インドの言語

出典: Jinkawiki

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2009年1月30日 (金) 18:27の版
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 インドの言語について、使用されている言語の正確な数を知ることは現在ほぼ無理があるとされている。現在において約100から200の言語が使用されていると言われている。1991年のセンサスでは、1万人以上の話者のいる言語の数を114言語としている。最も話者数の多いヒンディー語にしても、総人口の40%を占めているに過ぎない。これを考えると、約60%の人々がヒンディー語以外の言語を母語としていることになる。そして、インドの他言語の特徴としては多文字の使用が挙げられる。インドの言語状況を端的に言い表せるものは、紙幣である。インドの連邦レベルの公用語であるヒンディー語をはじめ、紙幣中央左右には15の言語で列記されている。インドの100ルピー紙幣には、アッサム語、ベンガル語、グジャラート語、カンナダ語、カシュミール語、コーンクニー語、マラヤーラム語、マラーティー語、ネパール語、オリヤー語、パンジャーブ語、サンスクリット語、タミル語、テルグ語、ウルドゥー語。これらはいずれも州レベルの公用語であり、発音や文字もそれぞれ異なっている。紙幣に記憶された公用語の他にも、インドの言語では非常に多くの言語が話されているが、系統的にみるとインドの言語は次の5つの部族に大別できる。

インドの語族

①インド・アーリア語族。2億6000万人にものぼる話者人口を持つヒンディー語、バングラデシュも含めると、1億5000万の話者人口を誇るベンガル語、パンジャーブ州の公用語であるパンジャーブ語、マハーラーシュトラ州の公用語であるマラーティー語などの、紙幣に記憶された北インドの主要な言語はこの系統に属する。なお、紙幣にも登場するサンスクリット語は現代インド・アーリア諸語の古典語にあたり、この語族の生みの親となっている。


②ドラヴィダ語族。南インドの4つの州の公用語であるタミル語、カンナダ語、テルグ語、マラヤーラム語がこの系統に属する。それぞれ異なった文字を持つ。


③ムンダ語族。ジャールカンド州から西ベンガル州、オリッサ州にかけて分布するサンタル語やムンダ語がこの系統に属する。紙幣に登場する言語ではないが、歴史的にはインド・アーリア語族やドラヴィダ語族よりも古くからインド亜大陸で話されていたと考えられている。


④チベット・ビルマ語族。インド北東部のアッサム州からミャンマーにかけて広がる。ナガランド州、ミゾラム州、マニプル州などに点在する少数民族の諸言語がこの系統に属する。


⑤アンダマン諸語。ベンガル湾に浮かぶアンダマン諸島で話されている諸言語。まだ系統関係は明らかになっていない。


インドの「言語領域」

言語学的に見ると、インドは異なった系統の言語が同じ特徴を持つ「言語領域」として有名である。例として、インド・ヨーロッパ語族の中のインド・アーリア語族だけが反舌音(舌を持ち上げて発音される語)を持つが、この音はドラヴィダ語族にもムンダ語族にも見られる。こうした地域特性として、この反舌音以外にも、擬音、擬態語、複合動詞など、音韻や語彙面のみならず、統語論にまで及ぶ。正に「多様性の中の統一」を象徴しているのがインドの言語の特徴である。これに対する、地域特性を扱うインド言語領域論は現在一番多く研究されているテーマであり、成果が期待されている。


参考文献

「インドを知るための50章」 2003年4月10日 初版第1版発行 編集者 重松伸司 発行所 株式会社 明石書店

「現代インドを知るための60章」 2007年10月10日 初版第1版発行 発行者 石井昭男 発行所 株式会社 明石書房

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