宗教学
出典: Jinkawiki
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宗教学
宗教学とは、宗教現象を客観的、批判的に研究し、特定の宗教でなく、宗教一般の本質を明らかにすることを究極の目的とする学問の総称。広義には、いろいろな宗教の現象を社会学的、または、心理学的に研究する実証的な研究と、宗教の価値、意義、本質などを明らかにする哲学的研究とがある。宗教社会学、宗教心理学、比較宗教学などが前者に属し、宗教史、宗教哲学などが後者に属する。
起源
19世紀後半、ヨーロッパで起こった。近代に入り、ヨーロッパが世界の各地と接触し、その視野が拡がってくると、さまざまな宗教と接触するようになった。キリスト教がもっともすぐれた宗教であるという考えは崩れなかったが、他の宗教をも、キリスト教と共通な点をもつものとしてとらえ、諸種の宗教を比較検討することによって宗教の一般的、普遍的要素を求めたり、また、宗教が進化、発展する歴史を探ろうとしていた。宗教学の成立に寄与した学者に、マックス・ミュラーとジェームズ・フレーザーがいる。マックス・ミュラーはサンスクリットの原典を扱って、インドの宗教(古代のヒンズー教と仏教)を研究し、東と西の宗教の比較という研究の基礎を作った。また、1862年に出版された「宗教学概論」という本が宗教学の名称の最初とされている。ジェームズ・フレーザーは、キリスト教以前の、古代ギリシャ・ローマの宗教、ヨーロッパの民間信仰、組織された宗教の影響を受けない原始宗教を比較研究して、原始的、古代的な宗教の基本的観念を明らかにしようとした。宗教学の立場から、宗教の規定を試みる人々は、特定の宗教の見解にかたよらず、東洋の宗教も西洋の宗教も、原始・古代の宗教も現代の宗教も、教団という組織も確定した教義ももたない未開人の宗教と文明社会に残存する民間信仰も、すべてを含めて論じなければならなかった。
展開
宗教哲学を除き、その後の宗教学の傾向は二つの流れに分かれる。一つは、マックス・ミュラー、ティーレ、ゼーデルプロムら、古代宗教の文献学的研究を土台としながら諸宗教の比較を行うものである。もう一つは、タイラー、フレーザーの文化人類学的研究、デュルケーム、マックス・ウェーバーの社会学的研究、ウィリアム・ジェームズ、フロイト、ユングの心理学的研究などから、宗教民族学、宗教社会学、宗教心理学が生まれたことである。1960年代になって人類学、社会学、心理学においても宗教研究の関心が強くなっている。
参考文献
柳川啓一(1993)宗教学とは何か 法藏館
"宗教学", 日本大百科全書(ニッポニカ), JapanKnowledge, https://japanknowledge.com , (参照 2020-01-30)
"しゅうきょう‐がく[シュウケウ‥]【宗教学】", 日本国語大辞典, JapanKnowledge, https://japanknowledge.com , (参照 2020-01-30)
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