クリーン開発メカニズム3

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2009年8月9日 (日) 01:24の版
Daijiten2009 (ノート | 投稿記録)

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クレジットの発行 クレジットの発行
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 クレジットとは先進国間で取引可能な温室効果ガスの排出削減量証明(CER)のこと。  クレジットとは先進国間で取引可能な温室効果ガスの排出削減量証明(CER)のこと。
地球温暖化防止のため、先進国は京都議定書に基づいて、CO2の排出量上限を決めているが、自国の排出削減努力だけで削減しきれない分について、排出枠に満たない国の排出量を取引することができる。 地球温暖化防止のため、先進国は京都議定書に基づいて、CO2の排出量上限を決めているが、自国の排出削減努力だけで削減しきれない分について、排出枠に満たない国の排出量を取引することができる。
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クリーン開発メカニズムの目的 クリーン開発メカニズムの目的
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 クリーン開発メカニズムを規定している京都議定書第12 条はその目的を、  クリーン開発メカニズムを規定している京都議定書第12 条はその目的を、
①非附属書Ⅰ締約国(条約の最後に添付されている附属書Ⅰに記載されている締約国以外の締約国。途上国)の持続可能な開発への支援と、 ①非附属書Ⅰ締約国(条約の最後に添付されている附属書Ⅰに記載されている締約国以外の締約国。途上国)の持続可能な開発への支援と、
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京都の驚き 京都の驚き
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 2つの目的はこの順番で記載されており、一見すると非附属書Ⅰ締約国への支援が主目的、あるいはそちらの方に重点が置かれているように見える。しかし、クリーン開発メカニズムで重点が置かれているのは、明らかに後者の方である。  2つの目的はこの順番で記載されており、一見すると非附属書Ⅰ締約国への支援が主目的、あるいはそちらの方に重点が置かれているように見える。しかし、クリーン開発メカニズムで重点が置かれているのは、明らかに後者の方である。
それは議定書交渉の過程において、クリーン開発メカニズムが登場し、条文として採用されるまでの経緯を見ても明らかである。 それは議定書交渉の過程において、クリーン開発メカニズムが登場し、条文として採用されるまでの経緯を見ても明らかである。
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クリーン開発メカニズムプロジェクトの実施状況 クリーン開発メカニズムプロジェクトの実施状況
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 クリーン開発メカニズムの登録件数は、2004 年の1 件から始まり2005 年末には63 件に増加した。以降も順調に増加しており、2006 年末時点で472 件、2007 年10 月18 日現在では819 件となっている。  クリーン開発メカニズムの登録件数は、2004 年の1 件から始まり2005 年末には63 件に増加した。以降も順調に増加しており、2006 年末時点で472 件、2007 年10 月18 日現在では819 件となっている。
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参考文献 参考文献
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 石井孝明 京都議定書は実現できるのか:CO2規制社会のゆくえ  平凡社  石井孝明 京都議定書は実現できるのか:CO2規制社会のゆくえ  平凡社
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 http://www.eic.or.jp/ecoterm/?act=view&ecoword=%A5%AF%A5%EA%A1%BC%A5%F3%B3%AB%C8%AF%A5%E1%A5%AB%A5%CB%A5%BA%A5%E0  http://www.eic.or.jp/ecoterm/?act=view&ecoword=%A5%AF%A5%EA%A1%BC%A5%F3%B3%AB%C8%AF%A5%E1%A5%AB%A5%CB%A5%BA%A5%E0
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 http://page.freett.com/hibiki5/sotsuron-2.htm  http://page.freett.com/hibiki5/sotsuron-2.htm

最新版

(Clean Development Mechanism:CDM)京都メカニズムの1つ。 先進国が開発途上国に技術や資金を提供し、その国の持続可能な開発を助ける温暖化対策を行った場合、その事業によって得られた排出削減量を先進国の削減目標の達成に参入出来る制度。


クレジットの発行


 クレジットとは先進国間で取引可能な温室効果ガスの排出削減量証明(CER)のこと。 地球温暖化防止のため、先進国は京都議定書に基づいて、CO2の排出量上限を決めているが、自国の排出削減努力だけで削減しきれない分について、排出枠に満たない国の排出量を取引することができる。 この排出量を企業間や国際間で流通するときに取り扱われるのがクレジット。 先進国が途上国と共同で温室効果ガスの排出削減(または吸収増大)等のプロジェクトを行い、その結果生じた排出削減量(または吸収増大量)に基づいてクレジットを発行し、そのクレジットをプロジェクト参加者間で分け合う。



クリーン開発メカニズムの目的


 クリーン開発メカニズムを規定している京都議定書第12 条はその目的を、 ①非附属書Ⅰ締約国(条約の最後に添付されている附属書Ⅰに記載されている締約国以外の締約国。途上国)の持続可能な開発への支援と、 ② 附属書Ⅰに記載されている国々(先進国及び旧ソ連、東欧の国々)の目標達成の支援との二つとしている。

①途上国(非附属書I 国)の持続可能な開発への支援 最初の目的は、途上国の持続可能な発展をアシストする、というものである。 クリーン開発メカニズムを通じて実現できると期待されている持続可能な発展への貢献は、低炭素型経済への移行である。途上国が先進国と同じような発展過程を辿るとすると、将来の地球環境は取り返しがつかないほど破壊されてしまうという危険があり、途上国はその発展の早期のうちから低炭素型経済へ移行することが望ましい。 クリーン開発メカニズムによって、低炭素型経済への移行を促すプロジェクトに対する投資が推進されると期待されている。 また、クリーン開発メカニズムによる温室効果ガス削減の二次的効果も期待されている。大気汚染の防止・水質汚濁の防止・水質源や土壌の保全・廃棄物管理・生物多様性の保護等がクリーン開発メカニズム効果として挙げられる。また雇用の創出や生成可能エネルギーによる地方におけるエネルギー供給の促進・農村開発等といった、環境のみに留まらない社会上の便益も期待できる。 ②先進国(附属書I 国)の目標達成の支援 もうひとつの目的は先進国に関するものである。クリーン開発メカニズムは、削減費用の安い場所で排出削減を行い、そこから発生した排出削減クレジットを先進国の数値目標に利用できる仕組みである。その利用によって、先進国は国内対策のみの場合に比べて経済的・効率的に削減目標を達成できると考えられる。温室効果ガスの削減予測モデルはOECD をはじめZ.Zhang やD.Austin らによって研究されているが、それらの予測では第一約束期間の削減目標のおよそ1/3 から半分が途上国におけるクリーン開発メカニズムによって達成されると見込まれている。それだけの大部分を、国内対策よりも少ない費用で削減できることになれば、クリーン開発メカニズムは先進国にとっても魅力的な措置であると言える。


  京都の驚き


 2つの目的はこの順番で記載されており、一見すると非附属書Ⅰ締約国への支援が主目的、あるいはそちらの方に重点が置かれているように見える。しかし、クリーン開発メカニズムで重点が置かれているのは、明らかに後者の方である。 それは議定書交渉の過程において、クリーン開発メカニズムが登場し、条文として採用されるまでの経緯を見ても明らかである。 クリーン開発メカニズムは京都会議の終盤にアメリカの強い働きかけにより、導入が決まったものである。 世界最大の排出国であるアメリカとしては、数量目標達成のための柔軟なメカニズムを少しでも認めさせるという意図で、クリーン開発メカニズムの導入を働きかけたことは、容易に理解できることだろう。その一方で、それまで非附属書Ⅰ締約国を巻き込んだ共同実施に対して、非附属書Ⅰ締約国の多くの国々が反対していたにもかかわらず、クリーン開発メカニズムに対しては反対をしなかった。それはクリーン開発メカニズムが京都議定書における、唯一の資金メカニズムの役割を持っていたからである。「何もないより、何か欲しかった」という、開発途上国関係者の言葉は、状況をよく表している。すなわち、途上国に対する援助は、共同実施に参加させるための「エサ」にすぎなかったのである。 このように、交渉の終盤でにわかに登場し、実施されることが決まったクリーン開発メカニズムは、しばしば「京都の驚き」などと呼ばれる、 京都議定書におけるもっとも革新的な手法として位置づけられているのである。


クリーン開発メカニズムプロジェクトの実施状況


 クリーン開発メカニズムの登録件数は、2004 年の1 件から始まり2005 年末には63 件に増加した。以降も順調に増加しており、2006 年末時点で472 件、2007 年10 月18 日現在では819 件となっている。


参考文献


 石井孝明 京都議定書は実現できるのか:CO2規制社会のゆくえ  平凡社

 http://www.eic.or.jp/ecoterm/?act=view&ecoword=%A5%AF%A5%EA%A1%BC%A5%F3%B3%AB%C8%AF%A5%E1%A5%AB%A5%CB%A5%BA%A5%E0

 http://page.freett.com/hibiki5/sotsuron-2.htm


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