貧困問題2

出典: Jinkawiki

(版間での差分)
2014年7月26日 (土) 20:37の版
Bunkyo-studen2008 (ノート | 投稿記録)

← 前の差分へ
2014年7月26日 (土) 20:39の版
Bunkyo-studen2008 (ノート | 投稿記録)

次の差分へ →
35 行 35 行
開発途上国における女性の社会参加の機会は限られており、女性の労働の多くが無報酬であったり、労働に見合う正当な賃金や評価を受けていなかったりと、開発途上国の女性は男性よりも貧困の犠牲を受けやすい立場になっている。そのため多くの問題を抱えていると言える。たとえば、女の子は、水汲みや食事の支度、きょうだいの世話などの家事をまかされることが多く、たくさんの国で女の子の小学校就学率や識字率が男の子よりも低いと指摘されている。また、10代で結婚されることもある女の子たちは教育の機会を奪われ、幼いうちに妊娠・出産を強いられた結果、命を落とす場合もある。紛争時には“兵士の妻”や世話係として誘拐されることもあり、女の子を言葉巧みに連れ出し、性産業や工場に売り飛ばす人身売買業者も後を立たないと言われている。 開発途上国における女性の社会参加の機会は限られており、女性の労働の多くが無報酬であったり、労働に見合う正当な賃金や評価を受けていなかったりと、開発途上国の女性は男性よりも貧困の犠牲を受けやすい立場になっている。そのため多くの問題を抱えていると言える。たとえば、女の子は、水汲みや食事の支度、きょうだいの世話などの家事をまかされることが多く、たくさんの国で女の子の小学校就学率や識字率が男の子よりも低いと指摘されている。また、10代で結婚されることもある女の子たちは教育の機会を奪われ、幼いうちに妊娠・出産を強いられた結果、命を落とす場合もある。紛争時には“兵士の妻”や世話係として誘拐されることもあり、女の子を言葉巧みに連れ出し、性産業や工場に売り飛ばす人身売買業者も後を立たないと言われている。
そのほかにも、女性は、家事育児、介護など、収入にならない労働に従事し、農地や家畜などの生産資源を相続・所得できない傾向にもあることから、家庭内の発言権は弱まってしまう。また、HIV/エイズに関する情報や知識が少ない上、生計をたてるため、性産業につくなどの理由から感染の可能性の危険性が高まる恐れがある。このように、女性・女の子は生産活動や社会生活において重要な役割を担っているにも関わらず、教育・保健医療・政治参加などの基礎的な社会参加への機会を男性と平等に与えられていない。 そのほかにも、女性は、家事育児、介護など、収入にならない労働に従事し、農地や家畜などの生産資源を相続・所得できない傾向にもあることから、家庭内の発言権は弱まってしまう。また、HIV/エイズに関する情報や知識が少ない上、生計をたてるため、性産業につくなどの理由から感染の可能性の危険性が高まる恐れがある。このように、女性・女の子は生産活動や社会生活において重要な役割を担っているにも関わらず、教育・保健医療・政治参加などの基礎的な社会参加への機会を男性と平等に与えられていない。
 +
 +
 +== 貧困がなくならない理由==
 +
 +貧困を食い止めるために欧米諸国ではアフリカ諸国へのさまざまな援助・ODAを行っている。総務省のデータによると、2008年の世界全体でのODAの総額は1386億ドル(約12兆円)にものぼり、日本も約7000億円を援助しており、その41%が「サハラ以南のアフリカ諸国」へ向けられる。しかし、これだけ長期かつ多額の援助を行なっているのに関わらず、アフリカ諸国の絶対的貧困層はほとんど減っていないのが現状である。この原因は根が深く、多岐に渡ると言える。例を挙げると、アフリカ諸国へのODAで援助を行った場合、実際に援助が必要な貧困層へ届くのは、援助総額の2割に過ぎないからと言われている。アフリカでは、税関や警察官などにも汚職が行われているケースが広まりつつあり、援助物資を乗せたトラックが検問所を通る度に、その一部が賄賂として徴収される。徴収するのを拒絶すれば、検問を通れないばかりか、ドライバーの身の危険すらある場合もあり、賄賂は事実上「強制徴収」になることも少なくない。
 +また、先進国から直接現地に技術指導に行った場合も、無駄に終わってしまうことも多いと言われている。例えば、水道もなく泥水をすすっている村に援助隊が井戸を掘っても、1年もしないうちに誰かが井戸の部品を売り払ってしまったり、伝染病の予防に「蚊帳」を寄与しても、村人はそれを売り払って日銭に変えてしまったりする。十分に教育を受けられなかった貧困層の人々は、計画的に生活することの重要性を理解していないのである。
 +
 +
 +== 今後の課題==
 +
 +アフリカなどの絶対的貧困地域では、先進国が「施しを与える」という援助を行っても、大部分が無駄に終わってしまう。このような貧困層に対しては、まず教育によって、目先の利益よりも将来を考えた行動が重要であることを教える必要がある。そして、貧困から脱するために「施し」ではなく、「自活を促す」ことが重要視されるだろう。いつまでも物資などを提供していては、彼ら自身の甘えが生じ、援助物資を横領する汚職もなくならないと言える。そういう意味では、単なる施しであるODAよりも、彼ら自身が自分たちの力で金を稼ぎ、貧困から脱出できる仕組みが必要になってくるだろう。貧困層の人々の「自活を促す」仕組みが確立した時、貧困問題が解決への道ができてくると言える。

2014年7月26日 (土) 20:39の版

目次

世界の地域別貧困率

国際貧困ラインに基づく地域別貧困率(2010年)

東アジア・太平洋州地域    12.48%

ヨーロッパ・中央アジア地域  0・66%

ラテンアメリカ・カリブ海地域 5・53%

中東・北アメリカ地域     2・41%(調査対象が総人口の50%未満)

南アジア地域         31.03%

サブサハラ・アフリカ地域   48.47%

全体             20.63%


貧困が引き起こす問題

貧困であるが故にさまざまな問題が立ちはだかる。

① 教育問題

教育を受けられないことによって就業の機会を逃してしまったり、職業に就いても低所得な仕事で貧困が親から子どもへと連鎖してしまったり、そして政治なども含む基礎的な社会参加が困難になってしまったりしてしまう。読み書きをはじめとする必要最低限の知識を習得していないということは、人間開発の点から、貧困そのものであると言える。開発途上国には家庭が貧しく、教育を受けられない子どもが大勢いる。それらの国では授業料などの負担が必要な場合があり、低所得の家庭の中には授業料などの教育費を負担できず、子どもを学校などの教育施設に通わせることができない家庭も多く存在する。教育へのアクセスが損なわれてしまうと、非識字率も高く、計算もままならない程の教育の未発達な状態が起こるため、技能習得や職業訓練の機会損失ということも生じてしまう。

② 保健医療問題

開発途上国の貧困層の人々は必要な栄養を欠いた食生活、汚染された飲料水や風土病の流行など、病気になりやすい生活環境の中で暮らしている側面と、必要な時点での保健・医療サービスへのアクセスが欠如している地理的および経済的側面、さらには民族や性による差別などの社会的側面などのさまざまな問題に直面している。また、貧困層が特定の感染症などの高いリスクにさらされていることも現状の課題である。特にHIV/エイズ感染の関係は、HIV感染の結果としての貧困と、貧困の結果としてのHIV感染の両面を把握する必要がある。貧困としてのHIV感染は、乏しい雇用機会のために性産業に就いたり、家族と離れて出稼ぎに出たりすることによる感染リスクが挙げられるほか、教育や医療サービスへのアクセスが制限されているため、予防手段を講じることができなかったり、気が付かないうちに家族やパートナーを介して感染を角田させるリスクが高くなっていたりする。一方HIV感染の結果としての貧困は、一家の働き手の喪失による困窮、治療費支出による家計圧迫などによって引き起こされる。

③ 女性問題

開発途上国における女性の社会参加の機会は限られており、女性の労働の多くが無報酬であったり、労働に見合う正当な賃金や評価を受けていなかったりと、開発途上国の女性は男性よりも貧困の犠牲を受けやすい立場になっている。そのため多くの問題を抱えていると言える。たとえば、女の子は、水汲みや食事の支度、きょうだいの世話などの家事をまかされることが多く、たくさんの国で女の子の小学校就学率や識字率が男の子よりも低いと指摘されている。また、10代で結婚されることもある女の子たちは教育の機会を奪われ、幼いうちに妊娠・出産を強いられた結果、命を落とす場合もある。紛争時には“兵士の妻”や世話係として誘拐されることもあり、女の子を言葉巧みに連れ出し、性産業や工場に売り飛ばす人身売買業者も後を立たないと言われている。 そのほかにも、女性は、家事育児、介護など、収入にならない労働に従事し、農地や家畜などの生産資源を相続・所得できない傾向にもあることから、家庭内の発言権は弱まってしまう。また、HIV/エイズに関する情報や知識が少ない上、生計をたてるため、性産業につくなどの理由から感染の可能性の危険性が高まる恐れがある。このように、女性・女の子は生産活動や社会生活において重要な役割を担っているにも関わらず、教育・保健医療・政治参加などの基礎的な社会参加への機会を男性と平等に与えられていない。


貧困がなくならない理由

貧困を食い止めるために欧米諸国ではアフリカ諸国へのさまざまな援助・ODAを行っている。総務省のデータによると、2008年の世界全体でのODAの総額は1386億ドル(約12兆円)にものぼり、日本も約7000億円を援助しており、その41%が「サハラ以南のアフリカ諸国」へ向けられる。しかし、これだけ長期かつ多額の援助を行なっているのに関わらず、アフリカ諸国の絶対的貧困層はほとんど減っていないのが現状である。この原因は根が深く、多岐に渡ると言える。例を挙げると、アフリカ諸国へのODAで援助を行った場合、実際に援助が必要な貧困層へ届くのは、援助総額の2割に過ぎないからと言われている。アフリカでは、税関や警察官などにも汚職が行われているケースが広まりつつあり、援助物資を乗せたトラックが検問所を通る度に、その一部が賄賂として徴収される。徴収するのを拒絶すれば、検問を通れないばかりか、ドライバーの身の危険すらある場合もあり、賄賂は事実上「強制徴収」になることも少なくない。 また、先進国から直接現地に技術指導に行った場合も、無駄に終わってしまうことも多いと言われている。例えば、水道もなく泥水をすすっている村に援助隊が井戸を掘っても、1年もしないうちに誰かが井戸の部品を売り払ってしまったり、伝染病の予防に「蚊帳」を寄与しても、村人はそれを売り払って日銭に変えてしまったりする。十分に教育を受けられなかった貧困層の人々は、計画的に生活することの重要性を理解していないのである。


今後の課題

アフリカなどの絶対的貧困地域では、先進国が「施しを与える」という援助を行っても、大部分が無駄に終わってしまう。このような貧困層に対しては、まず教育によって、目先の利益よりも将来を考えた行動が重要であることを教える必要がある。そして、貧困から脱するために「施し」ではなく、「自活を促す」ことが重要視されるだろう。いつまでも物資などを提供していては、彼ら自身の甘えが生じ、援助物資を横領する汚職もなくならないと言える。そういう意味では、単なる施しであるODAよりも、彼ら自身が自分たちの力で金を稼ぎ、貧困から脱出できる仕組みが必要になってくるだろう。貧困層の人々の「自活を促す」仕組みが確立した時、貧困問題が解決への道ができてくると言える。


  人間科学大事典

    ---50音の分類リンク---
                  
                  
                  
                  
                  
                  
                  
                          
                  
          

  構成