ニートの実態

出典: Jinkawiki

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ニート(NEET)これはNot currently engaged in Employment, Education or Training の頭文字を取ったもので、教育を受けておらず、就職もしておらず、職業訓練も受けていない人の意。イギリス政府が労働政策上の人口の分類を定義するために使用した言葉である。 近年、就職もせず、また働く気もなくふらふらとその日暮らしのような生活をしている若者に対し、マスコミは「二-ト」という言葉を使って、社会からの逸脱者というようなレッテルを貼ろうとしている現状がある。またこのことに付随して、 現在の日本におけるニートの定義も「職探しも進学も就職訓練も受けていない15歳から34歳の若者」となっており、本来のNEETの意味とはかけ離れているということが分かる。 しかし、現状を分析していくと、報道されている現状とは違いがあるということが分かってくる。 内閣府の報告書によるとニートの数は2002年でおよそ85万人。これは10年前の1.27倍、18万人の増加となっている。しかし、この中で「働く気がない」など世間の認識に近いとされる人は42万人と約半分で、この数字は10年前とほとんど変わっていない。では増加した18万人はなんなのだろうか。実際にはこのなかのほとんどのものは働く気があり、芸術・文化活動等に積極的なもの、資格取得を目指しているもの、家族の介護のために働きに出られないものなど、やむを得ない事情を持っているものもニートに含まれてしまっているというのである。このように見てくると今現在日本でイメージされている引きこもりなどは決して増加していないということが良く分かる。 しかし一方で、働く気はあっても就職先が見つからないという若者が増えているということも事実である。数字によると若者の失業者は10年前が64万人だったのに対し2002年現在で129万人と二倍強、65万人の増加であることが分かる。またフリーターが2001年現在で417万にもいるという調査結果も出ている。これらのことを考えていくと、問題の本質は長年続いている不景気やグローバライゼーションの結果、企業側が若年層、特に新卒者の新規採用を大幅に抑制してきたことにあると考えることができる。また、採用の口があったとしても低賃金で長時間働かされるために長続きしないケースが多いという。 しかし、ニートという名の怠け者、甘えん坊などのレッテルを貼られてしまったため、「最近の若者は根性がなく、無気力である」などといわれるような風潮があるのが現状である。経済や社会の構造的な要因が大きいにも関わらず、「ニート」という言葉によって若者側が一方的に悪者にされて責任を押し付けられてしまっている現状は、現在国が行っている政策にまで悪影響が及ぼしかねないと、考えられる。 例えば国が支援している「若者自立塾」では合宿形式の集団生活を通じて働く意欲を高めることを目的としている。しかしよく考えてみると、これは単なる引きこもり対策であり、「若者自立塾」によって景気が良くなるわけでも、就職先の窓口が広がるわけでもない。国として現在すべきことはニートという括りで若者に固執するのではなく、国全体として、社会や経済の仕組みに対し、アプローチをかけていく必要がある。 しかし、実際にレッテルを張られている、若者の一人として考えた場合、本当にそれでよいのかと考えた。現代を生きる若者としてするべきことは、現状を十分に把握し、今何をするべきかということを十分に見極めることであり、現代を生きる若者として、大人に甘えず、我慢強く、自発的に生活していかなければならないと私は考える。


参考文献「ニートって言うな!」 本田由紀他著 光文社新書     


  人間科学大事典

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