高齢化社会

出典: Jinkawiki

(版間での差分)

2010年2月8日 (月) 23:45の版

総人口に占める65歳以上の高齢者の割合が7%以上である社会のこと。一般的に、高齢化率が14%以上の社会を高齢社会、21%以上の社会を超高齢社会と呼んでいる。


目次

要因

(1)平均寿命の伸長と死亡率の低下

  戦後、栄養状態や衛生状態の改善、医療技術の進歩等によって、乳幼児や青年の死亡率が大幅に低下した。また、終戦直後の平均寿命が男性50.06歳、女性 53.96歳であったのが、現在(2007年)では男性79.19歳、女性85.99歳となっている。男性で29歳、女性で32歳もの伸びをみせている。

(2)出生率の低下

  女性の社会進出により、未婚・晩婚化が進んでいるのが現状である。それに伴い、合計特殊出生率(1人の女性が生涯を通じて産む平均子ども数)に大幅な変化がみられた。合計特殊出生率は1949年第一次ベビーブームで4を超える高水準であり、1年間に270万人もの子供が産まれた。その後、合計特殊出生率は急速に減少するものの、人口規模を維持するのに必要なレベルを示す人口置換水準、2.08あたりを推移していた。1949年に誕生した団塊の世代が出産期に入った1971-1974年に第2次ベビーブームがみられるが、そこから現在に至るまで、出生率の低下傾向は続く。2005年には最低水準の1.26を記録した。


国際比較

     | 65歳以上人口比率の     | 所要年数

国名  |  到達年次            |

_______________________________________________________

      |  7%    14%    20%  | 7~14% 14~20%

日本   | 1970年  1995年  2010年  |   25年   15年

アメリカ | 1945   2010   2025    |   65    15

イギリス|1930   1975   2025   |   45    50

フランス|1865   1990   2025   |   125    35


 上記の表は人口高齢化の速度の国際比較をしたものである。日本の高齢化速度がいかに速いかが見てとれる。


問題点とこれから

・社会保障制度の持続可能性

 先進諸国の老人福祉制度は長らく人口安定的な少産少子社会の到来を予測して設計されてきた。そのため一定程度までの高齢化は織り込んできたが、少子化による高齢化率の急上昇は福祉制度の持続可能性を揺るがす問題となっている。また、高齢化は、一般歳出にしめる社会保障関係費も大きく増大させており、財政赤字の大きな原因となっている。


・年金制度

 高齢化に少子化が伴うことで、扶養者数に対する被扶養者数の比率が上昇し、現役世代の年金負担が増加する。少子化により次世代育成負担は減少するが、教育欲の高まりにより一部相殺される。また公的支援が補助的役割にとどまる次世代育成負担を、公的支援が中心的役割を担う老人福祉へ付け替える際には、名目上の可処分所得減少が生じるため、国民の反発が強い。そのため年金負担の増加は抑制的となり、年金給付の減額が必要となる。すると過渡的に年金負担額が高く年金受給額が低い世代が生じ、年金制度への不信感が醸成される。こうしたことから年金の未加入・未払いが増加しており、世代間の扶養体制の維持が不安視される。負担の抑制と給付の維持を両立するためには、現役世代を増やし引退世代を減らせばよい。そこで給付開始年齢の引き上げ、定年の延長、安定した雇用環境の構築、失業率の改善などが検討・実施されている。


・医療保険制度    医療保険制度は一般に被扶養世代である年少世代と高齢世代に手厚い保障を行っているが、一般に高齢化による医療費増大は少子化による医療費減少を大きく上回る。そのため高齢世代の自己負担割合の増加、生活習慣病の予防推進などの医療費削減策が検討・実施され、制度の維持可能性を保持する努力が続けられている。


参考文献

『少子高齢化と社会政策』玉井金五・久本憲夫編 法律文化社

『生活大国へ 高齢社会をどう豊かに生きるか』岡沢憲芙 丸善ライブラリー


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