルを国連の難民対策部門に支出した。これは、アメリカに次いで2番目に多いが、シリアや他の難民受け入れは、その経済規模に見合っていない。日本で難民資格を申請している60人のシリア人のうち、認められたのは3人であり、約30人は人道上の理由で長期滞在が認められているだけである。しかし、日本にもかつて難民を積極的に受け入れてきた経緯もある。1978年から、受け入れが終了した2005年末まで、インドシナ難民総数144万人中11,319人を受け入れてきた。インドシナ難民とは、1975年のベトナム戦争前後に、ベトナム、カンボジア、ラオスなどで、相次ぐ社会主義体制への移行を拒否してきた難民である。政府は受け入れ以前、難民条約批准にしてこなかったが、「閣議了解」で受け入れを決め、定住促進センターをつくり、日本語教育や職業紹介・職業訓練をしてきた。

参考文献 https://www.unhcr.org/jp/treaty_1951 難民条約について-UNHCR Japan- 国連難民高等弁務官事務所編「世界難民白書」読売新聞社 1994 石井昭夫「難民を知るための基礎知識」明石書店 2017


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