アメリカの教師

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アメリカの教師

 アメリカでは公立学校教師になるためには必ず学士号を取得し、認定されている教員養成プログラムを終了しなければならない。そこで初めて教員免許状(公立学校教員免許)が州政府によって授与される。興味深いことには、私立学校教員には免許状は認められていない。教員養成プログラムの認定を行う機関としては全米教員養成認可審議会(NCATE)がある。全米で550プログラムが認定されている。学士課程の2年次を終えて教員養成プログラムを履修できるが、多くの州では学部を卒業した後の教員養成のための大学院レベルでの専門職大学院(Professional Development Program)を用意している。

 教員は今日では、教科知識を注入する教授者ということではなく、生徒との双方向のコミュニケーションをとるなど生徒の学習の「促進者(Facilitators)」としての役割が期待されている。

 小学校の教師はクラス担任として全教科を担当するのが伝統的であったが、最近ではチームティーチングも積極的に導入され、低学年でもクラス担任が2名ということもある。音楽、美術、理科、算数、あるいは体育の授業を専科教員が担当することも増えている。

 中学校や高等学校では、教科担任制(英語、スペイン語、数学、歴史、生物など)となっている。職業への準備などを主として担当する教員は「キャリアー・技術職員」と呼ばれる。

 コンピューターを活用する授業が主流となっており、学校の中心に大型サーバーが設置され、それぞれの教室や図書館で映像やCGを活用する授業が展開される。図書館や教室でも生徒は自由に百科事典や新聞などのデータベースにアクセスできるようになっている。教師は宿題もHP上に掲示する。

 多くの教師が週40時間以上も働いている。年間10ヶ月契約を基礎としており、給与も10ヶ月分が支給される。2ヶ月は夏休みであるが、給与は支払われない。その間教師は、夏季コースのアルバイトをしたり、旅行をしたり、他の職業に従事したりする。夏季休業中といえども研修で忙しい日本の教師とは大違いである。多くの州で教員の終身雇用制度を導入しているので、一定の年数(3年以上)と条件を満たせば、終身雇用身分となる。ある程度の安定が約束されることになる。教員の給与は、4万ドル平均となっている。校長の給与は7万~8万ドルである。

 全米でおよそ380万人の教師が働いている。幼稚園教員が17万人、小学校教員は150万人。私立学校教員は全体の10%程度と少ない。教員のみならず校長なども公募されている。教育関係誌を見ると、学区が校長や教育長の公募宣伝記事を多く見ることができる。誰でも応募でき、書類審査と面接に合格すれば採用されることになる。

 教員組合としてはアメリカ教員組合(AFT)があり、労働条件をめぐってストライキを行うことも少なくない。路上をプラカードを持ってデモをしている教師も少なくない。


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