ワイン起源

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2020年1月31日 (金) 12:15の版
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ワインづくりはどこではじまったのだろうか。古代ワインの起源にくわしいパトリック.マクガヴァンは、イラン南西部ザグロス山脈のハッジ、フィルズ·テペ遺跡で、新石器時代の人類最古のワインと思われるものを発見した。科学的分析の結果、マクガヴァンらが発見した土器の内容物の残落は酸酵したプドウ果汁、すなわちワインであることがわかった。この遺跡は紀元前5400年か5000年のものであり、家庭規模でワインづくりが行なわれていた最古の証拠と考えられる。歴史書や古代の文献は伝説や風聞に基づいている可能性があるものだが、マクガヴァンの調査は、これほど古い時代からシステマチックなワインづくりが試みられていたという具体的証拠を考古学や自然科学が提供できることを実証している。 たとえば、土器の破片に酒石酸[プドウなど酸味の強い果実に含まれる有機化合物]や酒石酸カルシウムの残滓があれば、これらの物質を測定できるほど大量に含んでいるのはワインだけなので、ワインがあったと言える。酵母の残留物は酸酵が起きた証拠であり、木の残留物は、こうした原始的なワインがおそらく保存剤でもあった樹脂でひんぱんに香りづけされていたことを示唆する。 野生プドゥ V. vimifera silvestris のDNAと現代の栽培種のDNAを比較すれば、さらに多くのことが明らかになるかもしれない。行き当たりばったりのワインづくりから、栽培化されたV u sativa を使ったシステマチックなワインづくりに移行した正確な時期を特定できるかもしれない、とマクガヴァンらは期待している。システマチックなブドウ栽培とワインづくりのプロセスのルーツを探す旅は、歴史の深い霧をはてしなくさかのぼる必要がある。ワインの起源をめぐる調査は継続中だ。しかしこれだけは言える。 飲みものとして通用するようになるまで、栽培とその後の時間のかかる作業にこれほど神経を使う農産物はほかにない。ワインは別格だったーいまもそれは変わらない。こうした並ならぬ努力の成果は実際に高く評価された。神からの贈りものと言われたほどの、特別でユニークな飲みものの創造だったのだから。


参考文献:ワインの歴史(著者)マルク・ミロン 原書房


ハンドルネーム:ka.ka


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