ロヒンギャ族
出典: Jinkawiki
2015年7月19日 (日) 15:28の版
概要
ロヒンギャ族とは、仏教徒が多数を占めるミャンマーでは、少数のイスラム教徒で、バングラデシュの公用語であるベンガル語の方言を話す。バングラデシュと接するミャンマー西部のラカイン州に多く住んでいる。1948年にミャンマーが英領植民地から独立した後に「ロヒンギャ族」と名乗るようになり、政府推計で約130万人いるが、ミャンマーではバングラデシュ移民と見なされ、国籍も与えられていない民族である。
歴史
かつてロヒンギャ族は東インドのベンガル地方(現在のバングラデシュ)に住んでいた。しかし、15世紀から18世紀にかけてビルマ西海岸に栄えたアラカン王国に傭兵や商人として移ってきた。イスラム教徒のロヒンギャ族と仏教徒のアラカン族は平和に共存していた。しかし、19世紀前半にはインドから侵入した英国の植民地政策によって、仏教徒地主が継承してきた農地がイスラム教徒の労働移民にあてがわれた。このことによって仏教徒対イスラム教徒の対立構造が顕著に表れるようになる。 第2次大戦で進軍した日本と英国は、日本側が仏教徒、英国がキリスト教徒やイスラム教徒と、宗教別に構成された軍を創って戦わせたことから、両者の対立がどうにもならないものになった。そして、ビルマ族やアラカン族など仏教徒が主導権を握った独立後、ロヒンギャ族は窮地に立たされるが、それでも、1950年代のウー・ヌ政権下では市民権を与えられて特別行政区を安住の地とするが、62年に軍事クーデターで政権を奪ったネウィン将軍施政下の82年に制定された国籍法によって国籍が剥奪され、無権利状態に置かれることとなった。さらに、88年の民主化運動や90年の選挙で、ロヒンギャ族がアウンサンスーチー氏らの民主化運動を支持したことから、軍事政権による財産没収や強制労働などの弾圧がいっそう厳しくなり、現在に至っている。
参考
朝日新聞2015年06月19日 朝刊