コミュニティ・カレッジ2

出典: Jinkawiki

(版間での差分)

Daijiten2009 (ノート | 投稿記録)
(コミュニティ・カレッジ歴史)
次の差分へ →

最新版

目次

コミュニティ・カレッジ歴史

① 誕生期

「アメリカ・コミュニティ・カレッジ協会」*¹によると、1901年イリノイ州のジョリエット・ジュニア・カレッジの開校がコミュニティ・カレッジの歴史の始まりとされる。社会的背景としては、20世紀初頭のアメリカではすでにグローバルな経済競争など様々な面で競争を強いられていた。その中で熟練を積んだ労働力の必要性を感じ、より多くの人々がカレッジに進学して学ぶ必要があった。しかし、当時は高校卒業生の75%以上は進学する意思を持ち合わせていなかった。(入試競走の激化や経済的な理由のため)そんな中でイリノイ州ジョリエット市のセントラル・ハイ・スクールの校長スタンリー・ブラウン氏は自校の生徒の多くの進学希望者を見て、シカゴ大学学長のウィリアム・レーニー・ハーパーの「大学1,2年の学修は、中等学校によっても十分提供されうる」という信念に共感し、4年間のハイスクール・カリキュラムに引き続いて、5,6年生向けのコースを付け加えることを構想したのが始まりである。このことから、当時は「ジュニア・カレッジ(JC)」の呼称であった。同時期に発足したJCはジョリエット校の他に、カリフォルニア州フレノス校、ミズーリ州カンサス・シティ校、ミネソタ州ロチェスター校などがあった。

② 発展期

第二次世界大戦後、コミュニティ・カレッジは急激に発展していく。その大きな原動力となったのが「トルーマン委員会レポート」なるものであった。コミュニティ・カレッジにはこの中で「1.ほとんどあるいはまったく授業料を徴収しない公立のコミュニティ・カレッジのネットワークを拡大する。2.地域の文化センターとして奉仕する。3.市民の責任を強調する総合的なプログラムを提供する。4.配置されている地域のニーズに合わせたサービスをする。」ことを求められた。その中で成功したプログラムの例として、看護師養成プログラムが挙げられる。さらに、1963年の政府のコミュニティ・カレッジやその生徒への支援を増大させる政策により、コミュニティ・カレッジが郊外から大都市にも開校されるようになった。そして、1960年代には約500の新しいコミュニティ・カレッジが全米で開校しその数が急増した。また、この時期は私立のJCは運営費の高騰で競争することが困難であることを認識し、2年制から4年制への転換期をむかえていたことも挙げられる。また、当時開校した学校の中に「種族カレッジ」がある。これは、伝統的なネイティブ・アメリカン文化を永続させること、一般的な中等教育を特別保留地区に提供することを目標として開校された。これは現在でも、種族カレッジ教育を受けたネイティブ・アメリカンを募って教師として特別保留地区へ戻すことが懸案事項として続いている。

③ 現在

最近は開校もそれほど多くはなく安定期に入っているが、時代や社会のニーズに合ったカレッジへの需要は強いものがある。その中で、非常にユニークなプログラムを挙げようと思う。①ヒビング・コミュニティ・カレッジ(ミネソタ)鉱業に興味のある人に向け、重機機械操作プログラムを提供している学校。②マルチ・キャンパス・コミュニティ・カレッジ(アラバマ)空軍のカレッジ本校。生徒は世界中の124校の支部校で準学士号の取得を目指し学んでいる。③ファッション・インスティテュート・オブ・テクノロジィ(ニューヨーク)学生は履き物からベルトまで幅広いアクセサリーのデザインや製法について、実践的な実習として社会でのインターンシップを経験する。④セントラル・ピードモント・コミュニティ・カレッジ(ノースカロライナ)アメリカで唯一の細胞技術プログラムを持っている。内容的に言ったら大学院レベルのコミュニティ・カレッジである。⑤サウス・プレーンズ・カレッジ(テキサス)創造芸術学科で商業音楽プログラムを提供している。全米で最高のブルーグラス音楽の準学士プログラムを提供している。⑥ランドマーク・コミュニティ・カレッジ(ヴァーモンド)失語症、ADHDなどの特殊な学習障害の子供たちを扱うプログラムを用意している。学生は全寮制で1対1の個別指導や少人数指導を受けている。⑦ノース・シアトル・コミュニティ・カレッジ(ワシントン)時計の技術プログラムを提供している。学生は時計のデザイン、メンテナンス、修理の仕方を学ぶ。


  • ¹「アメリカ・コミュニティ・カレッジ協会(American Association of Community Colleges:略称AACC)」・・・200校ほどのコミュニティ・カレッジが加盟する協会。

参考文献:宇佐見忠雄 著2006年『現代アメリカのコミュニティ・カレッジ―その実像と変革の軌跡―』


  人間科学大事典

    ---50音の分類リンク---
                  
                  
                  
                  
                  
                  
                  
                          
                  
          

  構成