R-1乳酸菌

出典: Jinkawiki

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乳酸菌の一種で、正式名称をラクトバチルス・ブルガリクス(Lactobacillus bulgaricus)OLL1073R-1という。桿菌(かんきん・棒状の菌)のブルガリア菌に属する株で、ヨーグルトなどをつくる際に牛乳に混ぜる種菌となり、多糖体(EPS:Exopolys-accharide)を多く産生するのが特徴。 R-1乳酸菌が産生するのは中性と酸性のEPSで、このうち酸性のEPSには、マクロファージやNK(natural killer)細胞を活性化させるIFN-γ(インターフェロン-ガンマ)の産生を促す作用があることが分かっている。NK細胞は、あらかじめ抗原を認識していなくてもウイルスに感染した細胞を攻撃し排除できることから、R-1乳酸菌は免疫力を増強させる効果があると推測され、このことはマウスを用いた実験によって蒸留水投与群との有意差がも確認された。 また、ヒトにおいては、明治乳業が山形県舟形町と佐賀県有田町の60歳以上の高齢者を対象に継続摂取の効果を調べた結果、R-1乳酸菌を使ったヨーグルトを摂取したグループは、牛乳を飲んでいたグループより風邪をひきにくくなることが確かめられた。更に、調査前のNK細胞の活性が低かった人についてはその活性が高まることも分かった。2010年度には、舟形町と有田町の保育園・幼稚園から中学校までの児童・生徒を対象に、給食でR-1乳酸菌を使用したヨーグルトを提供。どちらの地域でも児童・生徒のインフルエンザ罹患(りかん)率が全国平均より低かったと報告されている。特に有田町では、隣接市に比べて児童・生徒のインフルエンザ罹患率が約10分の1程度に抑えられたことを同町内の医師が発表。手洗いやうがいの励行とともに、インフルエンザ予防に効果のあるアイテムとしてワイドショーなどで取り上げられてR-1乳酸菌への関心が高まった。 2012年2月現在、この菌を用いた商品ラインは「明治ヨーグルトR-1」として販売されており、ハードタイプ、ドリンクタイプ、ブルーベリー入り無脂肪タイプの3種類がある。 ( 石川れい子  ライター )

出典:(株)朝日新聞出版発行「知恵蔵2012」 それぞれの用語は執筆時点での最新のもので、常に最新の内容であることを保証するものではありません。


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