言語の発生・国際化

出典: Jinkawiki

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<言語の発生>  言語発生に必要な脳の条件は現生人類誕生よりずっと以前に整っていたと考えられている。しかし、現在私たちが日常使っているような言語、すなわち話し言葉を基盤とする言語となると話は別である。人類の言語獲得モデルとして一般的に次の3つがあげられている。 ① ヒトの進化の過程で、ある時期に突然獲得した。(跳躍説) ② ヒトの進化の過程で徐々に獲得した(漸進説) ③ いくつかの離散的な機能があって、それらが合わさって、結果的に言語として獲得した。(前適応説) 現在は③の前適応説が最も有効とされている。

<言語の国際化> 世界で20億を超える人が3言語(中国語、スペイン語、英語)のいずれかを使っている一方で、使う人が途絶えた言語が想像を超える勢いで失われていると言われている。言語学に特化した学術団体であるアメリカ言語学会(Linguistic Society of America: LSA)によれば、消滅危機言語とは将来的に話者がいなくなる、その言語を理解できる人がいなくなることと定義しており、消滅する主な理由としては、侵略などによる虐殺で話者が消滅するため、多くの話者が影響力の強い言語を使うことで言語の置き換えが起こるため、文化的抑圧などにより言語の使用が断たれるため、の3つを挙げている。グリーンランドにおけるカラーリット語はひとつの例である。1700年代にデンマークがグリーンランドを植民地化して以降、当初は原住民の言語であるカラーリット語とデンマーク語の両方が使われていたが、教育と公的職務をデンマーク語で行うとの言語政策に押され、カラーリット語の利用が断念されてしまった。その結果、言語と共に民族性と文化も失われてしまった。また、学校教育の中で政策的に言語の利用が制限されることで、特定の言語が廃れてしまうこともある。 UNESCOの発表では、消滅の危機にさらされている2500の言語を、最も危険なものから「極めて深刻」、「重大な危険」、「危険」、「脆弱」の4つに分類している。8つの日本語の中ではアイヌ語が「極めて深刻」と評価されている。すでに、1950年以降に消滅した言語は230語にのぼっている。言語とは、地域の自然や生活、歴史、文化、人々の考え方などを通して培われてきたものである。言語を形作るにはとても長い時間がかかるのに、消滅にはそれほどの時間を要さない。さらに、言語の消失はそれを使用してきた人々の知識や文化の消失も伴う。

○参考文献  「言語の起源-自分自身との対話としての思考-」 https://nagoya.repo.nii.ac.jp/index.php?action...id...

 「言語の絶滅」で失われる世界の多様性  https://www.newsweekjapan.jp/stories/world/2017/01/post-6671.php (elect)


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