教育の国際化
出典: Jinkawiki
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2019年12月31日 (火) 16:49の版 Daijiten2014 (ノート | 投稿記録) 次の差分へ → |
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世界のグローバル化が進み、教育のあり方も変化してきている。国際的な視点による教育の課題をいくつか説明する。 | 世界のグローバル化が進み、教育のあり方も変化してきている。国際的な視点による教育の課題をいくつか説明する。 | ||
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[教育制度の国際化] | [教育制度の国際化] | ||
これまで、それぞれの国の教育制度については、その国の学習状況に応じて定められたり、修正されたりを繰り返してきた。しかし、今日では国境を越えた学びが広がっているため、教育制度を普遍化することが求められる。19世紀後半から義務教育制度が広まりはじめ、基礎的な知識を身に付けることができ、各国の教育が改善された。現在では、ある国で学んだ学生が別の国の学校に転入することや単位互換制度の充実も必要になってきている。 | これまで、それぞれの国の教育制度については、その国の学習状況に応じて定められたり、修正されたりを繰り返してきた。しかし、今日では国境を越えた学びが広がっているため、教育制度を普遍化することが求められる。19世紀後半から義務教育制度が広まりはじめ、基礎的な知識を身に付けることができ、各国の教育が改善された。現在では、ある国で学んだ学生が別の国の学校に転入することや単位互換制度の充実も必要になってきている。 | ||
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[留学生の受け入れ] | [留学生の受け入れ] | ||
留学の歴史を辿ってみると、それは飛鳥時代から平安時代にかけての遣隋使・遣唐使に始まる。時代は進み、明治時代になると、お雇い外国人という人々が現れた。例としては夏目漱石の留学中に教師であったラフカディオ・ハーン(小泉八雲)がいる。彼らの授業は全部英語やフランス語であったため、当時の学生は語学力が高かったようだ。そして、現在では「日本留学フェア」や「日本留学セミナー」など日本に留学する海外の学生へのサポートだけでなく、「留学生支援制度」といった日本人学生の海外留学の支援も日本学生支援機構(JASSO)によって行われている。これからの時代、国際理解教育や外国語教育を拡充させることも重要になると考えられるため、留学生の受け入れだけでなく、日本人の海外留学も国際交流につながる。 | 留学の歴史を辿ってみると、それは飛鳥時代から平安時代にかけての遣隋使・遣唐使に始まる。時代は進み、明治時代になると、お雇い外国人という人々が現れた。例としては夏目漱石の留学中に教師であったラフカディオ・ハーン(小泉八雲)がいる。彼らの授業は全部英語やフランス語であったため、当時の学生は語学力が高かったようだ。そして、現在では「日本留学フェア」や「日本留学セミナー」など日本に留学する海外の学生へのサポートだけでなく、「留学生支援制度」といった日本人学生の海外留学の支援も日本学生支援機構(JASSO)によって行われている。これからの時代、国際理解教育や外国語教育を拡充させることも重要になると考えられるため、留学生の受け入れだけでなく、日本人の海外留学も国際交流につながる。 | ||
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[教師の過重労働] | [教師の過重労働] | ||
今、日本では教師の過重労働が問題としてよく取り上げられ、部活動などが原因として考えられる。しかし、これは日本だけの問題ではない。例えば、イギリスでは生徒が教師に暴力を振るうことが多い。また、フランスでは教育困難地域と指定される地域があり、その地域は予算上優遇されて教師を多く配置することができる。しかし、こうした原因による過重労働は授業の準備不足や授業の質の低下につながり、結果として子どもの学力が低下することが心配される。 | 今、日本では教師の過重労働が問題としてよく取り上げられ、部活動などが原因として考えられる。しかし、これは日本だけの問題ではない。例えば、イギリスでは生徒が教師に暴力を振るうことが多い。また、フランスでは教育困難地域と指定される地域があり、その地域は予算上優遇されて教師を多く配置することができる。しかし、こうした原因による過重労働は授業の準備不足や授業の質の低下につながり、結果として子どもの学力が低下することが心配される。 | ||
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[国際学力調査] | [国際学力調査] | ||
- | 国際学力調査は各国に影響を与え、教育を大きく動かしている。国際学力調査として経済協力開発機構(OECD)による「生徒の学習到達度調査(PISA)※1」や国際教育到達度評価学会(IEA)による「国際数学・理科教育動向調査(TIMSS)※2」がある。日本はTIMSSにおいても、PISAにおいても、世界で上位にのぼる。しかし、2003年実施のPISAとTIMSSでは学力低下を示す結果となり、 | + | 国際学力調査は各国に影響を与え、教育を大きく動かしている。国際学力調査として経済協力開発機構(OECD)による「生徒の学習到達度調査(PISA)※1」や国際教育到達度評価学会(IEA)による「国際数学・理科教育動向調査(TIMSS)※2」がある。日本はTIMSSにおいても、PISAにおいても、世界で上位にのぼる。しかし、2003年実施のPISAとTIMSSでは学力低下を示す結果となり、文部科学省は脱ゆとり教育として学力重視の教育政策へと転換した。しかし、その後、2013年12月20日号の朝日新聞では「池上彰の新聞ななめ読み」という連載において「学習到達度調査(PISA)発表うのみにしないで」という記事があった。また、PISAが国に影響を与える理由としては、国別の成績や順位が表されることで各国がその結果を気にするため、そしてPISAが21世紀型の能力を育てることを目指しているためである。PISAによって各国の教育が改善されている一方で、調査の結果に振り回されているともいえる。さらに、試験とリテラシーは両立できるのか、そして教育(今あるものを教えられること)を受けながら、今ないものを創造できるかという問題もある。 |
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+ | 今日では、人工知能(AI)の技術も進歩し、そうした最先端技術を有効活用した教育も始められている。教育の国際化は、盛んな国際交流や地球規模での国際協力に貢献すると考えられる。 | ||
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+ | 以下の2つの注は、下記参考文献より引用 | ||
+ | ※1 生徒の学習到達度調査(PISA) | ||
+ | 多くの国で義務教育が修了する15歳の生徒(日本では高校一年生)が、将来生活していく上で必要とされる知識や技能などをどの程度習得しているのかを、①読解力、②数学的リテラシ―、③科学的リテラシ―の観点から各国共通のテストによって測定し、各国の教育成果を相対化することによって教育政策の立案に役立てることを目的にしている。 | ||
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+ | ※2 国際数学・理科教育動向調査(TIMSS) | ||
+ | 初等中等教育段階の第四学年(日本では小学四年生)と第八学年(日本では中学二年生)における生徒の数学と理科の教育到達度を各国共通のテストによって測定するとともに、各国の教育制度や教育課程(カリキュラム)、指導方法や教員の資質、生徒の教育条件などを調査して、教育到達度とそれらの要因との関係を明らかにすることにより、各国の教育改善に資するデータを提供することを目的としている。 | ||
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+ | [参考文献] | ||
+ | ・「教育と比較の眼」(江原武一,2018,東信堂) |
2019年12月31日 (火) 16:49の版
世界のグローバル化が進み、教育のあり方も変化してきている。国際的な視点による教育の課題をいくつか説明する。
[教育制度の国際化]
これまで、それぞれの国の教育制度については、その国の学習状況に応じて定められたり、修正されたりを繰り返してきた。しかし、今日では国境を越えた学びが広がっているため、教育制度を普遍化することが求められる。19世紀後半から義務教育制度が広まりはじめ、基礎的な知識を身に付けることができ、各国の教育が改善された。現在では、ある国で学んだ学生が別の国の学校に転入することや単位互換制度の充実も必要になってきている。
[留学生の受け入れ]
留学の歴史を辿ってみると、それは飛鳥時代から平安時代にかけての遣隋使・遣唐使に始まる。時代は進み、明治時代になると、お雇い外国人という人々が現れた。例としては夏目漱石の留学中に教師であったラフカディオ・ハーン(小泉八雲)がいる。彼らの授業は全部英語やフランス語であったため、当時の学生は語学力が高かったようだ。そして、現在では「日本留学フェア」や「日本留学セミナー」など日本に留学する海外の学生へのサポートだけでなく、「留学生支援制度」といった日本人学生の海外留学の支援も日本学生支援機構(JASSO)によって行われている。これからの時代、国際理解教育や外国語教育を拡充させることも重要になると考えられるため、留学生の受け入れだけでなく、日本人の海外留学も国際交流につながる。
[教師の過重労働]
今、日本では教師の過重労働が問題としてよく取り上げられ、部活動などが原因として考えられる。しかし、これは日本だけの問題ではない。例えば、イギリスでは生徒が教師に暴力を振るうことが多い。また、フランスでは教育困難地域と指定される地域があり、その地域は予算上優遇されて教師を多く配置することができる。しかし、こうした原因による過重労働は授業の準備不足や授業の質の低下につながり、結果として子どもの学力が低下することが心配される。
[国際学力調査]
国際学力調査は各国に影響を与え、教育を大きく動かしている。国際学力調査として経済協力開発機構(OECD)による「生徒の学習到達度調査(PISA)※1」や国際教育到達度評価学会(IEA)による「国際数学・理科教育動向調査(TIMSS)※2」がある。日本はTIMSSにおいても、PISAにおいても、世界で上位にのぼる。しかし、2003年実施のPISAとTIMSSでは学力低下を示す結果となり、文部科学省は脱ゆとり教育として学力重視の教育政策へと転換した。しかし、その後、2013年12月20日号の朝日新聞では「池上彰の新聞ななめ読み」という連載において「学習到達度調査(PISA)発表うのみにしないで」という記事があった。また、PISAが国に影響を与える理由としては、国別の成績や順位が表されることで各国がその結果を気にするため、そしてPISAが21世紀型の能力を育てることを目指しているためである。PISAによって各国の教育が改善されている一方で、調査の結果に振り回されているともいえる。さらに、試験とリテラシーは両立できるのか、そして教育(今あるものを教えられること)を受けながら、今ないものを創造できるかという問題もある。
今日では、人工知能(AI)の技術も進歩し、そうした最先端技術を有効活用した教育も始められている。教育の国際化は、盛んな国際交流や地球規模での国際協力に貢献すると考えられる。
以下の2つの注は、下記参考文献より引用
※1 生徒の学習到達度調査(PISA)
多くの国で義務教育が修了する15歳の生徒(日本では高校一年生)が、将来生活していく上で必要とされる知識や技能などをどの程度習得しているのかを、①読解力、②数学的リテラシ―、③科学的リテラシ―の観点から各国共通のテストによって測定し、各国の教育成果を相対化することによって教育政策の立案に役立てることを目的にしている。
※2 国際数学・理科教育動向調査(TIMSS) 初等中等教育段階の第四学年(日本では小学四年生)と第八学年(日本では中学二年生)における生徒の数学と理科の教育到達度を各国共通のテストによって測定するとともに、各国の教育制度や教育課程(カリキュラム)、指導方法や教員の資質、生徒の教育条件などを調査して、教育到達度とそれらの要因との関係を明らかにすることにより、各国の教育改善に資するデータを提供することを目的としている。
[参考文献]
・「教育と比較の眼」(江原武一,2018,東信堂)