パラサイト社会
出典: Jinkawiki
2009年1月15日 (木) 18:54の版
目次 |
パラサイトシングルとは
三十路を過ぎても親に依存し、且つ同居を求めるといった人達を総称して「パラサイト・シングル」と呼びそのような人達の生活とはどのようなものであろうか。自分の力で生活できないで他人の力(特に親)に頼って生活している人達だ。 自分の力で生活していないが故に余る時間やお金をレジャーや買い物、趣味などあてるといったリッチな生活を謳歌しているのがパラサイト・シングル達の生き方である。パラサイト・シングル達が担うであろう未成熟社会や今後の日本はどうなっていくであろうか考察も交えながら述べる。
パラサイト社会のゆくえ
パラサイト・シングルが形成していくであろう社会とはどのようなものになっていくのだろうか。 また近年、変化しているパラサイト・シングルの生活背景やここ数年に起こった根本的な社会変化を読みとくと、日本は一九九〇年代後半に根本的な社会変化が起きたことを主張でき、中でも一九九八年に起きた社会問題を取沙汰して言及することに力を注ぐことができる。 一九九八年は自殺者数が急増し、家族や労働、教育などのデータを見てみると様々な点で望ましくない方向に向かっているのが明らかである。 近年話題となっている青少年犯罪やわいせつ行為、生徒の不登校問題もこの年を境に急増している。 一九九八年は参議院選挙で与党自民党が振るわず、首相が橋本氏から小渕氏に代わった年で経済的にも実質GNPの成長率が低く大不況に陥った年であった。 つまり、大きな社会の変化がこの時期に生じその結果、様々な問題行動や悪い現象が起きていると考えられる。 この一九九八年に起こった問題が引き金となって若者、青少年の社会意識に構造的変化が生じてしまったのではないかと考えられる。 中でも大手金融機関の倒産といった事実は「大企業でも倒産するといったリスクが存在する」事を意識化させ、若者や青少年の「未来の不確実化」の不安をより一層高めることとなった。
未来の不確実化
「未来の不確実化」の不安を持っている若者が形成している社会や実際の生活に関して「永久就職は今や昔」と述べられるであろう。 将来に対する不安や絶望が存在しているが故に成人した人々がどのような生活を送っているのか。 中でも深刻化しているのが「離婚問題」と「少子高齢化社会が及ぼす社会への不安」である。
未来の不確実化
パラサイト・シングルの子どもに関する話題に関しては「欲しいモノがない」で述べられる。 パラサイト・シングルの大人と子どもに対してパラサイト・シングルを育てていた祖父母がどのように関わっているのか、今では「未来の不確実化」がはっきりしているため大きな夢を抱くのではなく、無難な生き方を好む子どもが増えている現実を具現化している。 「お年玉二年連続減少」といった事実から今、好きなものを買って今を楽しむことよりも将来の不安や心配を少しでも解消するためにお金を貯金するといった行為も少なからず「未来の不確実化」がもたらしている事実だ。 また教育面での問題も取り上げられている。 親や学校側が子どもに対するしつけをしっかりと行えていないことが原因で子どもの非行を増加させている。 親は子どもに嫌われたくないが故にしつけが甘くなり、学校側は生徒に辞められては経営が困難になり廃校へのルートを辿る結果になってしまうため生徒に厳しく接することが出来なくなる。 いずれにしても自分本位の考え方が強まっており他人に対する思いやりや関心が少なくなってきていることが事実である。 また、ハリーポッターという作品からもそれは象徴的である。 主人公「ハリーポッター」の通っている魔法使いの学校は将来的に努力すればその努力が認められる学校である。 この学校像は現実の学校像とほぼ正反対である。現代学校教育では努力が認められるというより能力や技術を最優先としており、能力主義の社会へ飛び立つ準備教育といっても過言ではないといえるだろう。 よって能力や技術がないものは排除され社会の端へと追いやられるという結果に至る。 これら子どもの社会変容を具体的且つ詳細に述べた。
パラサイト社会の背景
パラサイト社会を作り出した背景を述べる。 これは喋る人形や家族と同様に扱われるペットという名の動物たち、パラサイト社会の象徴とも言えるフリーターを作り出した企業などの社会的背景、新しい経済システムがもたらす影響力、今や当たり前となった年金問題の深刻化が代表的なものとして挙げられる。
このように便利になった反面、あらゆる問題が浮上している現代社会を改善するたった一つの方法は「未来の不確実化」がもたらす不安を解消するために若者や青少年に「努力すれば必ず報われる」といった社会を構築することである。そのためには大人や仲間たちから評価される仕事を作り出すことである。 しかし、将来に不安を持ち、努力が報われないと思っている大人が多い限り、青少年が健全に育つわけがない。 バブル経済の時期に青春期を迎え、ありとあらゆる物事が思い通りにいった今の大人たちが自分自身のしている行いや考え方をもう一度見直すべきではないか。
パラサイト社会に対する私の見解
nまず、パラサイト・シングルを経験した現在の大人たちを問題提起して意見を述べてきたが、その大人たちが現在の社会を形成しているのは言うまでもない。 自分の利益を最優先に考え、他人の感情や考えは後回しという実態である。 これはよく考えてみれば当たり前の実態なのかもしれない。何もかもがうまくいったバブル経済で青年期を迎えたのが今の大人たちであるから全ての事柄が自分の思い通りにいった感覚が身についているため自分の利益を最優先に考えるという結果に至るというのはごく当たり前の事かもしれない。 その結果、利益を求めすぎて法にふれてしまい犯罪となる事件が近年、多発している。 二〇〇四年は詐称事件も深刻化していなかったと考えられる。 詐称事件や偽装問題が多々、ニュースで取沙汰されている現在は昔に比べてもっと深刻化しているかもしれない。 今後、日本社会は自己中心的な人で溢れかえり日本社会ごと自滅してしまうのではないかと懸念している。 しかし、今の大人たちが全ての問題を生じさせてしまっているといえばそんなことは有り得ないといえるだろう。 「青少年の行動は、おとな社会の鏡である」といえるようにパラサイト・シングルを作り出してしまった祖父母の人たちにも責任が問われるのではないかと感じる。 このことから祖父母が形成してきた社会を今の大人たちは見てきたと思う。 祖父母が経験してきた社会というのはバブル経済の時期とは全くといっていいほど正反対のものであったといっても過言ではないだろう。 そのような社会を経験してきたのになぜ、パラサイト・シングルを生み出してしまったのだろうか。 それはむしろ、そのような社会を経験してきたからこそ自分の子どもには楽しい青年期を過ごしてもらいたいたいといった親としてのしつけの甘さから生じてしまったのだと考える。要するに、現代社会を形成してきたのは祖父母も含まれるということだ。
だからといって私たち若者に原因がないと断言できるわけではない。「未来の不確実化」がもたらす不安を抱えている私たちは自分自身の力で何とかしようとはせず、他人の目や評価ばかりを気にしすぎるがあまりに自我が確立出来ていないまま社会へ出ていく。 それが原因で自分の夢ばかりを追い求め、企業や会社からの束縛を逃れフリーターやニートへとなる。「努力すれば必ず報われる」といった社会を構築することは大切だが、現状と理想をしっかりと把握することが大切なのではないだろうか。 また、「大人や仲間たちから評価される仕事を作り出すことが大切だ」ともいえるが、周りの評価を気にしすぎるがあまり自分に自信がなくなり自分を傷つける行為に至るといった事実が存在する事は言うまでもない。 これは臨床心理学から学んだ事柄だ。 よって私はこの「周りから評価される社会を作る必要性がある」といった意見に反対である。
能力主義が先行している現代社会で評価を拒むといった事実はある意味、奇想に思われるかもしれないが、自我が確立していない若者に対して能力主義を強制することは心の病を促進させる結果に至る。ただでさえ、増えている心の病が著者の言葉で増加してしまっては本末転倒である。
参考文献
・筑摩書房 山田昌弘著 「パラサイト社会のゆくえ ~データで読み解く日本の家族~」 2004
・筑摩書房 山田昌弘著 「パラサイトシングルの時代」 1999
・洋泉社 伊田広行著 「シングル化する日本」 2003
・集英社 海老坂武 「新・シングルライフ」 2000