元禄文化

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特色

元禄文化とは、17世紀の終わりごろから18世紀初頭にかけて、主に上方、すなわち京都・大阪を中心に発展した文化を元禄文化という。近世国家の成立から約百年の間に、目覚ましい経済発展があり、米の生産高は16世紀の終わりに約1800万石であったのが、18世紀初頭にはおよそ2500万石となった。各種産業にも発達し、その経済力を背景に、新しい文化が花開いた。元禄文化は庶民的な色彩が強く、町人の出身だけでなく、近松門左衛門など武士の出身者もかなり多かった。現実謳歌の風潮(憂き世から浮き世へ)があり、合理的精神に基づく学問の発達があった。元禄文化は私的な個人の内面性を表現する文化であった。


代表作品

学問


儒学


・京学派  室鳩巣「六諭衍義大意」、「駿台雑話」

・南学派  浅見絅斎「靖献遺言」

・陽明学派 中江藤樹「翁問答」熊沢蕃山「大学或問」

・古学派 山鹿素行「聖教要録」、「中朝事実」、「武家事紀」荻生徂徠「政談」太宰春台「経済録」

・古義学派 伊藤仁斎・伊藤東涯


史学


・林羅山・林鵞峰「本朝通鑑」

・新井白石「藩翰譜」、「読史余論」、「古史通」

・水戸藩「大日本史」


自然科学

・和算 吉田光由「塵劫記」、関孝和「発微算法」

・暦学 安井算哲「貞享暦」

・農学 宮崎安貞「農業全書」

・本草学 貝原益軒「大和本草」、稲生若水「庶物類纂」、平住専安「袖珍本草雋」

・医学 山脇東洋「蔵志」、平住専安「袖珍医方大成」「産科俗訓」平住専安「唐土訓蒙圖彙」「分類故事要語」

・易学  平住専安「周易本義拙解」「易学啓蒙索驥編」


軍書

・軍史 平住専安「前々太平記」「日本古戦記」



文芸

・古典 契沖「万葉代匠記」、北村季吟「源氏物語湖月抄」

・俳諧 松永貞徳「御傘」(貞門派)、西山宗因「西翁十百韻」(談林派)、松尾芭蕉「俳諧七部集」(蕉風)

・俳文 松尾芭蕉「野ざらし紀行」「笈の小文」「奥の細道」

・小説 仮名草子:浅井了意「東海道名所記」、浮世草子:井原西鶴「好色一代男」(好色物)「武家義理物語」(武家物)「日本永代蔵」(町人物)

・脚本 人形浄瑠璃:近松門左衛門「曽根崎心中」(世話物)「国性爺合戦」(時代物)


美術・工芸

・建築 善光寺本堂・東大寺仏殿

・庭園 後楽園

・絵画 尾形光琳「紅白梅図屏風」「燕子花図屏風」、菱川師宣「見返り美人図」、「歌舞伎図屏風」、住吉具慶「洛中洛外図巻」、土佐光起・光成「秋郊鳴鶉図」

・工芸 陶器:野々村仁清「色絵藤花文茶壺」、「色絵吉野山図茶壺」漆器:尾形光琳「八橋蒔絵螺鈿硯箱」、染色:宮崎友禅「友禅染」


芸能

・歌舞伎 和事:坂田藤十郎、芳沢あやめ 荒事:市川団十郎

・浄瑠璃 語り手:竹本義太夫



参考文献

・ 最新 日本史図表(第一学習者)

・ 日本文化の歴史 著:尾藤正英(岩波新書)

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