中国の大気汚染

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 +== 中国の大気汚染==
 +中国は急速な経済成長を遂げていくことに伴い、工場から発生する物質による大気汚染問題が近年深刻になっている。地域によって大気汚染の主な発生源も 異なるが、中国全土から見れば、慢性的な 大気汚染の主な原因として、発電所や工場で石炭の大量消費および近年の自動車の急速な普及が具体的に挙げられる。中国では、一次エネルギー総消費量における石炭の構成比が 圧倒的に大きい。2011年の一次エネルギーにおける石炭の構成比は 68.4%であり、78 年以降石炭の構成比に大きな変化がなく、7 割前後を維持している。 石炭の約半分は火力発電所に使われて いるほか、製鉄、セメント工場にも大量に消費されている。しかし、中国国産の石炭 は硫黄含有率が高く、排煙脱硫装置が急速に導入されているにもかかわらず、運転費用が高く、排煙脱硫装置の稼働率がそれほど高くないという問題もある。
-== 概要==+ 
-地域によって大気汚染の主な発生源も 異なるが、中国全土から見れば、慢性的な 大気汚染の主な原因として、発電所や工場 で石炭の大量消費および近年の自動車の急 速な普及が挙げられる。中国では、一次エ ネルギー総消費量における石炭の構成比が 圧倒的に大きい。2011 年の一次 エネルギーにおける石炭の構成比は 68.4%であり、78 年以降石炭の構成比に大 きな変化がなく、7 割前後を維持している。 石炭の約半分は火力発電所に使われて いるほか、製鉄、セメント工場にも大量に 消費されている。しかし、中国国産の石炭 は硫黄含有率が高く、排煙脱硫装置が急速 に導入されているにもかかわらず、運転費 用が高く、排煙脱硫装置の稼働率がそれほ ど高くないという問題もある。+ 
 +== 近年の現状==
 +中国では2013年冬から春にかけ微粒子状物質「PM2.5」による大気汚染が深刻化したが、石炭の燃焼で発生する粉(ふん)塵(じん)が主な原因といわれている。世界の石炭消費量の半分以上を占める中国にとって、粉塵が人体に深刻な影響を及ぼすことを示した研究論文の衝撃は大きい。そして、北京市環境保護監測センターは市内に設置された35カ所のうち33カ所で、6段階の大気汚染指数のうち2番目に悪い「重度の汚染」を記録したと発表した。微小粒子状物質「PM2・5」が大気1立方メートル当たり250マイクログラムを超える値を観測、日本の環境基準(1日平均35マイクログラム)の7倍となった。また、「PM2.5」の影響によるとみられる死者が北京市、天津市、河北省で2011年に9900人に上り、延べ7万人が健康を害し病院で治療を受けたとの研究報告を発表した。報告によると、9900人の死因は肺がんなどで、内訳は北京市が2千人、天津市が1200人、河北省が6700人。ほかに9300人が小児ぜんそくを、1万2千人が慢性気管支炎をそれぞれ患ったという。このような「PM2.5」が人々に与える影響は規模が大きくなっている。
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 +*「PM2.5」とは
 +大気汚染で特に問題となっているのは「粒子状物質(PM10,PM2.5)」。粒子状物質には,工場のばい煙,自動車の排気ガスなどの人為由来,黄砂,森林火災など自然由来のものがある。また,粒子として排出される一次粒子とガス状物質が大気中で粒子化する二次生成粒子がある。粒子状物質は,PM10(直径10ミクロン以下),さらにはPM2.5(直径2.5ミクロン以下)と,粒子の直径が小さくなるほど,肺の奥,さらには血管へと侵入し易くなり,現在問題になっている「PM2.5」は,直径が人の髪の毛の約40分の1という微粒子で,肺の奥,さらには血管まで侵入し,ぜんそく・気管支炎,肺がんや心臓疾患などを発症・悪化させ,死亡リスクも増加させるといわれている。 高齢者や子供,肺・心臓に疾患のある方は,大気汚染に対してより高いリスクを有するため,特に注意が必要。
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 +== 日本への影響 ==
 +中国本土から飛んでくる汚染物質の濃度は中国の10分の1以下だとしても、濃度が高い日には、呼吸器や循環器病の人は外出を控えるなどの対策を取った方がよい。また、マスクを着用するなどの対策を行ってもよい。中国の大気汚染状況に対し、日本の基準値を調べていく必要がある。
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 +== 改善策 ==
 +中国は今後5年間で大気汚染に1兆7000億人民元(2770億ドル)を投じるもようで、社会的な不満の焦点のひとつとなっている問題に対して新政府が懸念を抱いていることが鮮明になった。この資金は有害な微小粒子状物質「PM2.5」の濃度の高い地域に重点的に投資される予定。政府は2017年までに、大気中の排出物量を2012年比で25%低下させることを目指している。このような具体的改善策が検討されていることから、政府は汚染を食い止めるためにはより厳しい対策が必要であることを認識おり、実践していく必要性がある。
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 +参考資料
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 +[1]http://www.nochuri.co.jp/report/pdf/f1304fo1.pdf
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 +[2]msn http://sankei.jp.msn.com/world/news/130618/chn13061823020007-n1.htm
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 +[3]在中国日本大使館 http://www.cn.emb-japan.go.jp/taikiosen2013_j.htm

2013年8月7日 (水) 11:47の版

目次

中国の大気汚染

中国は急速な経済成長を遂げていくことに伴い、工場から発生する物質による大気汚染問題が近年深刻になっている。地域によって大気汚染の主な発生源も 異なるが、中国全土から見れば、慢性的な 大気汚染の主な原因として、発電所や工場で石炭の大量消費および近年の自動車の急速な普及が具体的に挙げられる。中国では、一次エネルギー総消費量における石炭の構成比が 圧倒的に大きい。2011年の一次エネルギーにおける石炭の構成比は 68.4%であり、78 年以降石炭の構成比に大きな変化がなく、7 割前後を維持している。 石炭の約半分は火力発電所に使われて いるほか、製鉄、セメント工場にも大量に消費されている。しかし、中国国産の石炭 は硫黄含有率が高く、排煙脱硫装置が急速に導入されているにもかかわらず、運転費用が高く、排煙脱硫装置の稼働率がそれほど高くないという問題もある。


近年の現状

中国では2013年冬から春にかけ微粒子状物質「PM2.5」による大気汚染が深刻化したが、石炭の燃焼で発生する粉(ふん)塵(じん)が主な原因といわれている。世界の石炭消費量の半分以上を占める中国にとって、粉塵が人体に深刻な影響を及ぼすことを示した研究論文の衝撃は大きい。そして、北京市環境保護監測センターは市内に設置された35カ所のうち33カ所で、6段階の大気汚染指数のうち2番目に悪い「重度の汚染」を記録したと発表した。微小粒子状物質「PM2・5」が大気1立方メートル当たり250マイクログラムを超える値を観測、日本の環境基準(1日平均35マイクログラム)の7倍となった。また、「PM2.5」の影響によるとみられる死者が北京市、天津市、河北省で2011年に9900人に上り、延べ7万人が健康を害し病院で治療を受けたとの研究報告を発表した。報告によると、9900人の死因は肺がんなどで、内訳は北京市が2千人、天津市が1200人、河北省が6700人。ほかに9300人が小児ぜんそくを、1万2千人が慢性気管支炎をそれぞれ患ったという。このような「PM2.5」が人々に与える影響は規模が大きくなっている。

  • 「PM2.5」とは

大気汚染で特に問題となっているのは「粒子状物質(PM10,PM2.5)」。粒子状物質には,工場のばい煙,自動車の排気ガスなどの人為由来,黄砂,森林火災など自然由来のものがある。また,粒子として排出される一次粒子とガス状物質が大気中で粒子化する二次生成粒子がある。粒子状物質は,PM10(直径10ミクロン以下),さらにはPM2.5(直径2.5ミクロン以下)と,粒子の直径が小さくなるほど,肺の奥,さらには血管へと侵入し易くなり,現在問題になっている「PM2.5」は,直径が人の髪の毛の約40分の1という微粒子で,肺の奥,さらには血管まで侵入し,ぜんそく・気管支炎,肺がんや心臓疾患などを発症・悪化させ,死亡リスクも増加させるといわれている。 高齢者や子供,肺・心臓に疾患のある方は,大気汚染に対してより高いリスクを有するため,特に注意が必要。


日本への影響

中国本土から飛んでくる汚染物質の濃度は中国の10分の1以下だとしても、濃度が高い日には、呼吸器や循環器病の人は外出を控えるなどの対策を取った方がよい。また、マスクを着用するなどの対策を行ってもよい。中国の大気汚染状況に対し、日本の基準値を調べていく必要がある。


改善策

中国は今後5年間で大気汚染に1兆7000億人民元(2770億ドル)を投じるもようで、社会的な不満の焦点のひとつとなっている問題に対して新政府が懸念を抱いていることが鮮明になった。この資金は有害な微小粒子状物質「PM2.5」の濃度の高い地域に重点的に投資される予定。政府は2017年までに、大気中の排出物量を2012年比で25%低下させることを目指している。このような具体的改善策が検討されていることから、政府は汚染を食い止めるためにはより厳しい対策が必要であることを認識おり、実践していく必要性がある。


参考資料

[1]http://www.nochuri.co.jp/report/pdf/f1304fo1.pdf

[2]msn http://sankei.jp.msn.com/world/news/130618/chn13061823020007-n1.htm

[3]在中国日本大使館 http://www.cn.emb-japan.go.jp/taikiosen2013_j.htm


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