宗教と国際政治

出典: Jinkawiki

(版間での差分)

2012年8月3日 (金) 04:41の版

宗教と国際政治

宗教による国際政治  近代以降、国際政治が宗教に左右されることはないと考えるのは普通であったが、9.11に見られるように、必ずしもそうではない。9.11の同時多発テロの原因のひとつとして挙げられているのが、米国の中東政策だとされている。アラブ諸国では米国が支持するユダヤ教国のイスラエルのパレスチナ占領などに対する反感が高まっていた。近代以前のヨーロッパでも多くの宗教戦争が行われ、それによって国家関係や政治が大きく影響された。 たとえば、1618年に始まった30年戦争である。フランスのブルボン家とハプスブルク家の対立は宗教革命後の神聖ローマ帝国を旧教派と新教派の二分化の対立とつながっている。しかし、この過程で旧教派のフランスと新教派のスウェーデンがドイツに対抗するために手を組むなどして、宗教戦争に始まったものが次第に主権(王権)国家間の戦争へと変わった。その後のヨーロッパでは、主権と国益を目的とした国際政治が展開されるようになった。これが、近代国際関係の始まりとされている。


近代国際政治のなかの宗教  上記のような過程と、その後の生協分離が進んだため、国際政治も政教分離、脱宗教が近代的であるとされた。たとえ、ある国の中でいくつかの宗教が信仰されていたとしても、1つにまとめることが国益とされ、それが国際政治の中の国家の義務とされた。そして、国家主権を重視する立場により、国家の対外政策が普遍宗教(カトリックやイスラムなど)への配慮によって左右されることはタブーとされてきた。しかし、こうした現実主義の国際政治は、非道徳的であるとして絶対平和を求める理想主義の国際政治観が生まれた。これにより、国際政治は再度宗教と関係を持つことになった。国際政治と宗教の関係は、現代においても最大難問の1つである。


現代にいおける国際政治と宗教   実際には人々は政治的な枠組みを越えてあらゆる宗教に所属している。非欧米社会での近代国家建設のために、こうしたバラバラば状況を克服するために新たな国民宗教(ナショナリズム)が生まれた。人々が国民国家とは違ったエスニックグループの存在を意識するようになった今日、人と宗教の関連性とその困難さをより身近に感じるだろう。


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