従属理論
出典: Jinkawiki
2008年7月13日 (日) 21:13の版
経済学・社会学において提起された学説。ラウル・プレビッシュによって最初に提唱されたと言われる。マルクス主義の影響が大きい。国際関係における従属論(dependency theory)とは圧倒的な政治的・経済的な従属関係をいう 第三世界の低開発は彼らを支配する先進国に原因があり、この問題を解決するには、前者の後者への従属を断ち切る必要があるというもの。
代表的な論者がドイツ出身の経済学者、アンドレ・グンダー・フランク(Andre G. Frank)であり、これを批判したのがアルゼンチンの政治学者、エルネスト・ラクラウ(Ernesto Laclau)である。また、エジプトの経済学者、サミール・アミン(Samir Amin)、ブラジルの経済学者、テオトニオ・ドス・サントス(Theotonio Dos Santos)などによる学説がある。
1960年代よりT.ドス・サントスやC.フルタード(Celso Furtado)、A.G.フランクなどのラテンアメリカの経済学者らによって唱えられ、南北問題の理論化に大きな影響を与えた。 ブラジルの社会学者、フェルナンド・エンリケ・カルドーゾ(Fernando Henrique Cardoso)は、フランクの学説をさらに洗練させた。
1980年代のNIES(newly industrializing economies 新興工業経済地域)の成功で、従属理論の影響力は低下した。しかしながら、この議論は、ヨハン・ガルトゥングの構造的暴力論に影響を与え、イマニュエル・ウォーラステインの世界システム論に引き継がれた。
第三世界の貧困の起源は、一次産品供給の単位として世界システムに組み込まれた植民地の歴史にまでさかのぼるとし、ヨーロッパ中心型世界システムの発展と一対のプロセスとして非ヨーロッパ世界の周辺経済化が進んだと論じた。
植民地独立によって帝国の支配からは解放されても、単一栽培を強化するアグリビジネスや資源開発型多国籍企業の浸透により、同様の垂直的分業と収奪体制が維持されたと指摘し、低発展が構造化されたことをラテンアメリカの事例研究によって示した。
フランクの業績と評価
従属論の代表的論客であるフランクは、日本においてもその主著『世界資本主義と低開発』(1975…1967,69年刊の二つの著書を編集)が紹介され注目を浴びた。 世界システムとしての資本主義は生来的に独占性を有しており、周辺従属衛星地域の〈経済余剰の収奪・領有〉によってシステムの中枢部に発展をもたらし、同時に周辺部に低開発をもたらした。 このような〈中枢―衛星分極化〉は,あたかも星座の連鎖体系のように国際面ならびに国内面に浸透しており、その結果ラテン・アメリカの辺境の農村までもが世界システムに包摂され収奪される。 このような〈低開発の発展 development of underdevelopment〉関係=構造は、商業資本主義、産業資本主義、帝国主義という資本主義の発展段階上の〈変化〉にもかかわらず一貫して〈連続〉している。 以上のような〈フランク理論〉に対し、世界中で賛否両論がまきおこった。 日本においては、すべての国が同様のプロセスをたどって発展すると考える〈単線的発展論〉に対する批判としての〈両極的発展論〉、あるいは資本主義は本来的に独占的性格をもつとする〈通時的帝国主義論〉として評価された。しかし一方では、民族や国家などのナショナルな枠組みの欠落、世界市場との包摂関係という流通面のみをみる生産関係欠落論、低開発の外因決定論であるという指摘などからなる批判をも浴びている。16世紀以来の世界史を被支配周辺部からみようとする周辺史観、低開発を一国ごとではなく世界システムのなかに位置づけようとする世界資本主義論、といった従属派に共通の視座の強調という点において、フランクによる貢献は大きい。
参考HP http://www.weblio.jp/content/%E5%BE%93%E5%B1%9E%E7%90%86%E8%AB%96