サイバーテロ2

出典: Jinkawiki

(版間での差分)

2018年1月27日 (土) 15:58の版

目次

概要

サイバーテロリズムとは、コンピューターを使った情報システムへの攻撃である。そもそも情報化社会は、悪意をもつ人間からの攻撃に極めて脆弱である。サイバースペースの破綻者は、

① 個人的興味を満足させるハッカー、熱狂者、欲求不満のインサイダー

② 個人的に金儲けを企む犯罪者

③ 自らの大義を推進しようとするテロリストその他の憎悪集団

④ 産業スパイや競争相手を妨害する企業

⑤ スパイ活動、経済的優先、競争の道具として使う国家

の5つに分類できる。このうち日常的には①、②のハッカー問題が多い。例えば、個人的な関心から国家機関のシステムに侵入したり、銀行口座やクレジットカードナンバーなどの個人情報を盗み悪用したりすること、さらにはウィルスを送りデータを改竄したり、破綻させる行為である。この分類では③だけにテロリストが出てくるが、テロリズムにあたるか否かの判断が、その行為によって公共の安全を意図的に損なっているか、また国や社会がどれだけ不安や動揺を感じたかによって決まるものとすれば①や②も方法や規模によってはテロ行為に相当する。


特徴

サイバーテロリズム、テロリストと犠牲者、ターゲットの距離感覚が喪失されることが特徴である。国内や国外という区別はほとんど関係ない。犠牲者に身体的に近づき直接危害を加えなければならなかったかつてのテロリストとは違い、どこからでも攻撃を仕掛けられる。また、テロリストはその大義の宣伝のためにサイバースペースを利用することができる。組織のリクルートも架空の同好会や基金の名称を使ってネット上で手広く行うことができる点も特徴的だ。


戦略的情報戦争

サイバーテロリズムも、従来型のテロリズムと同じように、人を殺傷することで社会を混乱させ恐怖に陥れることも考えられる。戦略的情報戦争には7つの基本的特徴がある。

① 攻撃の参加コストが低下、伝統的な武器テクノロジーと違い、相当規模の財政的資源や国家支援は必要でない。誰でも情報戦争を仕掛けることができる

② 公益利益と私的利益、戦争行為と犯罪行為、地理的な国境など伝統的な境界線の差異は、増大する相互作用によって曖昧になる。その結果、誰が誰によって攻撃されているかさえわからなくなる。

③ 認知操作の役割が拡大し、新技術はイメージ操作の力を増大させる。その結果、何が真実かがわからなくなる。

④ 現在の情報収集、分析方法を全面的に改めて、戦略的情報戦争の脅威と脆弱性に対応できるものを開発しなければならない。そうしなければ敵を特定できず、敵の能力や意図もわからない。

⑤ 戦略的情報戦争による攻撃と、他のサイバースペース活動を見分ける戦略的警報システムがない。そのため、攻撃されている事実、誰がどのように攻撃しているのかがわからない。

⑥ 同盟国や友好国とのネット上の連携に頼りすぎると、攻撃によって全てのパートナーの安全を危険にさらすことになる。敵はこの点をつくことができる。

⑦ アメリカ経済と社会がコンピューター・ネットワークに依存することで、そのインフラは新しいターゲットになる。


もしもこのような特徴がサイバー・テロで露呈し、深刻な結果を招くのであれば、国家が国民の安全を守れず、国民のテロリズムに対する意識も混乱する。社会的なコンセンサスが得られなければテロ対策も進まず、テロリストの暴力に対して一層無力になるだけである。


参考

宮坂直史「国際テロリズム論」(2002年)芦書房


  人間科学大事典

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