チェ・ゲバラ

出典: Jinkawiki

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2009年1月14日 (水) 00:20の版

チェ・ゲバラ

 ジョン・レノンが世界一かっこいい男と言い、J=P・サルトルが「二一世紀でもっとも完璧な人物」と評した人物。それが、ちぇ・ゲバラである。 1928年、アルゼンチンの冨裕な家庭に生まれ、二十代末にキューバの革命家フィデル・カストロと知り合い、キューバ革命に成功して、一躍時の人となった。


【生い立ち】

1928年(0歳)アルゼンチンに生まれる

1941年(13歳)コルドバのディーン・フネス学院に入学

1948年(20歳)ブエノスアイレス大学医学部に入学

1952年(23歳)友人で6歳年上の医師、アルベルト・グラナドスとともに南米大陸縦断の旅に出る。

1953年(25歳)ブエノスアイレス大学卒業。医学博士号を受ける。2度目の旅に出発。ボリビアからパナマなどを経てグアテマラに入る。

1954年(26歳) メキシコに入国

1955年(27歳) 亡命ペルー人活動家のイルダ・ガデアと結婚。フィデル・カストロと知り合う。この頃から「チェ」と呼ばれるようになる。

1956年(28歳) 長女イルディタ誕生。カストロらとともにキューバ解放の遠征軍に参加。以後、山岳地帯のシエラ・マエストラでゲリラ活動を行う。

1057年(29歳) コマンダンテ(司令官)に昇格。解放軍の第二部隊を指揮する。気管支「自由キューバ人」を刊行

1958年(30歳) キューバ中部のサンタ・クララへの遠征作戦(サンタクララの戦い)成功

1959年(31歳) フルヘンシオ・バティスタ将軍がキューバから逃れ、キューバ革命を成功。アレイだ・マルチと再婚。アジア・アフリカの親善使節団長として、日本をはじめとする各国を歴訪。国立銀行総裁に就任。

1960年(32歳) 著書「ゲリラ戦争」を出版。アレイダとの間に長女アレイディタ誕生

1961年(33歳) 工業省が建設され、工業大臣に就任

1962年(34歳) キューバ危機が起こる。長男カミーロ誕生

1963年(35歳) 二女セリア誕生

1965年(37歳) 二男エルネスト誕生。アルジェリアで演説、ソ連を帝国主義として批判した発言が問題となり、カストロと別れ、新たな革命の地としてコンゴに向かう。カストロ、ゲバラの「別れの手紙」公表

・1966年(38歳) いったんキューバに戻った後、ボリビアに向かう

1967年(39歳) 「第二,三のベトナムを」というメッセージが公表される。場リビアのチューロ渓谷で、ボリビア国軍の捕虜となる。イゲラ村に連行され、処刑される。

1968年 「ボリビア日記」が公開

1997年 ボリビアのバージェ・グランデで遺体が発見される。遺体、キューバに機関


【時代背景】

 社会主義が熱い視線を集め、学生運動のウェーブが世界的に巻き起こった1960年代、ゲバラは「抵抗」し、「闘う」人間のシンボルであった。この時代のヒーロ―として毛沢東やホーチ・ミンもいる。その中で飛びぬけてゲバラは人気がある。ゲバラの特異なのは、「祖国」のためでなく、純粋に「理想」のために命をかけて闘った点である。彼は理想の実現を求めて、革命から革命へと世界を渡り歩くスケールの大きな放浪者であった。


【“チェ”と呼ばれる由来】

 「チェ」とはアルゼンチンのコルド地方の方言で、人に話しかけるときの「ねぇ」「君」といった意味がある。ゲバラがこの言葉を連発するのを面白がって、亡命するキューバ人のアントニオ・ロペス(ゲバラとカストロを引き合わせた人物)があだ名にしたという。ちなみに、ゲバラの本名は、エルネスト・ラファエル・ゲバラ・デ・ラ・セルナである。


【チェの才能】

 ゲバラは39歳で亡くなり、それから30年が経って遺体が発見された時、かつての同志や友たちが、「チェ・ゲバラという人間の、最も優れた資質は何だったと思いますか?」という質問に口を揃えたように、「人間を愛する才能です」と答えたという。ゲバラは稀代のゲリラ戦士であり革命家であるより前に好奇心に満ちた旅人であり、負けず嫌いのスポーツマンであり、乱暴な医者であり、写真や詩を愛し、自らも幾多の名文を残した表現者だった。そして何より、人を愛した。これが、ゲバラが今も、国境や言葉を超えて世界の人々の中で生き続けている理由ではなだろうか。


【ゲリラヒーロー】

 ゲバラの存在を今も輝かせている要素の一つが、キューバ人カメラマン、アルベルト・コルダが撮影した「ゲリラヒーロー」と題される写真である。この写真は、1960年3月、沈没した貨物船の追討集会で演説するゲバラを望遠レンズで狙ったもの。コルダはこの写真を気に入って自宅に飾っていたが、ゲバラの死後の数か月前に彼のもとを訪れたイタリア人ジャーナリストにプリントを贈呈したところ、瞬く間に世界中に知られるようになったという。コルダは、2000年、イギリスの酒造メーカーがウォッカの広告に使用した時、一度だけ訴訟を起こし、「チェを支持する者の一人として、酒や売春のために使用することは断固として許さない」と主張して勝訴し、受け取った約5万ドルをすべてキューバの医療機関に寄付したという。


【映画】

 フィデル・カストロとともにキューバ革命を成功に導いた、20世紀最大のカリスマ、エルネスト・“チェ”・ゲバラの生涯をスティーブン・ソダーバーグ監督&ベニチオ・デル・トロ主演で映画化した2部作「チェ/28歳の革命」「チェ/39歳 別れの手紙」が年明け1月10日と1月31日から公開される。


 【参考文献】

NHK知るを楽しむ私のこだわり人物伝 チェ・ゲバラ 革命への旅 / 日本放送出版協会


「チェ/28歳の革命」スティーブン・ソダーバーグ(監督)ベニチオ・デル・トロ(主演)


歴史のミステリー NO。48 小河原和世(発行人)デアゴスティーニ(発行所)


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