国際司法裁判所

出典: Jinkawiki

(版間での差分)

2019年1月16日 (水) 16:23の版

概要

国際司法裁判所は、1945年、国際連合憲章及びその不可分の一体をなす国際司法裁判所規程に基づき設置された国連の主要な司法機関である(国連憲章第92条)。 オランダのハーグに本部を置く。

判決や勧告的意見による国際司法裁判所の意見は、国際法の発展に多大な影響を与える。

国際司法裁判所規程38条1項は、「裁判所は、付託される紛争を国際法に従って裁判することを任務とし、次のものを適用する」と規定する。すなわち、ICJが紛争の平和的解決のために適用するのは国際法である。

 国連加盟国は当然に国際司法裁判所(ICJ)規程の当事国になるほか、国連非加盟国も、安全保障理事会の勧告に基づいて総会が決定する条件の下に規程当事国となることができる(第93条)。当事国数は2012年3月現在193ヶ国。なお、我が国は1956年の国連加盟以前の1954年に当事国となっている。


(1)国際司法裁判所は、「徳望が高く、各自の国で最高の司法官に任ぜられるのに必要な資格を有する者又は国際法に有能の名のある法律家のうちから、国籍のいかんを問わず」選ばれる15名の裁判官で構成される(ICJ規程第2、第3条)。

(2)裁判官は、常設仲裁裁判所の国別裁判官団(又はこれと同一の条件で当該政府が任命する国別裁判官団)によって指名される者の名簿の中から、国連総会及び安全保障理事会の選挙によって選出される。裁判官の任期は9年で、5人ずつ3年ごとに改選される(ICJ規程第4条、同第13条、ICJ規則第2条)

(3)裁判所には、所長及び次長がおかれ、3年の任期で裁判官の中から選挙される(ICJ規程第21条、ICJ規則第10条)。


日本との関係

(1)サンフランシスコ平和条約第22条(1951年9月8日署名、1952年4月28日効力発生)は、解釈適用に関する紛争が生じた場合には、紛争当事国の要請により国際司法裁判所に付託しなければならない旨規定しており、我が国は裁判所規程当事国になる前に、一定の範囲で裁判所の管轄権を受諾している。その後、1954年4月2日国際司法裁判所規程の当事国となった。

(2)また、我が国が規程当事国になる前、1953年10月8日には、豪州との間のアラフラ海真珠貝漁業紛争について国際司法裁判所に付託するよう提案し、先方もこれに応じたが、裁判に付託するための特別合意書について合意が成立しないまま同問題は別途話し合いにより解決された。さらに、1954年9月25日、竹島の領有問題に関する紛争につき同裁判所への付託を韓国側に提案したほか(先方これに応じず)、66年3月には、ニュージーランドの一方的な漁業水域設定について同裁判所に付託するよう提案した(付託以前に同問題は解決)、72年にはソ連(当時)に北方領土問題の付託を提案した(先方拒絶)。なお、2010年5月、豪州が南極海における調査捕鯨の合法性につき我が国を相手とする訴訟をICJに付託し、2012年3月現在、ICJに係属中。

(3)我が国からは、田中耕太郎博士が1961年2月から70年2月まで裁判官を務めたほか、76年2月から2003年2月まで3期27年間にわたり、小田滋博士が裁判官を務めた(1991年2月から1994年2月まで副所長を務めた)。現在は、2003年2月6日から、小和田恆氏が裁判官を務めており、2009年2月から2012年2月までは所長を務めた(2012年2月から2期目)。


調査捕鯨と国際司法裁判所(ICJ)の中止命令

国際捕鯨委員会の商業捕鯨の一時停止決定を受け日本は1987年から南極海で、94年から北西太平洋で捕獲数を限定した調査捕鯨を始めた。財団法人・日本鯨類研究所が国の特別許可を受け、共同船舶(東京)が請け負っている。鯨肉の売り上げが活動資金に充てられ不足分は国の補助金などで穴埋めされている。豪州は2010年、「実態は商業捕鯨だ」としてICJに提訴。今年3月31日のICJ 判決は「科学目的と言えない」と判断し、南極海での調査捕鯨中止を命じた。農林水産省は今年度の南極海の調査捕鯨を取りやめ、北西太平洋でも捕獲数を減らすことを決めた。来年度以降は、改めて計画を検討するとしている。


参考文献

小田滋(2011)「国際司法裁判所」日本評論社

世界史の窓

https://www.y-history.net/appendix/wh1601-010_4.html


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