ファウスト

出典: Jinkawiki

(版間での差分)

2010年2月9日 (火) 23:38の版

①(Johann Faust)ルネサンス期に生きたとされる人物。のち伝説化され、民衆本「ファウスト博士」などで有名。諸学に通じて、医師、魔術師として各地を遍歴。神にそむき、悪魔メフィストテレスに魂を売る契約をしてその助力を得、冒険と享楽の生活を送り、契約の期限が切れた時に死んだと伝えられる。多くの作家により作品化された。

②ゲーテの劇詩。ファウスト伝説に基づく2部作。第1部は庶民の娘グレートヒェンとの恋愛悲劇を中心とし、第2部は封建末期の宮廷に行き、古典美、神話などの世界を経て、理想の国土の建設を目指す。死後、魂は悪魔のものにならず、天国に昇る。

  『ファウスト』の構成

三つのプロローグ

「献げる言葉」「舞台での前狂言」「天上の序曲」 第Ⅰ部

 学者悲劇 グレートヒェン悲劇

 挿入される脇場面

  「市門の外」「アウエルバッハの地下酒場」「魔女の厨」「ヴァルプルギスの夜」

  「ヴァルプルギスの夜の夢」

第Ⅱ部

 第一幕

 ファウストの忘却と甦り 宮廷世界 母たちの国/ヘレナの幻像

第二幕

ホムンクルスの誕生 古典的ヴァルプルギスの夜

第三幕

ヘレナ悲劇

 ヘレナとファウストの出会い/オイフォリオンの誕生と死/ヘレナの別離

第四幕

皇帝対僭帝の闘争 論功行賞

第五幕

ファウストの頂点と没落と救済


 第Ⅰ部の学者悲劇は、モノローグから始まって、ファウストがメフィストと出会い、若返り、そして新しい冒険に出かける。人間のなしうる認識の不十分さに絶望する学者がその悲劇を克服するためにいかにメフィストと手を結ぶか、という過程が描かれている。

 後半のグレートヒェン悲劇はメフィストの力を借りて若返ったファウストが、グレートヒェンという少女に出会う。そしてファウストに出会うことによってグレートヒェンが破滅していくという悲劇。最後に、グレートヒェンは嬰児殺しの罪で処刑される。

 第Ⅱ部はグレートヒェン悲劇に打ちひしがれていたファウストが、眠りと忘却の力によってよみがえる場面から始まり、ファウストはメフィストの助けによって宮廷に入る。その後場面は彼かつての彼の実験室に移動する。様々な場所を遍歴し、現実世界に戻ったファウストは理想の実現を夢見ながら死を迎え、魂は天使らの手で天上へ迎えられる。


参考

著:ゲーテ 訳:小西悟 「ファウスト」 本の泉社

著:柴田翔 『ゲーテ「ファウスト」を読む』 岩波書店  


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