バイオマス・エネルギー

出典: Jinkawiki

(版間での差分)

2009年1月8日 (木) 10:45の版

バイオマスの語源は、生物を表す「バイオ」にまとまった量を意味 する「マス」を合成して作られた言葉であり、エネルギー利用やマテリアル利用ができる程度にまとまった生物起源による物質と言う意味である。  このバイオマスは有機物であることから、燃焼させエネルギー利用を行った場合には、CO2が発生するが同時に植物が生長することによりCO2を吸収することによって、全体で見ると二酸化炭素の量は増加しない「カーボンニュートラル」という特性を持っている。従って、このバイオマスを化石系燃料に代替させることによって、地球温暖化ガスの一つである二酸化炭素の発生量を抑制することができることから、地球温暖化防止対策の有効な手段の一つとされている。バ バイオマス・エネルギーの起源としては、その原料面から廃棄物系と植物(栽培物)系とに分類される。現在エネルギーとして利用されているバイオマス・エネルギーは、一般・産業廃棄物の焼却によるエネルギーであり、廃棄物系バイオマスは、製紙業等の過程で排出される産業廃棄物 (黒液、チップ廃材)、農林・畜産業の過程で排出される廃棄物・副産物(モミ殻、牛糞等)、一般廃棄物(ごみ、廃食油等)等を燃焼させることによって得られる電力・熱を利用するもので、例えば、黒液というパルプ化工程からの廃液や、チップ・製材工程からの廃材等廃棄物・副産物系バイオマス・エネルギーを熱需要に活用する形態を中心に導入が進展している。畜糞や食品廃棄物からメタンガスを回収する技術は確立されているが、経済性の観点から、相当量の廃棄物の確保が必要であり、回収方法などの問題から十分な普及には至っていない。  今後は、低コストで原料を収集・輸送し、エネルギーを製造できるようになることが実用化に向けたカギであり、利用・変換効率の向上や低コスト化のための技術開発が課題である。一方、植物(栽培作物)系バイオマスは、サトウキビ、ナタネ等の植物を燃料用アルコール等に転換して利用するもので、エネルギー利用目的の作物栽培は、食糧や用材等原料の生産と土地利用の競合問題や、既存の燃料等と比較して高コストであるという経済性等から、現時点では、実用化段階に至っておらず、低コスト化等を目指した開発段階にある。アメリカにおけるバイオマス・エネルギー供給(植物廃棄物36%、黒液30%、木質系25%、バイオガス6%)は一次エネルギー総供給量の約3%を占めており、発電や発熱用の燃料として利用されている。輸送用燃料としてのバイオ液体燃料の使用については、量的には多くはないが、1999年の大統領令(バイオマス・エネルギー構想)により、農業廃棄物のエタノール変換による自動車用燃料の国内使用料を2010年までに3倍に増加するとしている。  EU諸国におけるバイオマス・エネルギー供給(薪、木質系廃棄物、都市廃棄物、混焼等)は同地域の一次エネルギー総供給量の約3.3%を占めている。バイオマス・エネルギーの利用は従来型利用の薪が圧倒的に多く、次いで製紙工場の黒液や木工工場の木材廃棄物、都市ごみ、発電用の化石燃料との混焼利用も行われている。近時、デンマーク・ドイツ等で増加傾向にあるガス化・液化による利用は今後の課題である。1999年にECは、EUの全エネルギーに占める再生可能エネルギーの割合を 6%から12%まで倍増させる導入目標を設定し、その増分のほとんどをエネルギー作物、農業作物等のバイオマスによるとしている。


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