『危機に立つ国家』

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2009年2月1日 (日) 05:11の版
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『危機に立つ国家』とは、1983年にアメリカ合衆国が教育の危機的状況を訴えた連邦報告書である。これをきっかけに全国的な教育改革運動が起こった。


内容

現状

・ 10年前完了した学力の国際比較では、アメリカの学生・生徒は学力テストのうち19種類で1位または2位がとれなかったし、他の工業化諸国と比べると7回も最下位になっている。

・アメリカの成人のうち約2,300万人は、日常の読み、書き、理解のテストで機能的に文盲である。

・17才のアメリカ人の約13%が機能的に文盲 であることがわかった。特に少数民族の青年層ではこれが40%にも及んでいる。

・大学入試委員会実施の進学適性テスト(SAT) の得点は、1963年から1980年にかけて、実質低下しっぱなしである。

・大学入試委員会実施の学力試験も、近年は物理、英語などの教科で一貫して低下している。

・17才青年層の多数が「高度の」知的スキルを期待ほどもっていない。40%近くは文書題からの推論ができないし、説得力のある論文の書けるのは五分の一にすぎない。

・1969年、1973年、1977年に行われた科学能力の全国評価によると、17才青年層の科学の成績点は毎回低下している。

・産業界、軍の指導者も、読み、書き、スペリング、計算などの基礎技能について、補充指導の教育・訓練計画を実施するのに、数百万ドルもかかるとこぼしている。


提案

・ 教育内容 州および各自治体の高校の卒業要件を強化するよう提案。卒業免除を取得しようと思えば、少なくとも5つの新しい教科の基礎を固めておく必要がある。そのためには高校4年間に次のカリキュラムを履修しなければならない。国語4年間、数学3年間、理科3年間、社会科3年間、コンピュータ科学1年半。大学進学者はこれに加え高校で2年間の外国語学習。

・ 教育基準と教育期待 学校・大学はもっときびしい、測定可能な基準を用いること。学生・生徒の学業と行動に対する期待を高めること。4年制大学は入学許可基準を高めること。

・ 時間配当 新しい基礎教科の学習にもっと時間をかけること。一日の授業時数をもっと有効に使うか、時間数を延ばすか、一年の授業日数を延ばす。

・ 教員 教員養成の改善、教職をもっと報酬の多い、尊敬される職業にする。

・ 指導と財政援助 改革の実現に必要な指導は、教育者と選挙できめられた役職者に、責任をもって行わせる。国民は本審議会提案の改革の実行に必要な、財政援助と一貫性を保証すること。


評価

・多くの人々は21年後の今も余り向上していない。

・SAT(大学入試適性検査)は1983年以来、少しは向上したが、依然として1970年代のレベルである。

・少数派生徒や貧しい生徒は、最も挑戦しなければならないコースで取り残されている。しかし、“英語を話せない”生徒を多く学校が受け入れ、彼らに対してよく学校は努力している。

・教育の問題を連邦が州や地方に任せず、連邦が第一線に立ち中央の問題として、その役割を果たしたことは評価すべきである。教育を国家的話題とした。

・「目標2000―米国教育法」では数学、理科の学力を世界的水準にまで引き上げることなど8大目標の設定させるものとなった。

これらを一言でいえば理想的、抽象的でありすぎたという反省があろう。そこで具体的な目標、数値目標、結果責任などを明示したNo Child Left Behind法へと進ませたものと考えるべきであろう。


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