他人との境界線

出典: Jinkawiki

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他人との境界線

私たちは無意識のうちに、相手によって接するときの距離を変えています。これはパーソナル・スペースと呼ばれる空間を私たちが持っているためです。パーソナル・スペースとは、私たちの周りに張り巡らされた、他人の侵入を拒む見えないバリアです。 パーソナル・スペースは、相手との関係で大きくなったり小さくなったりします。その距離が近ければ近いほど相手との関係は親密で、遠ければその逆の関係ということになります。見知らぬ人同士が乗り合わせた電車やエレベーターが混み合ってくると、不快な感じを受けるのは、本来アカの他人には立ちいって欲しくない距離に入り込まれるためです。満員電車などで発生しやすい15~45センチの密接距離はかなり親しい者同士がとる距離なのです。 また、男性には女性に比べ、パーソナル・スペースを広くもちたいという欲求があります。アメリカの心理学者フリードマンは、何人もの男性を小さな部屋に押し込むと、彼らは攻撃的になり友好関係が損なわれると述べています。 そんなパーソナル・スペースを踏まえ、人間関係をその距離であらわしたのが文化人類学者エドワード・ホールです。人は円滑な人間関係を築くために、八つの距離を利用しているとホールは主張しました。 ・密接距離―近接(0~15㎝)…かなり親しい二人が使う距離。愛撫、格闘、慰め、程などを目的としており、言葉より体を触れ合うコミュニケーションが多くなる。

・密接距離―遠方(15~45㎝)…手が届く距離で、やはり親しい二人が使う。電車などでこの距離まで他人が近づくとストレスを感じる。

・個体距離―近接(45~75㎝)…手を伸ばせば届く距離で、恋人や夫婦なら自然な距離だが、それ以外の異性がこの距離にかいると誤解を生じやすい。

・個体距離―遠方(75~120㎝)…お互いが両手を伸ばせば届く距離で、個人的な要件を伝えたいときなどに使われる。

・社会距離―近接(120~210㎝)…身体的な接触が難しい距離であり、仕事をするときの仲間と尾の距離にふさわしい。

・社会距離―遠方(210~360㎝)…改まった仕事の話などに使われる距離で、何かをしたいときには相手を気にすることなく作業ができる。

・公衆距離―近接(360~750㎝)…表情の変化はとらえにくいが、簡単なコミュニケーションならとれる。質疑応答も可能。

・公衆距離―遠方(750㎝以上)…講演や演説に使われる距離で、一対一ののやり取りは難しい。身ぶりなどのコミュニケーションが必要になる。


参考文献:「すぐに使える心理学」渋谷昌三著 PHP研究所 2003/02


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