バイオエタノール

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2010年8月10日 (火) 10:23の版
Daijiten2009 (ノート | 投稿記録)

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== 課題 == == 課題 ==
トウモロコシや麦などの植物資源を原料とするバイオエタノールは、化石燃料のように枯渇する心配はないが、食料や飼料として利用できる作物を原料としているので、バイオエタノールが現在よりも普及すると価格の値上がりによる食料不安が考えられる。また、原料を大量に生産するために森林伐採をするなど、かえって二酸化炭素を増やすことになるという意見もある。 トウモロコシや麦などの植物資源を原料とするバイオエタノールは、化石燃料のように枯渇する心配はないが、食料や飼料として利用できる作物を原料としているので、バイオエタノールが現在よりも普及すると価格の値上がりによる食料不安が考えられる。また、原料を大量に生産するために森林伐採をするなど、かえって二酸化炭素を増やすことになるという意見もある。
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バイオエタノールとは、サトウキビやトウモロコシ、木材等のバイオマスを発発酵して製造されるエタノールである。バイオマスは、上記のような植物のほか、わらやもみ殻、家畜糞尿、下水汚泥、廃油など動植物由来のエネルギー原として再利用できる有機系資源をさしている。バイオエタノールは気候変動枠組条約では「カーボンニュートラル」として位置づけられ、二酸化炭素排出量には計上されない。「カーボンニュートラル」は、植物の光合成の働きによって大気中から二酸化炭素を吸収しているため、燃焼されて二酸化炭素を排出しても、全体としては二酸化炭素量を増加させないという考え方に基づいている。バイオエタノールを3%混合したガソリンをE3と呼び、10%混合したものをE10と呼んでいる。海外ではE5やE20など、様々な混合率のものが使われている。

目次

原料と製造

バイオエタノールの原料は主に、トウモロコシやサツマイモ、麦、タピオカなどのでんぷん質原料と、サトウキビやテンサイなどの糖質原料が使われ、これらの植物に含まれる糖分を微生物によって発酵させ、蒸留してエタノールをつくる。石油などからつくられる合成エタノールと物理化学的性状はまったく同じである。よりバイオマスが多い原料が模索されたり、地域資源の活用と地域の活性化、循環型社会の形成を絡めて、様々な原料を用いたバイオエタノールの生産の実証試験が進められている。

輸送用エコ燃料の種類

バイオエタノールは輸送用エコ燃料の一つとして位置づけられているが、輸送用エコ燃料には下記のような種類があり、一部はすでに多くの国で実用化されている。

(1)バイオディーゼル(BDF)

植物性油脂等(廃食用油等)をメチルエステル化して得られる液体燃料で、主な成分は脂肪酸メチルエステル。特徴は、油代替利用、または軽油との任意の濃度で混合利用が可能である。混合軽油はBDFの混合率によってB5(5%混合)、B20(20%混合)と表記する。

(2)バイオマス液化燃料(BTL)

バイオマスの熱分解ガスをFT(Fischer Tropsch)法によって合成して得られる液体燃料。特徴は、軽油代替利用、または軽油との任意の濃度での混合利用が可能である。軽油と比べて、高セタン価(着火のしやすさを示す数値。高いほど着火にすぐれている)・低硫黄・低アロマである

(3)エコ軽油

植物性油脂等を水素化精製して得られる炭化水素油。特徴は、軽油代替利用、または軽油との任意の濃度での混合利用が可能である。軽油と比べて、高セタン価(着火のしやすさを示す数値。高いほど着火にすぐれている)・低硫黄・低アロマである

海外の状況

世界のバイオエタノール生産はここ数年、急激な伸びを示している。特にブラジルとアメリカでの生産が突出しており、世界の生産量に占める両国の割合は約7割となる。ブラジルでは主にサトウキビを原料としてバイオエタノールを生産している。2006年には400カ所以上のエタノール製造工場があり、現在も100件近くの新規プロジェクトが進行している。世界で唯一、バイオエタノールの輸出余力をもつ国である。アメリカでは主にトウモロコシを原料としている。2006年では全米のトウモロコシ生産量の20%をバイオエタノール用に利用しているが、食料用との競合から価格の高騰が危惧されている。ヨーロッパでは麦類を中心に、テンサイなどを原料として生産している。スペインやフランス、ドイツではガソリン添加剤としてETBE(ガソリンの精製過程などで副生されるイソブテンとエタノールとを化学合成させてつくるもの。オクタン価を高める添加剤として使われる)を活用している。また、ベルギーでは2006年10月からE85の販売を開始し、スウェーデンでは一部の乗用車とバスでE10を使用している。アジアでは、インドで2006年11月からガソリンへのバイオエタノール5%混合を義務化しているほか、中国、タイ、フィリピンでもE10導入が図られている。日本では、京都議定書目標達成計画(2005年4月28日閣議決定)において、2010年までに原油換算で50万klのバイオマス由来輸送用燃料の導入を図ることとしている。これは現状の輸送用燃料全体(8,600万kl)の約0.6%に相当する。

課題

トウモロコシや麦などの植物資源を原料とするバイオエタノールは、化石燃料のように枯渇する心配はないが、食料や飼料として利用できる作物を原料としているので、バイオエタノールが現在よりも普及すると価格の値上がりによる食料不安が考えられる。また、原料を大量に生産するために森林伐採をするなど、かえって二酸化炭素を増やすことになるという意見もある。


参考文献(URL)

環境展望台: http://tenbou.nies.go.jp/

バイオエタノール・ジャパン・関西株式会社: http://www.bio-ethanol.co.jp/

解説委員室: http://www.nhk.or.jp/kaisetsu-blog/


投稿者:おくら


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