アファーマティブ・アクション5
出典: Jinkawiki
2014年8月3日 (日) 22:27の版
目次 |
概要
ポジティブアクションとも呼ばれる。現代アメリカ教育の最大の争点の一つとして挙げられている問題である。差別や不利益を感じこうむっていた黒人に対する職業や教育上の差別撤廃をする活動。公民権法とリンドン・ジョンソンが制定した行政命令に基づいて制定されている。この活動に対する義務はアメリカ政府と契約する企業や団体だけだが、広い範囲で行われるようになってきている。機会の平等というより機会を与えることで結果を今まで得られていなかった人にも与えられることから結果の平等を重視しているということができる。女性に対する就職への支援や雇用の機会を増やす機会のひとつとして挙げられ、黒人の大学入試の際、白人とは異なる点数(この時黒人のほうが入学許可点数は低い)で受かることができるなど「逆差別」の象徴にも数えられる。具体的な例としてノルウェーなどの北欧諸国で議員の一定数を女性にすることや日本では「男女共同参画社会機会均等法」など男女の平等な社会進出の機会をつくるなどといったものである。この活動に対する意見の相違はさまざまであり、アメリカのブッシュ大統領もやりすぎたアファーマティブ・アクションには苦言を呈している。
問題点
まず挙げられるのが上にも記述した「逆差別」といった問題である。これは下記で説明する「バッキ訴訟」で説明する。またアファーマティブ・アクションを行う際その範囲をどこまで適用されることになるのかという目に見える指標が設けられていない。アメリカを例に出すと白人側の立場から自分たちより裕福であったり優秀であったりする場合もあり「黒人」の機会を保証しすぎているのではないかといった意見もあり大きな疑問点の一つとなっている。またこういった活動が広がってきているとはいえ、いまだ白人が上層部の地位を占めていることも否めず活動をするだけでいいのかといった意見も見受けられている。バッキ訴訟にも見られるようにこういった制度を全大学が設けた場合、優秀な生徒が受験に落ちてしまう場合や逆差別が大きくなるのはもちろんのこと、学生の選び方を大学自体で選ぶことにもなり大学の質自体が落ちてしまう可能性もある。また大学が入学枠を売るような事態も起きかねない。このようにどこまでがアファーマティブ・アクションの範囲に値するかという点が大きな問題点である。
バッキ訴訟とミシガン大学
1972年にカリフォルニア州立大学の医学部に2年連続で不合格となった白人学生のバッキがこれは不当ではないかと訴訟を起こしたもの。バッキが受けた大学ではアファーマティブ・アクションに基づき100人の入学枠の中に16人のマイノリティ枠(少数派民族のための入学枠)を設けていることをこれは不当であり、逆差別であると訴えた。バッキは点数上医学部を合格していた。カリフォルニア州最高裁はこのバッキの入学を認め、マイノリティ枠は不当と認定したが大学側はこれを上告した。事態はアメリカ最高裁判所判決まで持ち込んだ結果、バッキの入学を認めるとともに人種を考慮するという入試選抜方式を許容するといったあいまいな判決をだし、ますますアファーマティブ・アクションに対する議論が活発化する結果となった。またもう一つの例としてミシガン大学の裁判が挙げられる。ミシガン大学の法科大学院と大学の入学試験の際にその問題は起こった。2001年のアメリカの地裁は法科大学院の原告のバーバラ・グラッターの訴えを認めたが、大学側の原告のジェニファー・グラッツの訴えは退けた。このように同じような状況においても判決は違う場合があり、アファーマティブ・アクションについての問題は判決を決定するのが非常に難しく、今後どのように展開していくかについてはきちんと検討する必要性がある。
参考文献
http://eatnaan.seesaa.net/article/386453095.html(ドレミファソラシド)