オランダの安楽死

出典: Jinkawiki

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オランダ上院議会は10日の本会議で安楽死関連法案を46対28の賛成多数で可決した。下院は昨年11月に可決しており、今年秋にも安楽死を世界で初めて国家として合法化する制度が施行される。安楽死を巡る各国の論議にも大きな影響を与えそうだ。  同国では20年以上前から医者が末期患者に対して薬物投与する安楽死が行われているが、法律的には医者は刑法上の「殺人」「自殺幇助」に該当していた。  刑法改正を中心とした法案では自殺幇助罪などから安楽死にかかわった医者を除外するほか、      (1)患者本人の強い意思      (2)耐えられない苦痛      (3)回復の見込みがない病状      (4)複数の医師の承認 などの条件

を満たした場合は、合法的に医師が安楽死を執行できるようになる。  世界的には現在、安楽死を合法化しているのは米国のオレゴン州だけ。オランダで合法化された背景には、1994年に政権が生命の問題に厳しいキリスト教系保守党から労働党に代わったことの影響が大きい。  日本では、平成3年(1991)に東海大学医学部付属病院で男性患者が、主治医に塩化カリウムを投与され死亡した事件で、安楽死の是非が議論を呼んだ。  オランダでは、高齢者や障害者の1人暮らしが当たり前なほど医療や福祉が充実して、個人主義も浸透しているので、日本とは国情が異なる。「だから、日本では直ちに安楽死の方向へ進む状況ではない」と冷静に考える専門家や、「オランダの安楽死への取り組みと結論は評価したい」という声もあり、日本での評価は揺れている。


参考文献:毎日新聞2001年4月13日


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