一票の格差

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2011年1月25日 (火) 18:01の版
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議員一人当たりの有権者数が違うこと。 議員一人当たりの有権者数が違うこと。
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2010年7月の参院選挙において、議院1人を選ぶのに神奈川選挙区は121万5760人の有権者がいたのに対し、最小の鳥取選挙区では24万2956人。5倍の格差があった。これでは、「すべて国民は法の下に平等」だとする憲法に違反する(違憲)として、選挙の無効を訴える裁判が各地で起きている。 2010年7月の参院選挙において、議院1人を選ぶのに神奈川選挙区は121万5760人の有権者がいたのに対し、最小の鳥取選挙区では24万2956人。5倍の格差があった。これでは、「すべて国民は法の下に平等」だとする憲法に違反する(違憲)として、選挙の無効を訴える裁判が各地で起きている。
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国会議員には地域の代表という意識が強いので、過疎地の声もくみ取る必要があると、都道府県単位の選挙区にこだわってきた。制度の変更は、自分たちの当落にも影響するため、格差の解消は先延ばしにされがちだった。 国会議員には地域の代表という意識が強いので、過疎地の声もくみ取る必要があると、都道府県単位の選挙区にこだわってきた。制度の変更は、自分たちの当落にも影響するため、格差の解消は先延ばしにされがちだった。
こうした流れを心配する裁判所は、10年の選挙に対して、各地で厳しい判決を出している。「違憲」と判断した東京裁は「国会の努力が足りない。今後もまるであてにならない」と非難。複数の県を一緒にして格差を改めるように提案した。 こうした流れを心配する裁判所は、10年の選挙に対して、各地で厳しい判決を出している。「違憲」と判断した東京裁は「国会の努力が足りない。今後もまるであてにならない」と非難。複数の県を一緒にして格差を改めるように提案した。
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 +== 参院の改革案 ==
 +現在、参議院の選挙区は地域のまとまりを重視して都道府県を単位としている。その選挙区で選ばれる議員の数(議員定数)は、投票の権利を持つ有権者の数に応じて偶数で割り当てられ、議員定数の半分ずつを3年ごとに選びなおしている。
 +西岡武夫・参議院議長は2010年12月、都道府県単位の選挙区を廃止し、全国を9ブロックに分ける案を明らかにした。一票の格差は最大1.15倍まで劇的に縮まるが、定数は「東京」だけで24にふくらみ、6県の「東北」は18、9県の「中国・四国」は22となる。2013年の次回選挙から導入を目指して各政党の案と一緒に話し合うが、反対意見も多い。
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 +== 外国の例 ==
 +「違憲」とした2010年の東京高裁裁判で使われたデータによると、日本の参議院にあたる外国の上院の選挙での一票の格差は、イタリア2.41倍、チェコ1.39倍、ポーランド1.71倍、ベルギー1.07倍、オランダ1.01倍などとなっている。日本の参議院選と比べて、格差は小さいと言える。
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 +== 衆院選の格差 ==
 +衆院の選挙区は、47都道府県に1議席ずつ割り振った後、残る議席を人口に比例して配分する。一票の格差は参議院の選挙区よりは小さく、最高裁は「3倍未満は合憲」としてきた。2.30倍だった09年選挙に対しては、高裁の段階で9件の判決が出ており、「違憲」4件、「違憲状態」3件、「合憲」2件となった。2011年中に最高裁の統一判断が示される見通しである。
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 +== 参考文献 ==
 +『朝日新聞』2011年1月15日夕刊「ニュースがわからん!」
 +『日本経済新聞』2011年1月24日夕刊「らいふプラス」

2011年1月25日 (火) 18:04の版

議員一人当たりの有権者数が違うこと。


2010年7月の参院選挙において、議院1人を選ぶのに神奈川選挙区は121万5760人の有権者がいたのに対し、最小の鳥取選挙区では24万2956人。5倍の格差があった。これでは、「すべて国民は法の下に平等」だとする憲法に違反する(違憲)として、選挙の無効を訴える裁判が各地で起きている。 憲法は、選挙制度の決定は原則として国会の議論に任せる「国会の裁量権」を認めている。裁判所が憲法違反かどうかを判断する基準は、①投票の価値に著しい不平等が生まれ、長く続いているか②それを適切に見直さないことが「国会の裁量権」で許される範囲を超えているかの2つだ。 ①に問題がない場合は憲法に反しておらず「合憲」。①の不平等な状態にはあるが、②については国会の裁量の範囲内にあるという場合には、「違憲」とまでは言い切れない「違憲状態」。①②とも見逃せない状態にあって、不平等を放置した国会の責任まで問われる場合に、初めて「違憲」と判断される。

選挙の無効を求める裁判は、その選挙区をカバーする高等裁判所に起こされる。各高裁が判決を出した後、最終的には最高裁判所で統一した判断が示される。 参院ができた1947年当時の最大格差は2.62倍だった。その後、都市部への人口の集中が進んだ結果、92年の選挙では過去最高の6.59倍にまで広がった。以降は、5倍前後である。これまでに最高裁が「違憲」と判断した例はなく、92年の選挙について1度だけ「違憲状態」とした。このため、参院選では「6倍未満は合憲」とする考えが定着してきた。 しかし、5.06倍だった2001年の選挙について最高裁は「このままだと次は違憲になるかもしれない」と警告。国会は、東京と千葉の定数を二つ増やし、栃木と群馬を二つ減らした。このため07年の選挙では格差は4.86倍にまで縮まったものの、最高裁は「定数を少しいじるだけでは大幅な格差縮小は難しい」として、制度自体の見直しを求めていた。 国会議員には地域の代表という意識が強いので、過疎地の声もくみ取る必要があると、都道府県単位の選挙区にこだわってきた。制度の変更は、自分たちの当落にも影響するため、格差の解消は先延ばしにされがちだった。 こうした流れを心配する裁判所は、10年の選挙に対して、各地で厳しい判決を出している。「違憲」と判断した東京裁は「国会の努力が足りない。今後もまるであてにならない」と非難。複数の県を一緒にして格差を改めるように提案した。


目次

参院の改革案

現在、参議院の選挙区は地域のまとまりを重視して都道府県を単位としている。その選挙区で選ばれる議員の数(議員定数)は、投票の権利を持つ有権者の数に応じて偶数で割り当てられ、議員定数の半分ずつを3年ごとに選びなおしている。 西岡武夫・参議院議長は2010年12月、都道府県単位の選挙区を廃止し、全国を9ブロックに分ける案を明らかにした。一票の格差は最大1.15倍まで劇的に縮まるが、定数は「東京」だけで24にふくらみ、6県の「東北」は18、9県の「中国・四国」は22となる。2013年の次回選挙から導入を目指して各政党の案と一緒に話し合うが、反対意見も多い。


外国の例

「違憲」とした2010年の東京高裁裁判で使われたデータによると、日本の参議院にあたる外国の上院の選挙での一票の格差は、イタリア2.41倍、チェコ1.39倍、ポーランド1.71倍、ベルギー1.07倍、オランダ1.01倍などとなっている。日本の参議院選と比べて、格差は小さいと言える。


衆院選の格差

衆院の選挙区は、47都道府県に1議席ずつ割り振った後、残る議席を人口に比例して配分する。一票の格差は参議院の選挙区よりは小さく、最高裁は「3倍未満は合憲」としてきた。2.30倍だった09年選挙に対しては、高裁の段階で9件の判決が出ており、「違憲」4件、「違憲状態」3件、「合憲」2件となった。2011年中に最高裁の統一判断が示される見通しである。


参考文献

『朝日新聞』2011年1月15日夕刊「ニュースがわからん!」 『日本経済新聞』2011年1月24日夕刊「らいふプラス」


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