アダム・スミス3

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アダム・スミス

 アダム・スミス〔Adam Smith〕(1723~90)はイギリスの古典派経済学者で、著書『国富論』の中で、個人の自由な利益追求行動こそが「見えざる手」(an invisible hand)に導かれて、社会全体の富を増進させると説き、国家は極力経済活動に介入しない方が良いとする自由放任主義(レッセ・フェール)を主張した。

見えざる手

 アダム・スミスは市場経済を「見えざる手」に導かれる「予定調和」の秩序とみた。なぜなら、企業のめいめいが利己心につき動かされて個々ばらばらに生産活動をおこなっても、社会は混乱におちいるどころか、かえって調和と繁栄に導かれる、と考えたからである。

国富論

 1776年に出版された『国富論』のなかで、アダム・スミスは、政府のなすべきことはたかだか3つ、国防、司法行政、そしていくつかの公共土木事業だと論じた。彼に『国富論』を書かせた動機の1つは、ギルドなどの独占的職業団体や国王と結びついた特権商人の打破であって、必ずしも市場の全能をとなえたわけではなかった。しかしスミスの学説はやがて自由放任の主張となり、「小さな政府」の擁護へと向かっていった。

 原典
 「彼はふつう、社会一般の利益を増進しようなどと意図しているわけではないし、また自分が社会の利益をどれだけ増進しているのかも知らない。外国産業よりも国内の産業活動を維持するのは、ただ自分自身の安全を思ってのことである。そして生産物が最大の価値をもつように産業を運営のは、自分自身の利益のためなのである。だがこうすることによって、彼は他の多くの場合と同じく、この場合にも、見えざる手に導かれて、自らは意図してもいなかった一目的を促進することになる自分の利益を追求することによって、社会の利益を増進しようと真に意図するよりも、もっと有効に、社会の利益を増進することもしばしばあるのである。(玉野井芳郎ほか訳「国富論」『世界の名著31』中央公論社)」

参考

引用<新編 アプローチ倫理資料 東京法令出版>
引用<現代社会 東京書籍>

HN:KN


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