ウナギ

出典: Jinkawiki

(版間での差分)
2020年1月31日 (金) 20:57の版
Daijiten2014 (ノート | 投稿記録)

← 前の差分へ
2020年1月31日 (金) 20:57の版
Daijiten2014 (ノート | 投稿記録)
(今後の課題)
次の差分へ →
24 行 24 行
-===今後の課題===+=今後の課題=
完全養殖の技術力を高め、安価なウナギを安定して供給できるようにする必要がある。そしてなにより、ウナギの減少問題を抜本的に解決するには、天然のウナギが育ちやすくなるように河川の環境を整えること、乱獲を防ぎ漁獲ルールを守ること、国同士の間で協力することが重要だ。海産資源の復活は一国のみの力ではなしえない問題だ。自国の利益追求だけではなく、物事を多面的、長期的に捉え、対策を講じていく必要がある。 完全養殖の技術力を高め、安価なウナギを安定して供給できるようにする必要がある。そしてなにより、ウナギの減少問題を抜本的に解決するには、天然のウナギが育ちやすくなるように河川の環境を整えること、乱獲を防ぎ漁獲ルールを守ること、国同士の間で協力することが重要だ。海産資源の復活は一国のみの力ではなしえない問題だ。自国の利益追求だけではなく、物事を多面的、長期的に捉え、対策を講じていく必要がある。

2020年1月31日 (金) 20:57の版

目次

ウナギ

土用の丑の日でおなじみのウナギである。日本の食文化を支える食材のひとつ。近年漁獲量が減っており、絶滅が危惧されている。2013年には、環境省がニホンウナギを絶滅危惧種に指定、翌2014年には、世界自然保護連合が絶滅危惧種と認定している。供給に見合わない漁獲量の減少は、食文化の変容や、価格の高騰で消費経済に影響を与えるだけでなく、反社会勢力の資金源とされることもある違法な取引にもつながり、社会に与える影響は大きい。国際間での取り扱いについて問題が生じている。

ウナギと国際関係

ウナギにはいくつかの種類がある。代表的なものは二ホンウナギ、ヨーロッパウナギ、アメリカウナギなどである。日本では、主に二ホンウナギの稚魚を獲り、それを養殖している。 二ホンウナギはマリアナ海溝付近で孵化する。その後北赤道海流に乗って成長し、西へ流れ黒潮に乗る。そのため、台湾や中国、韓国、日本などで漁獲される。 日本では、国内のシラスウナギが不足した際、これらの国々から輸入している。しかし、この国々においても漁獲量が減少しているのは同様である。日本が主な輸入源としていた台湾では、資源の保護のため2007年~2010年の日本への輸出を大幅に制限した。 そのため、2007年から台湾に代わり香港からの輸入が急激に増加している。しかし、そのシラスウナギは台湾で違法で持ち出されたものだとされる。

ウナギと不法行為

香港経由で台湾、中国からウナギが不法に輸入されている。香港でシラスウナギが獲れたという実態はない。2015年に日本の養殖池に入ったシラスウナギは15.3トン、そのうち正しく報告されたものは5.7トンで、全体の37%である。63%が香港を経由した台湾、中国からの密輸や、密漁、過少報告などの違法行為である。日本で食べられるウナギのうち7割が不法行為によって生み出されたものなのだ。一つの国の対応が変わることで、他国も巻き込んださまざまな変化が起こることが分かる。 法をかいくぐって金を稼ぐ者たちうちには、暴力団などの反社会的勢力がいるとの見解もある。

強まる法規制

この問題に対し水産省は、シラスウナギの密漁についての罰則を強化することを10月30日に発表した。罰金の最高額を、現在の10万円から3000万円に引き上げ、懲役の長さも延長する。2023年に法を適用する予定だ。

ウナギの完全養殖

2019年の段階で、ウナギの完全養殖に成功している。稚魚を人工的に孵化させ、出荷できる大きさにまで育てることができるようになった。現状としては、ウナギの稚魚、シラスウナギを自然界から獲り、その後人の手で育てる養殖方法をとっている。完全養殖がおこなわれるようになると、シラスウナギの漁獲高に影響されず、安定的にウナギを供給することができる。人口稚魚は天然稚魚の10倍のコストがかかる。今後の課題は、コストカットと量産化である。

今年度のシラスウナギ

今年のシラスウナギの漁獲量は豊漁傾向にある。2019年12月から漁が始まり、2か月弱で8トン前後となっている。現時点ですでに、前年度の3.7トンの2倍以上に達している状況だ。そのため、今年度撮れたシラスウナギが出荷される今年の夏以降は、ウナギの価格が値下がりする可能性がある。 前年度までの不漁と打って変わり、なぜ今年度の漁獲量が増えたかは不明である。ウナギの生態系は依然として不明な点が多いのだ。水産省によると、「養殖池に入れる稚魚の量を制限する資源管理の成果が出た」との見解だ。 日本以外の東アジアの国々での漁獲高も上がっている。現時点で中国6トン、韓国2トン、台湾1トンである。日本は国内での生産分で需要に追い付かない場合には東アジアから輸入することもあった。今年は、国内で十分に需要を賄える見込みだ。 しかし、今後も豊漁が続くとはいえない状況だ。1970年代後半からは、シラスウナギの漁獲量は年々減少傾向にある。今年度は何かのはずみで量が増えているだけで、これからも十分な供給ができるとはいえない。水産省によると、「年間の変動が大きく、豊漁年でも急に取れなくなる」とのことだ。目先の状境で安心せず、安定的な供給を目指すために、長期的にシラスウナギの管理をしていく必要がある。


今後の課題

完全養殖の技術力を高め、安価なウナギを安定して供給できるようにする必要がある。そしてなにより、ウナギの減少問題を抜本的に解決するには、天然のウナギが育ちやすくなるように河川の環境を整えること、乱獲を防ぎ漁獲ルールを守ること、国同士の間で協力することが重要だ。海産資源の復活は一国のみの力ではなしえない問題だ。自国の利益追求だけではなく、物事を多面的、長期的に捉え、対策を講じていく必要がある。

参考文献

出村雅晴「ウナギをめぐる最近の情勢」農林金融65(8)(798) 農林中金総合研究所 2012-08-01 石川武彦「内水面の現状と課題:内水面漁業振興法制定とウナギの資源保護、管理をめぐって」 参議院 2014-10-01 立法と調査(357) 日経ビジネス「あなたも食べてる「違法ウナギ」排除 イオン新商品の画期」 https://business.nikkei.com/atcl/seminar/19/00030/060500019/ 日本経済新聞朝刊2020-01-30 日本経済新聞「人工ふ化ウナギ成魚に成長 完全養殖の商業化へ一歩」https://www.nikkei.com/article/DGXMZO46433940R20C19A6EA4000/(2020-01-30)

HN.安寧forever


  人間科学大事典

    ---50音の分類リンク---
                  
                  
                  
                  
                  
                  
                  
                          
                  
          

  構成