スポーツ心理学

出典: Jinkawiki

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スボーツ心理学とは何か はじめに、これから学ぶスポーツ心理学を定義しよう。心理学はさまざまな方法でスポーツに応用でき、さらに文化によってスポーツとみなされる活動が多岐にわたるため、広い定義を採用する必要が ある。1996年にヨーロッパスポーツ心理学連盟 (Fédération Européenne de Psychologie des Sportset des Activités Corporelles,FEPSAC)はそのような広い定義をうち出した。その定義を少し簡略化して示すと、次のようになる。「スポーツ心理学とは、スポーツの心理学的な基盤、プロセス、および効果についての研究である」。「スポーツ」という言葉は、FEPSACの示したスポーツ心理学の定義においても本書全般においても、競技、レクリエーション、教育、あるいは健康のために行われるすべての身体活動を含む、広い意味で用いられている。いっぽ う心理学は、「心と行動の科学」(Gross, 1996)と定義される。 したがって、スポーツ心理学の研究対象は広汎にわたる。アメリカのスポーツ心理学者は、学問的スポーツ心理学と応用スポーツ心理学を明確に区別している。学問的スポーッ心理学は、スポーツへの参加とパフォーマンスに影響するすべての要因を研究対象とする。いっぽう応用スポーツ心理学は、スポーツ選手のパフォーマンス向上を目的とする心理学の応用に焦点を絞っている(たとえば Cox, 1998)。これまでのところ、ヨーロッパの研究者は通常この区別をしていない(Kremer and Scully, 1994)。本書では、学問的 スポーツ心理学と応用スポーツ心理学との間を自由に往来する。ここで取り上げた話題、すなわち性格、態度、攻撃行動、ストレスと不安、集団力学、動機づけ、運動技能の体得は、いずれも学問的な興味の対象になりうると同時に、スポーツ選手のパフォーマンス向上や、ときには観客に対して応用することができる。

スポーツ心理学は、心理学自体とほぼ同じくらい古くから何らかの形で存在してきた。記録の残っているスポーツ心理学研究の中で最も古いものは、9世紀の終わりに登場した。ノーマン.トリップレット(Triplett, 1898)は、最初の社会心理学実験として引用されると同時に、最初のスポーツ心理学実験としても引用される研究を行った。トリップレットが検討したのは、社会的促進という現象であった。彼は自転車競技選手のパフォーマンスについて検討し、1人のときより他の選手と競い合うときのほうが良い記録を出すという傾向を明らかにしたのである。しかしトリップレットはそれ以上スポーツに関連する研究を続けることなく、スポーツ心理学という学問分野が正式に確立されたのは、ようやく1920年代に入ってからだった。1925年、コールマン·グリフィス(Griffith, C.)はイリノイ大学にスポーツ競技研究室を設立した。学科を新設し、2冊の優れた教科書を出版し、プロのスポーツチームの顧問として活動することによってスポーツ心理学の名を広めたグリフィスは、しばしば「スポーツ心理学の父」と呼ばれる。しかし、当初スポーツ心理学の進む道は平坦でなく、スポーツ競技研究室は資金難のため1932年に閉鎖されてしまった。1930年代から1960年代にかけて、(少なくとも欧米では)スポーツ心理学の分野における活動の人々の一部が登録から除外されている。いっぽう登録を義務化すれば、怪しげで不適格な実践家から一般の人々を護る手段が確保される。もし「心理学者」という言葉の使用が法的に規制されれば、認定に関するこの議論が浮上するだろう。すでにそのような問題が起こっている国もあるため、近い将来イギリスでも問題になると思われる。「スポーツ心理学者は何をするのか?」という質問に対しては、きわめて幅広い仕事を行っていると答えられる。

今やスポーツ心理学はこれほど広い領域なので、スポーツ心理学者がこの学問分野の全体について、詳細に至るまで最新の研究に遅れずつていくことは不可能になりつつある。現在では、多くのスポーツ心理学者が高度に専門化されている。たとえば、ある心理学者は動機づけの分野(第7章参照)を専門としているかもしれない。このような心理学者は、動機づけについての研究を行い、コーチに対して動機づけについての教育を行い、選手一人ひとりの動機づけを向上させるために個人的な働きかけをすることもあるだろう。

スポーツ心理学入門 著者:マット・ジャービス

ハンドルネーム:ka.ka


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