メーガン法2
出典: Jinkawiki
2008年7月9日 (水) 13:42の版 Bunkyo-student2008 (ノート | 投稿記録) ← 前の差分へ |
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ティメンデカス死刑囚はこの事件の前にも、児童に対する性的虐待で2つの有罪判決を受けており前科があった。また、彼と同居していた2人の男性も性犯罪者であった。この事件が大きな社会的関心を呼んだのは、幼女が隣近所の住人によって殺害されたからというだけではなく、彼にそのような前科があることはメーガン一家も含め、誰も知らなかったということにあるだろう。事件後このことを知って、メーガンの母親は「もし近所にそんな幼児性愛者が住んでいることを知っていれば、娘はこんなことにはならなかったはずだ」と言っている。この事件をきっかけに、性犯罪者の警察への登録とその情報の告知を求める法改正の運動が起こり、メーガン法が制定された。 | ティメンデカス死刑囚はこの事件の前にも、児童に対する性的虐待で2つの有罪判決を受けており前科があった。また、彼と同居していた2人の男性も性犯罪者であった。この事件が大きな社会的関心を呼んだのは、幼女が隣近所の住人によって殺害されたからというだけではなく、彼にそのような前科があることはメーガン一家も含め、誰も知らなかったということにあるだろう。事件後このことを知って、メーガンの母親は「もし近所にそんな幼児性愛者が住んでいることを知っていれば、娘はこんなことにはならなかったはずだ」と言っている。この事件をきっかけに、性犯罪者の警察への登録とその情報の告知を求める法改正の運動が起こり、メーガン法が制定された。 | ||
- | 引用:「性犯罪者から子どもを守る メーガン法の可能性」松井茂記著 中央公論新社,2007.3 | + | 引用・参考文献:「性犯罪者から子どもを守る メーガン法の可能性」松井茂記著 中央公論新社,2007.3 |
最新版
性犯罪者登録法のこと。メーガン法と呼ばれるに至った事件が起こったニュージャージー州の性犯罪者登録法だけでなく、アメリカのすべての州で子どもに対する性犯罪者の登録と公表を義務付けた州法が制定されたため、同種の法律は一般的にメーガン法と呼ばれている。
具体的内容
1994年のニュージャージー州性犯罪者登録法は、性犯罪者に対して、有罪判決を受けた後、あるいは刑務所出所後15年間、犯罪を犯さず、他者の安全に脅威を与える恐れがないと証明できるまで登録義務を負わせている。また、ニュージャージー州議会は、法律執行前に性犯罪を犯して有罪判決を受けた者も120日以内に登録することを決定した。保護観察やその他のコミュニティの監視のもとで釈放される者にも登録義務が及び、他州で性犯罪を理由に有罪判決を受けた者が州に移転してきた場合も同様に登録義務を負わせている。
同法は性犯罪者に、氏名、社会保険番号、年齢、生年月日、性別、人種、身長体重、髪及び目の色、住所、居所、雇用の日時及び場所、有罪判決の年月日及び場所、起訴番号、指紋、登録されている性犯罪の簡単な記述などの登録を求めている。変更があれば届出が必要であり、登録者には登録情報の更新の義務が課せられている。危険度により、年一回の更新でよい場合と90日ごとに更新が義務付けられている場合がある。義務である以上、当然登録を怠れば刑罰が下される。これを受けて、性犯罪者が居住を意図している地域の法執行官の長は、性犯罪者の釈放を地域に告知しなければならない。そのため検察官は、登録情報の公表のため、低危険度、中危険度、高危険度と性犯罪者の再犯の危険性を評価し区分する。
低危険度の性犯罪者については、性犯罪者の所轄の警察にのみ通報される。 中危険度の性犯罪者については所轄の警察に加え、学校、宗教団体や青少年のためのプログラムを実施する団体などの市民団体に情報が提供される。 高危険度の性犯罪者については、警察官が性犯罪者の住む地域にその情報を配布する。提供される情報は、氏名、特徴、写真、住所、雇用ないし通学の場所、車種とナンバープレートである。
なお、ニュージャージー州最高裁判所が、同法の合憲性を支持しつつ、手続き的な問題点を指摘したため、ガイドラインが改定され、検察官による危険度判定の結果に不服を申し立てることができること、弁護人依頼権や国選弁護人の権利もあることの告知も求められている。さらに判定の基準についても「登録者危険評価基準」を定立し、犯罪の重大性と再犯の危険性に応じてより具体的な基準を設定している。また、州最高裁判所はこれに応じ、手続きの明確化のための命令を出し、性犯罪者は裁判所に判定の取り消しを求めうること、裁判所は性犯罪者の出席のもとで協議を行い審問が必要かどうかを決定し、審問を行った場合には、審問は非公開で一応の立証責任は検察官にあるが、最終的な立証責任は性犯罪者の側にあることを明確にした。
背景
1994年7月29日、7歳のメーガン・ニコール・カンカはニュージャージー州ハミルトン町の自宅を出たまま帰宅せず、母親のモーリーン・カンカは昼寝から目が覚めたとき初めて娘が帰宅していないことに気づいた。近所の住民に尋ねたが目撃情報は得られず、警察に届け出て、住民とともにメーガンの行方を捜した。 警察が疑いを持ったのは、カンカ家の向かいに二人の男性と一緒に暮らしていた33歳のジミー・ティメンデカスという男性であった。彼は何も知らないように装い捜査に加わっていたが、様子が不審で説明も一貫していなかったため、警察は彼を警察署に連行し、尋問に先立って必要な「ミランダ告知」の後尋問を行った。ティメンデカス容疑者は、メーガンの遺体のありかを自供し、警察はその自供通り、近くの公園の低木の茂みからプラスチックバックをかぶったままのメーガンの遺体を発見した。メーガンは、皮のベルトで首を絞められた上、プラスチックバックで頭を覆われて窒息死していた。
ティメンデカス容疑者には、子犬を見せてあげるといってメーガンを自宅に誘い込み、レイプした後殺害した容疑が持たれ、のちに殺人罪や誘拐罪で起訴された。陪審は、有罪判決を下した。弁護人は裁判に先立って、裁判地の変更を申し立てたが、この事件は大きな社会的関心を呼び、マスメディアで大きく取り上げられていたため認められなかった。裁判所は、最終的に被告人ティメンデカスに死刑を宣告したが、弁護人は上告した。主たる論点は、裁判地の変更が認められなかったことで、マスメディアによって事件が大きく取り上げられ、被告人の公正な裁判を受ける権利が侵害されたかどうかであった。だが、州最高裁判所は上告を斥け、被告人ティメンデカスの有罪と死刑が確定した。
ティメンデカス死刑囚はこの事件の前にも、児童に対する性的虐待で2つの有罪判決を受けており前科があった。また、彼と同居していた2人の男性も性犯罪者であった。この事件が大きな社会的関心を呼んだのは、幼女が隣近所の住人によって殺害されたからというだけではなく、彼にそのような前科があることはメーガン一家も含め、誰も知らなかったということにあるだろう。事件後このことを知って、メーガンの母親は「もし近所にそんな幼児性愛者が住んでいることを知っていれば、娘はこんなことにはならなかったはずだ」と言っている。この事件をきっかけに、性犯罪者の警察への登録とその情報の告知を求める法改正の運動が起こり、メーガン法が制定された。
引用・参考文献:「性犯罪者から子どもを守る メーガン法の可能性」松井茂記著 中央公論新社,2007.3